機関紙85号 (2013年2月22日発行)



もくじ

いま憲法九条が危ない ①
  「集団的自衛権」は立法により憲法を変えるクーデター
   総選挙後の情勢を再び大久保賢一弁護士に聴く
    争点隠しの大マスコミ
    危険な「秘密保全法」
    ウイング広がる九条の会

いま憲法九条が危ない ②
  国難が生む“ファシズム”にどう向かい合うか
   危険な安倍政治の仕組みを解剖する
   桂敬一さん(元東大教授)が新春の集いで講演
   講演要旨 ①
    公益と公の秩序の羅列
    やりたい放題、権力はやる意図を露骨に湿す自民党改正案

太郎の部屋のほっとたいむ 6
  銭湯すたれば人情すたる
   鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)

鈴木彰の「お茶代は大増税で払ってネ」

「慰安婦」問題と歴史偽造の企みをめぐって
  安倍首相の「衣の下」
   竹腰将弘(ジャーナリスト・山口在住)
    歴史の偽造を最大テーマに
    海外から痛烈な批判
    「衣の下」がぎらつく

削るな生活保護、許せない安倍内閣の弱者いじめ
  貧困ゆえの諦めは子どもに伝わり、希望や意欲をそぐ
   山本千鶴子(久米在住)

会員のお店
  居酒屋「よしの」(小手指町1丁目)




いま憲法九条が危ない ①

「集団的自衛権」は立法により憲法を変えるクーデター

総選挙後の情勢を再び大久保賢一弁護士に聴く

 自民党は294議席で単独過半数を確保、公明の31議席を加えると3分の2を優に超え、改憲派の議員が89%を占めた。憲法最大の危機をどう乗り超えるのか。再び、ピースセンターの大久保賢一弁護士(埼玉弁護士会憲法委員会委員長)に聴いた。(聞き手 葛西建治)

一改憲派が国会を埋め尽くしました
大久保弁護士 ショックというか、危険な状況が生まれたなとの印象を持っています、衆議院で改憲派が簡単に3分の2を占めてしまうという、ものすごい状況になることは選挙前に考えてもいませんでした。維新の会の行動を含めて、危ない動きがあるとは思っていましたが、まさか、自民党がこれだけの議席を占めるとまでは考えていませんでした。

一どうして護憲派政党が伸びなかったのか

 議席の数だけみると圧倒的に小選挙区が多いのです。護憲派といわれる共産党、社民党の比例の得票率が8・49です。10年の参議院選では9・90。09年の民主党政権時の総選挙の得票率が11・30です。たしかに減らしているのが事実です。

一原発も九条も票にはならなかった

 ならなかったですね。国民の投票行動が私たちの関心から行うならば、原発の問題はどうするかという事ですが、大きな側面があったとおもいます。民主党政権を続けるのか、自公政権になるのか、第三極なのか。国政の争点はなんであるのか、そのことが明確にされずに、政党がらみの争点作りをマスコミが行い、それに引っ張られてしまった。その傾向があったのではとの気がします。

争点隠しの大マスコミ

一マスコミの報道もひどかった

 維新の会がどう動くのかとか、石原と橋下の動きを好意的に追っかけまわした。第三極と言われる小沢、嘉田さんらの動きについては冷ややかです。それは今のマスコミが持っている体質と思います。

一これからどうしたらいいのか

 小選挙区制が持ってる問題、それはそれとしてあると思います。自民党と公明党の間にはニュアンスの差はありますが、自民党と公明党の合意では、憲法改正問題についても憲法審査会の中での審議を進める、国民的議論を巻き起こすとなっています。改正の方向に進むことは間違いありません。衆議院では発議に必要な3分の2の改憲議員がいることも事実です。憲法審査会の中には共産党の笠井議員しか居なくなりました。社民党は憲法審査会に入れません。一般的な危険性よりは具体的に発議が行われてくる数を改憲勢力が占めていることが問題です。

一改憲の前に「集団的自衛権」を容認し、アメリカと一緒に戦争するのですか

 自民党が今国会に出すと言われている「安全保障基本法」ですが、このなかに「集団的自衛権」の行使があり、これをやりましょうという法律です。しかも、これは内閣の提出法案ではなく議員立法でやろうとしています。集団的自衛権の問題だけでなく、国連で認めている集団的自衛権の行使とか、あるいは国連決議があった場合に自衛隊を外に出すことが出来ることになります。いままでの国防のためだけでなくて、自衛隊も海外で武力の行使ができるという法案だ。それは現行憲法下で認められないと内閣法制局が明言しています。それを議員立法で変えてしまうということです。この「安全保障基本法」の中に自衛隊の海外派兵も組み込んでいます。

一集団的自衛権だからアメリカが攻撃されたときも自衛隊が派兵されるのか

 集団的自衛権の特徴は日本が攻撃にさらされなくても同盟国が攻撃にさらされれば共同で対処する。仮にイランでアメリカが攻撃された時、日本の自衛隊も集団的自衛権の行使として動くことになります。

危険な「秘密保全法」

一それでは明文改憲しなくてもできる

 立法によって憲法を変えてしまうというクーデターです。しかし、憲法との関連で問題になるので、改憲もしておきたい。つまり自衛隊ではなく国防軍にしたいのです。自民党の改憲草案では軍事裁判所も想定されています。そこで、九条をどう変えるかというと、1項はそのまま残して、陸海空を持たないのではなく、国防軍を持ちますよという形にしています。そして国防だけでなく安全保障基本法で認められている状況の中にも、国防軍が海外に軍隊として出ていくことになります。

一国民の権利は抑制する

 いま議論されているのに「秘密保全法」があります。その背景は軍の秘密が外に漏れないようにすることで、マスコミの取材を制限する。あるいは国家の防衛機関で働いている人たちの個人情報をしっかりと管理していく。プライバシーも調査する。そのために出されているのが「秘密保全法」です。

一いま国会は違憲状態ですが

 一票の価値が不平等のまま行われた衆議院選挙は違憲の選挙だから、無効だと、その無効の選挙で選ばれた国会議員によって制定された法律は違憲無効だ、と、理屈は成り立つ。一票の価値が不平等とは最高裁が繰り返し言ってきた。その是正がまったく行われない状況の中で、行われた今回の総選挙が違憲無効との判断を最高裁がしてくるかというと、その可能性は乏しく、ひっくり返すことは最高裁はやらないでしょう。違憲ではあるが選挙無効とは言わないでしょう。国政の混乱を考えて棄却する事情判決になるでしょう。

ウイング広がる九条の会

一希望はあるのか

 九条の会が広がってきてます。7千以上あると聞きます。九条の改悪は阻止するということで、自衛隊は違憲とは思わない、米軍は日本を守っていると言う人でも九条を変えて自衛隊が外に出て軍事力を行使することに、それはおかしい、そういうウイングを広げていくように九条の会の活動が広がっているように見えます。

 その一つに新潟・加茂市の小池市政があります。この人は防衛省の幹部だった人で、彼は自衛隊は合憲だが九条を変えて自衛隊を外に出すなどおかしいとの考えの持ち主で、そういう人を含めた7千の九条の会が存在します。

 もう一つは都知事選のときに宇都宮候補は100万票を取っていませんが、猪瀬さんは470万票、あんまりにもひどいと思ったのですが、国立、東久留米、清瀬などでは共、社、みらいの合計票が猪瀬さんより多い票を取っています。こんな政治情勢でも、革新市政を経験したところでは、しっかりと本質を考える人が大勢いることが分かりました。

 自民党が衆議院の多数を占めたことは事実ですが、自民党の比例での得票率は民主党に政権が変わった09年の総選挙では26%でした。去年の暮れの総選挙は27・62%と1ポイント増えたか、増えないかのごとくです。自民党は10年前の総選挙は比例で34・96%です。その前の01年は38・57です。議席数は圧倒的だが比例の得票率が伸びているわけではありません。

 安倍さんも参議院選まで安全運転をするというが、衣の下には鎧がはっきり見えます。



もくじへ


いま憲法九条が危ない ②

国難が生む“ファシズム”にどう向かい合うか

危険な安倍政治の仕組みを解剖する

桂敬一さん(元東大教授)が新春の集いで講演

 昨年末の総選挙の結果、「平和憲法」は戦後最大の危機を迎えた。こうした状況に私たちはどう立ち向かっていくのか、どうしたら憲法を守れるのか一一。

 2月3日に催された「会」の「新春のつどい」では、たびたび寄稿され、叱咤激励を頂いている桂敬一さんを招き、お話しを伺った。その講演要旨を次号との2回に掲載する。

 桂さんは、講漬の後も、会場からの質問に丁寧に応えられ、参加者は危険な安倍政治と現行憲法の尊さに理解を一層深めた。市内外から45人が参加した。

講演要旨

 お招きありがとうございます。所沢はこれで2回目です。会報にときどき書いています。あんまりひどい状況なので、「ひどいぞ」の話ばかりしかできませんが、先行きこうやれば打開できるというところは、みなさんのご意見を伺って、懇談をしたいと思います。お手元の資料で、大きいのは自由民主党の日本国憲法改正草案。現行の憲法と対比して、現行のどういうところが無くなり、変えられているか、草案にどんなひどいものを付け加えたり、あるいは元あるものを悪く変えているか、私が作ってみました。本来、どこかの新聞社がやり、これは「大変だぞ」と読者に説明すべきことです。そういうことは最近のマスコミはしない。

 総選挙のときでも安倍は「国防軍」と言うと、安倍はやりそうだとか九条は改憲だとか、その程度の記事しかありません。もっと大変なことが起きそうだと思っている。

公益と公の秩序の羅列

 いまの最大の危機は、憲法改正草案は国民主権を明確に定めた現行憲法を頭と尻尾の関係を逆転させるほど構造を組みかえているということです。この企みを話します。

 第3章はひどすぎる。現行憲法の「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」、これが自民党の改正案では「自由及ぴ権利には責任及ぴ義務が伴うことを自覚し、常に公益及ぴ公の秩序に反してはならない」とあり、これらに反するときは制限されるという意味です。これはひどい。それがいたる所に出てくる。

 現行憲法の第13条では「すべて国民は、個人として尊重される」とあり、桂敬一個人なのです。一人一人をさしていますが、改憲案では「人として尊重される」と、まことに抽象的な表現であり、「個人」をイメージしてはいない。

 さらに「公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない」とあり、公の秩序に反しない限り尊重されるが、そうでなければ制限するという文脈になる。国民主権に制限が及ぶということだ。この規制関係だけでひどい内容だ。

 公共の福祉とは「私」と「あなた」の人民間の利害の衝突がある場合に、福祉で生活するので、そういうことがあってはならないと言うことだが、公益と公の秩序とは国の権利であり、国の利益であり、仕組みであると、意味がまったく違ってくる。国民主権の維持ではなく、国家権力の確保がここに出てくる。

 現行憲法の第99条に「天皇又は摂政及ぴ国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」とある。憲法は天皇以下の公務員が守りなさいと定めている。ところが、自民党改正案でこれに見合う第102条で、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」としている。公益、公の秩序というものを守らなくてはいけない、そういう憲法なのだと強調し、「国民が憲法を守るのだ」と現行憲法とは180度ひっくり返り意味が変わっている。

 2項で「国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う」とあり、注意したいのは「天皇又は摂政」が抜け落ちている点だ。

 そこで第2章天皇に戻ると、現行憲法では、「天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」とあるが、自民党改正案は、「天皇は、日本国の元首であり」となり、天皇の憲法擁護義務は消えました。憲法を擁護する義務のない元首になるということです。帝国憲法のようなものになる。

 第3条に日の丸、君が代も書いてあります。ますます帝国憲法に近づいている。

 第2章は現行憲法では戦争の放棄。「国際紛争を解決する手段として、武力は永久に放棄する」だが、これも完全に変えられて、第2章は安全保障となり、2項で「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と自衛権を発動するという。集団的自衛権がでてくる。そのあとは新設の国防軍となり、自衛権があるので国防軍が必要で、その仕事は集団的自衛権を認めた形になっている。

 見過ごしにできないのは、「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」と戦争大統領という言葉がある。米国は戦争をしていると大統餌は最高指揮官となるが、首相公選を意識してか、総理大臣に職務権限を集中させるのが改憲案の特徴だ。

 第9条の3で「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及ぴ領空を保全し、その資源を確保しなければならない」と書いてある。領土を守るための戦争もあり得るとなる。すべてが公の秩序になり、国民は服さなければならない。戦争をやるとなると、それが最優先されて、それが公益であり、公の秩序となり、そういう憲法を国民は守らなければならない、となる。

 マスコミにとって重要なことは、第21条、表現の自由に出てくる。改憲案では2項を新設して、自由は保障するが、「前項の規定にかかわらず、公益及び秩序を害することを目的とした活動を行い、並ぴにそれを目的として結社をすることは、認められない」とある。これは治安維持法です。この改憲案が出てきたとき、「これはひどいぞ」と書いた新聞はない。どこも気が付いてないようだ。ないとすれば言論機関として大ボケだ。

 第24条は新設条項だが、これもひどいものだ。個人としての国民的権利は個人に属して全部認められるものだが、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」これは家族が最優先され、その思量を乱すような個人の自由は認められない、に繋がっていく。

 さらに、現行憲法の第24条、婚姻では、「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と個人の自由と平等で解決されなければないないとあるのを、改正案の第24条の3項に家族、扶養、後見を付け加えた。だが、この問題は個人としての範囲に収まるものではない。個人が家族、扶養、後見の強要に被さってきていることに注意が必要だ。これは昔の家族主義に戻すということだ。

 現行憲法は第5章、内閣の第66条2項で、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」とシビリアンコントロールされているが、これに見合う第2項は、「現役の軍人であってはならない」とだけだ。リタイアした軍人なら総理にも大臣にもなれることになる。抜け穴が出来ている。

 マスコミ出身の会員の方に、すぐ戦争、のような記事を平和国家日本に恥じない記事に書き直していただいて、両者を比べたいと思います。それを提示し、現役マスコミの方々にも歴史や九条の再学習を働きかけたいと思います。

やりたい放題、権力はやる意図を露骨に示す自民党改正案

 第5章、内閣の最後には、総理大臣の職務権限がいろいろ書いてあり、冒頭に「内閣総理大臣は、最高指揮官として、国防軍を統括する」と謳う。ここにも繰り返して最高司令官としての内閣総理大臣の位置づけが出てくる。

 これらを見てくると総理大臣の職務権限が非常に大きいことが分かる。

 第8章、地方自治では細部にわたって新しい地方自治の在り方を書いている。現行憲法では地方公共団体の自立性、独立性を認めて、地方自治法に委ねているが、改憲案では国との関係をたくさん書き込んでいるのが特徴で、地方がやること、国がお金を出すことに、こまかく口出しをしている。こういうことは道州制にも繋がることになり、集権体制のもとでの要件の効率化しか考えていないことが分かる。

 改憲案の第9章は緊急事態の宣言は新設条項だ。緊急事態が起きれば、何ごとより優先すると書かれており、その際、内閣総理大臣の力を大きくできる、とある。これも危険な条項。外国には全権委任法があり、民主的手続きを省くことがある。緊急事態ということで言ってはいるが、一時的であっても立法権が政府に移されてしまう。そういう危険がある。

 第99条では、「緊急事態の宣言が発せられたときは、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とあり、この不透明な政令が最高法規となる形になる。

 こんなことをよくも考えたものだとつくづく思う。やりたい放題を権力がやるという意図を露骨に示している。
(次号に続く)



もくじへ


太郎の部屋のほっとたいむ 6

銭湯すたれば人情すたる

鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)

 俳優座が1月に公演した「心細い目のサングラス」は山田太一の書き下ろしである。注目したのは「銭湯だった家の物語」という舞台設定だった。実際に東京の銭湯はどんどん減っている。銭湯愛好家としては残念な思いである。現在では750軒くらいが健闘している。コラーゲン湯やラベンダー湯など、趣向をこらした銭湯も多い。「銭湯すたれば、人情すたる」(詩人・田村隆一のことば〉といわれているくらいである。大事にしたいものである。

 舞台のセットは、銭湯の番台や風情が残る脱衣場をデイサービスの施設に改装した一室。物語は、このデイケアを始めた人たちとそこに集まったひとたちをめぐる人生模様が展開されていく。主人公はこの施設の管理者・久保川卓也(中野誠也=演出も担当)、数学の大学教授をやめて選んだ第二の人生だった。父親が経営していたお風呂屋さんに戻ってきたのだ。その卓也と妻・奈津(川口敦子)の2人を中心に看護職員や介護員、機能訓練土たちと、デイケアの使用者との日常生活業務をこなしていく。そこに「笑えない若い男」が介護のバイトとして加わってくる。精神的な疲労からみずから殻に閉じこもってしまったようだ。

 利用者の年老いた男が若い男に、自身の人生を語るときに、サングラスをかけないと本音がいえないというのだ。心の優しい人たちが、寄り添って生きていく、ささやかな希望がこめられていた。

 その点、銭湯は裸での付き合いができる場所である。あるとき、中学生くらいの子どもとまだ若い父親が湯船のなかで進路のことを語りあっていた。なんとも心温まる光景だったことか。




もくじへ


鈴木彰の「お茶代は大増税で払ってネ」




もくじへ


「慰安婦」問題と歴史偽造の企みをめぐって

安倍首相の「衣の下」

竹腰将弘(ジャーナリスト・山口在住)

 安倍晋三首相は昨年11月に米国の新聞に掲載された、日本軍「慰安婦」問題否定の意見広告に、日本の国会議員39人とともに賛同しています。

 広告は、米ニュージャージー州の地元紙「スターレッジャー」2012年11月4日付に掲載されたもので、「慰安婦」問題について「女性がその意思に反して日本軍に売春を強要されていたとする歴史的文書は発見されていない」、「(「慰安婦」は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などとして、強制性と日本政府の加害責任を否定する主張を展開しています。

歴史の偽造を最大テーマに

 こうした主張はいまにはじまったことではありません。安倍氏ら過去の日本の侵略戦争は「正しかった」と主張している右翼・タカ派の政治家は、日本の軍や官憲が「慰安婦」を強制連行した事実を示す文書などが存在しないとして、「狭義の強制はなかった」と言いつのり、「慰安婦」問題そのものをなかったものにしようとする歴史の偽造を最大のテーマの一つとしてきたからです。

 日本軍「慰安婦」問題は、アジア・太平洋戦争中、植民地にしていた台湾、朝鮮や、軍事侵略した中国、東南アジア諸国などで、20万人ともいわれる女性たちを「慰安所」に閉じ込め、レイプをくりかえしたという非人道的行為です。

 1991年に元「慰安婦」の韓国人女性が謝罪と賠償を求める訴えを起こし、被害の事実が広く明らかにされました。いまでは、女性たちの被害は「性奴隷」とされた被害であるということが国際社会の共通の理解になっています。日本政府は、徹底した調査の結果、93年に当時の宮沢内閣の河野洋平官房長官が「おわびと反省」の談話を出しました。

 ところが、安倍氏ら歴史偽造派は、問題を「強制連行があったか、なかったか」ということにすりかえ、「強制連行の証拠がない」から「慰安婦」の被害も「なかった」と河野談話を攻撃し、その見直しを求める主張をくりかえして、国際的にも強い批判を浴びています。

海外から痛烈な批判

 米国の新聞にそうした時代錯誤の意見広告が出たのは、安倍氏が昨年9月28日に自民党総裁に返り咲いた直後です。さらに、総選挙後に首相になった安倍氏は組閣人事で、この広告に賛同した議員から4人を入閣させたうえ、自民党政調会長など党の要職にも配して厚遇しました。これでは、安倍内閣は「慰安婦」問題を認めない極右の政権だという国際的なメッセージを発したようなものです。

 安倍氏は昨年12月31日付の産経新聞インタビューで、河野談話や、日本の過去の植民地支配と侵略について「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明した村山首相談話(95年)を、安倍内閣として見直す考えを述べました。米紙ニューヨーク・タイムスは1月3日付社説「日本の歴史を否定する新たな試み」で、「犯罪を否定し、謝罪を薄めようとするいかなる試みも、日本の野蛮な戦時支配を受けた韓国、中国、フィリピンを憤激させるだろう」と痛烈に批判。国際舞台で、安倍氏らの歴史偽造のたくらみは完全に破綻しています。

「衣の下」がぎらつく

 河野談話の作成に直接携わった当時の石原信雄官房副長官は、「強制性を立証する物的証拠は見つけられなかった」が、「慰安婦」16人のヒアリングの結果、「どう考えてもこれは作り話じゃない。本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになって、河野談話にしたわけです」(「アジア女性基金オーラルヒストリー」)と証言しています。日本共産党の志位和夫委員長が1月31日の衆院本会議で、この証言を示し、「政府として『河野談話』を継承するという立場をとるかぎり、『強制性を立証する文書がないから強制の事実はなかった』などという議論を肯定する余地はない」と見解をただしました。安倍首相は「この問題を政治問題、外交問題にさせるべきではない」「総理である私からこれ以上申し上げることは差し控える」とのべ、持論である歴史偽造の主張を、みずから“封印”せざるをえなくなっています。

 安倍氏は、今夏の参院選までは長期政権への基盤固めに専念し、右翼・タカ派の主張を極力隠そうとしています。しかし、改憲でも、教育「再生」でも、靖国参拝でも、歴史の偽造でも、安倍氏を支える中核の陣営から、右翼・タカ派の主張の具体化を迫る大合唱が起こり、安倍氏を大きなジレンマに陥れています。そして、国民の目にも明らかな安倍氏の「衣の下」にぎらつく極右政治家の本質への警戒感が、ますます広がっていくにちがいありません。




もくじへ


削るな生活保護、許せない安倍内閣の弱者いじめ

貧困ゆえの諦めは子どもに伝わり、希望や意欲をそぐ

山本千鶴子(久米在住)

 芸能人の母親が生活保護費を受けていたことで、扶養義務違反、不正受給では?と報道されました。このバッシングをきっかけにして、生活保護基準の引下げを行うのはとんでもないことです。

 生活保護受給者は214万人になりました。増加したのは、不正受給が増えたのではなく、あいつぐ規制緩和による人件費の切り下げで、一生懸命働いても生活できないシステムにしてしまったことがその要因の1つと考えられます。

 このような時期の国の施策は、大企業が大きな利益をあげる経済成長で景気回復を図るのではなく、中小企業や国民の財布を温め、人間らしい生活がおくれるシステムを構築することです。

 1月27日、政府は生活保護費のうち、「生活扶助」の基準額を2013年度から3年間で670億円減らす方針を決めました。さらに、「期末一時扶助金」も70億円カットし、併せて740億円を減すということです。厚労省の試算によれば、受給世帯の96%で保護費が減ります。都市部の40歳代夫婦と小、中学生の4人世帯では、2015年度以降、今より2万円減の20万2千円となり、70歳代以上の単身者は3千円減の7万4千円になります。厚労省は、生活扶助基準額が一般低所得者の生活費より顕著に高いのは人数の多い世帯なので、今回は子育て世帯などの削減幅を大きくすると言っています。

 日本では、生活保護を受けられる資格のある人の約2割しか受けていません。「生活扶助基準額が一般低所得者の生活費より顕著に高い」ということは、言い換えれば、一般低所得者は生活保護を受けられる資格のある人がほとんどだということになります。

 また、子育て世帯の中に入る母子世帯は貧困率が66%と突出しています。母親達は低収入のため、2つ3つと仕事をかけ持ちし、苦闘しています。「貧困ゆえのあきらめは子どもにも伝わり、希望や意欲をそぎ、貧困が世代連鎖」しています。

 また、阿部彩さんは「日本の子どもの7人に1人は貧困状態にあります。(中略)子どもが貧困状態で育つことは、その子どものその時点での学力、成長、生活の質などに悪影響を与えるだけでなく、それはその子ども、が一生背負っていかなければならない『不利』な条件として蓄積される」(『子どもの貧困」日本の不公平を考える』岩波新書)と述べています。

 貧困者が増えている中で、憲法第25条で保障されている国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するためには、生活保護制度がセーフティネットとしての役割を十分果たせるよう、充実させることが何よりも大切ではないかと思います。




もくじへ


会員のお店

居酒屋「よしの」(小手指町1丁目)

 新潟美人のママが従業員のよっちゃん、マミちゃんと切り盛りする気さくな居酒屋「よしの」を紹介します。小手指駅西口徒歩5分、西友手前のアーケード街の左奥です。ママの吉野栄子さん(写真左、右はよっちゃん)は、新潟県上越市の生まれ、高卒後上京して證券会社でOL生活。42歳で奮起し、医療専門学校で2年間学び看護師の資格を得た頑張りやさんです。最後にやってみたかったという念願の「居酒屋」を開店して9年になります。

 カレイ煮付550円、カキのフライ500円、チーズトマト600円、人気の一押しは厚焼タマゴ500円とすべて手ごろな値段です。

 銘酒、焼酎の銘柄も豊富に揃い、もちろんカラオケも完備しております。1O人程度のお座敷もあり、小団体の宴会も可能です。

 当会の機関紙編集会議もここで毎月開かれ、会議は短く飲み会は長く、の鉄則を6年間継続しています。  定休日は水曜日、毎日5時開店です。小手指下車の際にはお立ち寄り下さい。TEL 04−2939−4833




もくじへ


トップページへ