機関紙82号 (2012年10月30日発行)new!



もくじ

オスプレイの配備と訓練の問題
  ハワイでできることが、沖縄でなぜできない?
    梅田正己(書籍編集者)
     住民の抗議で撤回
     日本は法治国家なのか

太郎の部屋 ほっとたいむ 3
    鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)

沖縄と平和憲法一憲法改悪の抗う
  統治者の意のままの強権、無権利状態続く
    高良鉄美琉球大学教授が所沢で講演

高良教授の講演要旨
  空も海も県民のものではない
  終結のチャンス逃がす
  沖縄に来なかった憲法

忘れてはならない、立ち上がり時の魂
  三木睦子さんの志受け継いで
  「九条の会」が日比谷で講演会

メディアウオッチ100
  ハーバード大学など「真っ赤なウソ」と糾弾
  余りにズサンな取材に驚く
    池田龍夫(元毎日新聞)

鈴木彰の「争点は解散時期しかないのかよ?」

所沢にも残る「米軍通信基地」
  アンテナ撤去か修理か
    葛西建治(山口在住)
  
九条を生かす
  ●「憲活」しませんか
  ●許されない解釈の変更
  ●あざ笑うかのように配備強行

BOOK REVIEW
  詩集「徘徊者」

紹 介
  ◆加登萌々子ヴァイオリンリサイタル
  ◆「基地周辺のくらしと平和を考える集い」





オスプレイの配備と訓練の問題

ハワイでできることが、沖縄でなぜできない?

梅田正己(書籍編集者)

 10月1日、内閣改造を終えた記者会見で、野田首相は、この日に普天間に飛来したオスプレイについてこう繰り返した。

 「日本政府として、安全性を十分に確認できたと考えています。」
 政府が安全だといっている根拠は、次の二つだ。

 (A)森本防衛大臣が試しに一回乗ってみて、安全だと思った。
 (B)米軍が安全だと保証してくれた。

 どちらも笑い話にもならない。

 ハワイ・オアフ島には、30万人からなる太平洋軍の司令部が置かれている。(※以下、琉球新報の松堂秀樹記者による9月4日からの連載記事より)そのオアフ島の東岸、カネオヘ・ベイ(カネオヘ湾)の海兵隊基地にも、オスプレイ24機が配備されることになっている。
 ただし、その時期は2014年度からである。つまり普天間の2年後だ。

 自国の本拠地の基地への配備より2年も前に、出先の外国の基地に配備する、その理由は何なのか?オスプレイが試験飛行で何度も事故を起こし、「未亡人製造機」とさえ言われたことは、誰もが知っている。

 まず試しに、外国の基地に実際配備してみて、十分にテストした上で自国の基地に配備しよう、ということではないのか?

住民の抗議で撤回

 また、カネオヘ・ベイ基地は、その名の通り海に面している。その飛行場に着陸する軍用機は、東方面の海からやってきて降りる。湾の西の方には民間地が広がるからだ。離陸のときは、もちろん東の海の方へ向かって飛び立つ。

 ところが、普天間は内陸にある。周囲は住宅や学校などに取り巻かれている。民間地の上を飛ばないで離着陸はできない。

 普天間に配備されたオスプレイは、訓練のため、嘉手納基地、“キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、そして北部訓練場に設置されるヘリパッドヘ飛ぶ。つまり、沖縄本島の上空を縦断して飛ぷ。米軍の資料でも、25の市町村の上空を飛ぶ。
 したがって、騒音による被害、墜落の不安は、本島全体をおおうことになる。

 カネオヘ・ベイ基地に配備予定のオスプレイについては、もう一つ、瞠目すべきニュースがある。

 オアフ島の東南、50キロ離れたモロカイ島には、カラウパパ空港とモロカイ空港の二つがあるが、そこで予定されていたオアフ島のオスプレイの訓練が、住民の抗議によって撤回されたのだ。今年8月のことである。

 新たな基地の建設や訓練地の確保に当たっては、アメリカ本国では環境保護法により、軍(この場合は海軍省)がアセスメントを作成し、それを公示して住民の意見を聞かなくてはならない。

日本は法治国家なのか

 そのアセスに対し、モロカイ島では住民がいっせいに反発、訓練計画は撤回せざるを得なくなったのだ。あわせて、南方にあるハワイ島のウポル空港での訓練計画も撤回された。

 ひるがえって、普天間はどうか。アセスメントはその気配すらない。モロカイ島の場合、新たな基地の建設ではなく、訓練計画が問題だった。

 普天間も、たんなる配備ではなく、25市町村を股にかけての訓練だ。住民も、県知事以下こぞって反対している。

 だが、わがノダ首相は、防衛大臣が一回乗せてもらっただけで、「日本政府として、安全性を十分に確認できたと考えています」と、のたまわる。

 アメリカは本国でアセスメントを行ない、住民の意見を取り入れた。同じ、軍部と住民の間に生じた問題だ。ハワイでてきたことが、沖縄ではなぜできないのか。

 アメリカは法治国家、日本も同じ法治国家である。本国で法にもとづいて行なっていることを、同盟国でなぜできないのか?

 その理由は何なのか?

 もうオスプレイに乗せてもらうのはいいから、ノダ首相にはぜひとも、オバマ大統領に公開質問状を送って、そう尋ねてもらいたい。



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太郎の部屋 ほっとたいむ 3

「普天間」所沢公演へ

鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)

 青年劇場の舞台「普天間」が、所沢で公演される。11月16日(金)午後6時半開演、所沢ミューズ・マーキーホールである。

 この作品は2011年9月、東京・紀伊国屋ホールで初演、沖縄の実態をするどく問うドラマに注目が集まった。
 作=坂手洋二、演出=藤井ごう。

 所沢公演では、初演の成果をさらに練り上げて、より感動的な舞台に仕上がることが期待される。一人でも多くの人にみてもらいたいものだ。

 現在の沖縄の状況をみると、9月9日の10万人が結集した沖縄県民大会での、オスプレイの配備計画の撤回、米軍普天間基地の閉鎖・撤去を島ぐるみの意思として宣言など、熱く燃えている。ことは沖縄だけではない。全国の問題でもある。

 舞台は、2004年8月13日、普天間基地所属の大型ヘリが沖縄国際大学に墜落・炎上した状況の証言からはじまる。そして、普天間基地が作られた歴史的経過などがあきらかにされていく。

 軽ライトバンに「サンドイッチシャープ」という看板を掲げて、基地の前で商いを始めた上原重吉を中心に、そこに集まってくる人たちを通して、戦争の実態や基地のもつ重さ、市民運動などが明らかにされていく。

 出演は、上甲まち子、葛西和雄、吉村直、清原達之ほか。魅力ある俳優陣の熱演も見ものである。

*前売券3800円 連絡先=大場 O90-9844-6749




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沖縄と平和憲法一憲法改悪の抗う

統治者の意のままの強権、無権利状態続

高良鉄美琉球大学教授が所沢で講演

 10月19日、6時30分、「憲法改悪を許さず沖縄と連帯する所沢集会」の幕開けです。9条の会所沢連絡会の呼びかけで実行委員会がつくられ準備されてきた集会です。冒頭、浜林正夫実行委員会代表委員が「沖縄から高良さんをお呼びし、沖縄と憲法の話を聞きます。

 高良さんは平和憲法を持っているから安心して暮らせると言います。いかに、私たちは憲法のあることに疎くなっているのではないかと思います。今日の講演で新しい力を得ることができるでしょう」と、開会の挨拶をしました。

 ミューズ・マーキーホールに三線の音が響き、「青い空は」のメロディが流れ始めました。

 親子3人による沖縄の民謡を中心に歌うカーミーズは、オスプレイの強行配備と前日に起きた米兵による女性暴行事件に怒り沸騰する県民の思いを、美しい歌声にのせて会場に連帯の気持ちをつくってくれました。

 そして、高良鉄美琉球大学法科大学院教授の講演が始まりました。

 スライドを使っての詳しい講演。沖縄の歴史と現実の基地のもとでの厳しい生活、憲法がいかに大事な役割を持っているかを、解き明かしてくれます。滅多に聞くことの出来ない沖縄の現実に、会場は聞き入りました(講演要旨別項)。

 講演のあとで、「沖縄県民をはじめ、日本国民の反対の声を押し切って、オスプレイ配備が強行されたことに、私たちは強い憤りを覚えないではいられません。沖縄の人々も本土の私たちも平和憲法のもとで本当に安心して暮らせる日が一日も早く来るように、みんなで力を合わせて頑張っていきましょう」と集会アピールを脇晴代さんが提案し、拍手で採択されました。

 次は「沖縄連帯カンパ」の呼びかけです。封筒には「オスプレイ配備反対沖縄県民大会実行委員会に届けます」とあります。集会が終わって集計してみると、たくさんの千円札が重なり、12万円余の多額なカンパが寄せられていました。沖縄のたたかいに寄せている参加者の熱い思いが感じられ、胸打たれる思いでした。「今日の参加者は300人を数えました。多くの集会と重なったなかでの集会でしたが、新しい力を得ました。これを明日からの運動に生かしましょう」との閉会の挨拶で、集会の幕を閉じました。



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高良教授の講演要旨

空も海も県民のものではない

 所沢に来て、こうして話せることができること嬉しく思います。沖縄から本土に来るとやがて富士山が見えます。ところが、帰りに沖縄の空にいくと、低いところを飛びます。空は米軍が支配しているからです。広い米軍基地があります。海も漁業が出来ない場所・時があります。訓練しているときです。空も陸も海も県民のものではないのです。

 沖縄は東京の半分の面積、そういう中に、日本にある米軍基地の8割があります。那覇空港を離陸した飛行機はなかなか高度を上げず、故障かと不安になる時があります。それは、民間機の上を米軍機が飛行するからです。すべて米軍機優先になっています。

 沖縄からはマニラ、上海、台北は東京よりはるかに近いのです。物資を沖縄に運び、那覇で積み替える、そんな使い道もあるのです。現実に全日空がやっています。

 私が帽子を被る理由を言います。憲法には国民が主権者だと書かれています。しかし、国会の慣行の中には戦前の憲法の規則が根強く残っています。傍聴するのに、帽子、杖、襟巻きも不許可です。その抗議のためです。

 国会での会議は公開するのが原則です。主権者の国民にチェックしてもらう必要があるからです。

終結のチャンス逃がす

 とりわけ、現憲法では、主権在民を大事にすることが求められています。戦争をするときその責任は誰にあるかというと、それは主権在民、国民にあるということです。知らない間に巻き込まれてしまったというのではなく、権力の動向を見きわめるチェックすること、戦争の芽を摘んでしまうことを求めています。

 地上戦が行われる前年の10月10日、那覇に空襲がありました。しかし、それが米軍の空襲とは知らなかった。日本軍が演習をしていると思っていました。情報を知らされてなかったのです。たくさんの犠牲が出ました。知らされないということは恐ろしいことです。

 明治憲法の前文、難しくてわかりにくいのですが、そこには天皇のために命を捨てることを謳っています。天皇と軍部は戦争終結の三つのチャンスをみすみす逃してしまいます。1945年2月14日に戦争継続は無理とみた近衛文麿が、天皇に戦争終結を上奏しますが、「勝機を獲なければ軍部が納得しない」と天皇は戦争を続行させます。

 第二に、沖縄地上戦の開始です。初めて沖縄の慶良間でノルマンディーをはるかに上回る地上戦に入ります。1945年5月8日、ドイツとイタリーは降伏して、三国同盟は崩壊し、日本単独で連合軍を相手にした戦争になります。6月23日には司令官が自決して、死ぬまで闘えという指令が残り、集団自決など悲惨な体験は続きます。当初、食料の備蓄もありましたが、爆撃で埋めた場所さえ分からなくなります。「命どう宝」という言葉はこうした体験を通して、命そのものが大事と、人間の尊厳を表すようになりました。

沖縄に来なかった憲法

 第三に、沖縄ではガマに8万人が入り、戦争の終結を待ちますが、7月26日ポツダム宣言が出されても、黙殺し、天皇・軍部は受け入れませんでした。ヨーロッパ戦を目的に製造したが、ドイツの降伏で使い道がなくなった原爆が落とされ、普通でない戦争体験を受けてしまいます。

 こうした戦争の悲惨な体験の中から「武力は放棄する、戦争はしない」という9条がつくられています。

 1946年、芦田首相は憲法を起草する責任者として「この国会の窓から見える光景は、ロンドンも上海もウクライナも変わらない。このような戦争の起きない状態をつくらなければいけない」と演説しました。今、その子供や孫達のなかに、憲法改正を叫んでいる者がいます。

 沖縄の場合、アメリカは国連もごまかして占領体制を維持し続け、祖国復帰の時も密約を結んで、占領体制を40年経った今も維持しています。沖縄には憲法は来なかったのです。

 私は琉球政府立高等学校の最後の卒業生です。東京の受験にはパスポートが必要でした。「本土と沖縄を旅行する日本人であることを認める」とあり、ドルを持ってきました。復帰後は渡航の容易さを実感しています。本土は憲法によるバリアで守られていますが、沖縄は違います。駐留軍用地特措法が1982年から沖縄だけに適用されています。一つの地方公共団体のみに適用する法律は、住民投票による賛成がなければ効力をもちませんが、投票は行われていません。憲法がない状態なのです。日本本土にいた占領軍は、沖縄に広大な軍事基地を置こうが、強大な戦力を備えようが、憲法が適用されないのなら、憲法違反になりようがありません。

 統治者の意のままに強権、無権利状態が続いているのが沖縄です。

 オスプレイが配備されることに反対して、県民大会を開きました。日米政府はこれだけの反対を押し切って配備を強行しています。憲法前文に言う「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」ことに信頼を寄せ、憲法を生かす活動を追求していきたいと思います。




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忘れてはならない、立ち上がり時の魂

三木睦子さんの志受け継いで

「九条の会」が日比谷で講演会

 「九条の会」は9月29日、日比谷公会堂で、講演会「三木睦子さんの志を受け継いで−今、民主主義が試されるとき」を開いた。全国から1800入が参加した。

 自民党が憲法改悪と集団的自衛権の行使を公言する安倍晋三元首相を総裁に再選し、改憲を公然と掲げる「日本維新の会」との連携を模索する中、参加者からは「もっと危機感を持とう」との声が相次いだ。

 呼びかけ人の一人で作家の大江健三郎さんは、「この国は民主主義の国なのだろうか?」と疑義を呈し、原発再稼働ゼロを「承服しかねる」とした日本経団連会長の発言に左右される政府を強く指弾した。「沖縄のオスプレイについて考える人たち、原発再稼働反対の大きな運動は、二つとも憲法にかかわっている。憲法9条を世界に向かって守り抜く、アメリカに向かって守り抜くことが、今現在の日本の民主主義にとって最も重要なこと」と語った。

 憲法研究者の奥平康弘さんは、自民党や維新の会が改憲手続きを定めた憲法96条の改定を正面に掲げ9条の改定を狙っている現状を指摘し、「9条の会が立ち上がったときの魂が問われている」と強調し、「9条の会の魂を再び、選び取ろう」と呼びかけた。

 作家の澤地久枝さんは、「戦争はダメ」と言い続けた三木睦子さんの生き方をエピソードを交えて紹介。民主、自民両党の党首選にふれ、原発再稼働や集団的自衛権の問題を批判し、「私たちの未来がどうなるか選択する場所に立っている」と述べた。




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メディアウオッチ100

池田龍夫(元毎日新聞)

 読売新聞10月11日付朝刊は、1面トップで「日本人研究者、IPS細胞を移植。初の臨床応用」と報じた。山中信弥京大教授ノーベル賞受賞の直後だけに、誇らしいニュースと反響は大きかった。共同通信も同様記事を配信し、東京新聞・北海道新聞・西日本新聞など10紙以上が11日付朝夕刊に1面トップ級で掲載した。

 ニュース源の森口尚史氏(48歳)は、メディア各社に事前に取材要請していたが、毎日・朝日・日経3紙は「森口氏に取材したところ、不審な点がある」と、記事化を見送った。産経は共同電を12日朝刊社会面に扱ったものの、2見出しで控えめな扱いだった。

ハーバード大学など「真っ赤なウソ」と糾弾

 ところが、ハーバード大学当局者は12日朝、同大学「客員講師」を名乗っている森口氏の在籍は1999年11月から2000年1月初旬までの1カ月余りで、「森口氏の移植手術はウソ」と全面否定。「森口氏の研究に関するいかなる臨床研究もハーバード大学及びマサチューセッツ総合病院は倫理委員会によって承認されていない」との声明を発表した。

 また、森口氏は「東大医学部IPS細胞バンク研究室長」と名乗っているが、東大当局は12日、「医学部にそのような機関はなく、室長の役職もない」と述べている。

余りにズサンな取材に驚く

 経歴を詐称して「IPS細胞移植」のニセ発表したことが歴然となり、読売・東京新聞などは誤報を認めて、13日付朝刊1面で「お佗び」せざるを得ない羽目に追い込まれた。何ともみっともない誤報騒動で、世界にも醜態をさらした責任は重い。

 それにしても、「裏取り」の原則をないがしろにして、森口氏の口車に騙されてしまった安易な取材には呆れる。米側のいち早い対応で、「ニセ移植」が暴かれたが、それよりも問題なのは、不思議な経歴の持ち主だったことが念頭になかったことだ。事件後の報道によると、森口氏は東京医科歯科大学・医学部保健衛生学科を卒業、看護師の資格はあるが、医師国家試験の資格は取ってなかったとは驚きだ。ハーバード大や東大の肩書きを、メディア側が調べもせず信じ込んでしまったのだろう。

 朝日の「サンゴを傷つけた」事件では社長が引責辞任、本稿を書きながら、朝日新聞1989年4月20日付夕刊で、沖縄のサンゴ礁を潜水取材した記者がサンゴ礁に自ら「KY」とストロボの柄で傷つけ、環境保護キャンペーン紙面に使った忌まわしい事件を思い出した。地元ダイバーに目撃され、「弁明の余地ない捏造」と、全面謝罪を余儀なくされた。

 今回の誤報は捏造ではないが、誤報責任の罪はサンゴ事件より重大な気がする。当時の朝日新聞・一柳東一郎社長の引責辞任にまで発展してしまったが、読売新聞などが誤報責任についてどう対処するか、注目される。マスロミ全体が事態を深刻に受け止め、綿密な取材態勢の再構築を図ってもらいたいと願っている。




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鈴木彰の「争点は解散時期しかないのかよ?」




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所沢にも残る「米軍通信基地」

葛西建治(山口在住)

 オスプレイの飛行訓練が普天問基地で強行され、県民の怒りが燃え盛るなか、米海軍兵2人が集団強姦致傷容疑で逮捕された。沖縄県では衝撃とともに大きな怒りが広がっている。
 仲井真弘多県知事は「もはや正気の沙汰ではないという感じすら受ける」と強く指弾した。

 基地があると事故と犯罪は隣り合わせだ。「空にオスプレイ、地上には歩く凶器がいる。県民はどこを歩けばいいのか」との市民団体の女性の言葉に怒りは集約される。

 航空公園駅を降りると、檸並木が続き、片側三車線の道路が東西に走る。両側には高層住宅、郵便局、市役所などが並ぶ。航空記念公園の深い木立と野島のさえずりが賑やかな都市空間を形成している。首都圏近郊の典型的ベッドタウンだが、小学校や中学校、保育園が並ぶ文教地域の裏に、周囲を金網で囲まれ、異形の無線アンテナが立ち並ぶ約97万平方メートル(西武ドーム球場の約25倍)草原が姿を表す。この区域が返還されず残っている米軍通信基地だ。在日米軍横田基地と連携する軍事通信局の送信所で、核戦路通信をはじめ東南アジアを含めた米軍機との航空通信や米軍基地間の軍事通信を行ってきたと言われる。

 30万都市、所沢のど真ん中に米軍基地が居座っているが、市民は基地の存在に疎い。迷彩服の米兵が駐留しているわけでもなく、時折、横田基地のヘリが騒音をまき散らす程度で深刻な基地被害はない。基地があることを知らずに転居した人も多いようだ。

 戦前、戦後を通して所沢は「軍都」であった。今でも旧市街を探索すると「軍都」の往時の名残を見ることができる。

 所沢在住の放送作家・高橋玄洋氏は1980年に飛行機事故の責めを不当に負わされ除隊処分になる佐多字吉郎をめぐって繰り広げる愛想劇「人工樹林」で明治末から昭和にかけての所沢のにぎわいと衰退を紹介した。

 藤本所沢市長は12月26日に北関東防衛局を訪ね“第四次返還条件の内容に異存はない”と伝え、所沢市の広報が「返還合意」の発表に関する文章を掲載した(池田義明・編集/基地間題資料第62号)。9400平方メートルの返還に伴う、市税3億8千万円の負担には疑義もあるが、基地の北側の住民が防衛医大に搬送される時、これまでより3分短縮されるという。交通渋滞の緩和のメリットは小さくない。しかし、全面返還は遅々として進まない。いまだ、97万平方メートルの地域が市民の立ち入りを拒んでいる。それが、所沢の街づくりの重大な障害となっている。




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九条を生かす

●「憲活」しませんか

 「たとえ、現在の憲法が十分に沖縄を照らしていなくとも、きちんと憲法を活かして運動していくことが、憲法の照明度を上げることになると思っています。一緒に「憲活」、やってみませんか!」と10月19日の「憲法改悪を許さず沖縄と連帯する所沢集会」で講演した高良鉄美さんが、所沢の皆さんへの通信で、呼びかけました。

 講演の中でも、権利を守っていくこと、戦争への危険をつぷしていくことの大事さを訴えていましたが、それが「憲活」の柱となっています。

 憲法97条では「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に耐へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と謳っています。しかし、今日の現実はどうでしょうか。

●許されない解釈の変更

 集団的自衛権の問題に関して日弁連は「集団的自衛権の行使を容認する動きに反対する」会長声明(7月7日)を発表しています。そこでは、野田首相が衆院予算委員会で、政府が憲法上許されないとしてその行使を禁じてきた集団的自衛権について「政府内での議論も詰めていきたい」「集団的自衛権の一部を必要最小限度の自衛権に含むというのは一つの考えだ」と述べ、憲法解釈の見直しを検討する意向を表明したこと、さらには、自由民主党が、7月6日、憲法改正をしなくても集団的自衛権の行使を「可能」とする国家安全保障基本法案の概要を総務会で了承し、法案化を目指していることを重視してです。

 声明は言います。「そもそも、憲法九条の定める恒久平和主義のような基本原理を政府の解釈や法律によって根本的に変更しようとすることは、憲法が憲法を国の最高法規と定め(第10章)、憲法に違反する法律や政府の行為を無効とし(第98条)、国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務を課す(第99条)ことで、政府や立法府が憲法に制約されることとした立憲主義に違反し、到底許されないものである」と。

●あざ笑うかのように配備強行

 沖縄では県民の大多数の「オスプレイ来るな」の強い気持ちをあざ笑うかのようにして、配備が強行されました。そして、10月23日には普天間基地配備後はじめて2時間にわたって夜間の飛行訓練を行いました。夜間飛行については「必要最小限に制限する」と飛行ルールで定めていながら、アメリカ軍の裁量に委ねられ、ルールはあってなき状態です。オスプレイは岩国から普天間に配備されました。今後全国7つの飛行ルートを我が物顔で飛び回ろうとしています。オスプレイの飛行訓練の露払いのためか、自衛隊機の入間基地からの低空飛行も繰り返されています。

 各自治体でも反対の声が上がっていますが、日米政府は訓練強行の方針を変えていません。

 憲法に違反しての集団的自衛権の行使容認、あるいは県民大多数の意志を踏みにじってオスプレイの配備強行を、といったことを、時の政府が憲法を無視して何でもやれるとなったら、それはこの国のあり方が根本的に問われる問題です。
(編集長 鴨川孝司)。




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BOOK REVIEW

詩集「徘徊者」

 中原道夫氏(上新井在住、当会会員、日本文藝家協会、日本ペンクラブ)が13冊目の詩集「徘徊者」を土曜美術社出版販売から刊行

 あの日、海ではなく陸に向かって走っていった船舶、住処や飼い主を失って迷い続けていた牛や犬の群れ、あれは行き先の判らなくなった文明の末路を象徴するのではないかと、脆弱な現社会を鋭く批判する。
 「詩入会議」「柵」などに発表した37作品を収録した。
定価2625円(本体2500円十税)
問い合わせ 土曜美術社出版販売 03-5229-0730




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紹 介

●〜ロシア・東欧音楽の神髄を聴く〜加登萌々子ヴァイオリンリサイタル

 加登萌々子さんは日本ユーラシア協会会員で新進の若きヴァイオリニスト。都立芸術高校卒業後、国立モスクワ音楽院に留学。首席で卒業。内外各地で演奏活動を行っている。
日 時:11月15日(木)、19:00開演
会 場:ミューズ・キューブホール
入場料:全席自由2500円、シルバー、学生2000円
主 催:日本ユーラシア協会所沢支部
問い合わせ 042−397−1864溝田



●「基地周辺のくらしと平和を考える集い」

〜オスプレイ配備・米軍・自衛隊の低空飛行問題を考える〜
講 演:塩川でつや衆院議員
日 時:11月IO日(土)13:30から
会 場:狭山市民会館第4会議室(狭山市駅西口歩10分)
参加費:300円(資料代)
主 催:基地周辺の安全を考える実行委員会




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