機関紙78号 (2012年6月27日発行)



もくじ

「どっちがホント」新聞は国会事故調の「菅前首相証言一をどう報じたか
    気になる日米報道の温度差
    梅田正己(書籍編集者)
     重要だった菅証言
     菅氏の主張をぽかす

野田首相、防衛相に元自衛官の森本敏氏を起用、文民統制で疑義あり

いま、私は言いたい
    「改憲」へのひとこと
     鈴木太郎(詩人 中新井在住)

    「安保」の意識も変化の兆し
     中村 勝(小手指在住)

    「日本」は独立国?
     畑中 繁(牛沼在住)

    被災地を訪ねて
     伏木野 静代(山口在住)

憲法一記念日の地方紙の社説を読んで

鈴木彰の「どこゆくの? 民自公維の液状化」

「メディアウオッチ100」
   池田龍夫(元毎日新聞)
    菅前首相が「論点整理」に反論

沖縄リポート
    「オスプレイ来るな」と沖縄で大集会

九条を生かす
    ●国が認めた国民監視活動
    ●名古屋高裁判決から学ぶ

紹 介
    東京新聞がダントツでした

坂本修弁護士が新ブックレットを刊行

短 信
   ●アーサー・ビナード氏を講師に招き、第50回所沢母親大会
   ●2012平和のための埼玉戦争展
   ●2012所沢平和のための戦争展





「どっちがホント」新聞は国会事故調の「菅前首相証言一をどう報じたか

気になる日米報道の温度差

梅田正己(書籍編集者)

 5月28日の国会事故調での菅直人前首相の証言についてニューヨークタイムズの記事を見る機会を得た。

重要だった菅証言

 記事は5月28日付(米国時間)、マーティン・ファックラー記者による。なお、この質疑応答は、英語で同時通訳されたとのことである。

 では、NYタイムズはどう報じたのか、重要と思われる部分を、私の50年来さびついた“受験英語”で訳してみる。  まずはリードです。

 《国会の事故調査委員会において、昨年の原発危機のさいの日本の総理大臣は、フクシマの事故が日本を国家的崩壊の崖っぷちに追いつめたことにふれ、この国として余りにも危険な原子力は放棄すべきだと語った。》

 《国会事故調での証言で、前首相、菅直人氏はまた、強力な政治力をもつ原子力産業は、痛恨の事故にもかかわらず、日本を再び原子力の方に引き戻そうとしている、と警告を発した。》

 《この証言において、菅氏は、日本の原子力プラントは安全性において欠ける、と述べた。なぜなら、この国の原子力産業は“原子力ムラ”によってハイジャックされているからだというのである。原子力ムラとは、原子力企業と推進派の管理機関、研究者たちをいう。その結束を破るただ一つの道は、完全な部外者一一たとえばアメリカやヨーロッパから招いた専門家も加えた一一による規制機関をつくることだと、菅氏は語った。》

 《ゴルバチョフ氏はその回想録の中で、「チェルノブイリ事故によってソビエト・システムの病根が暴き出された」と述べていることを引いて、菅氏は「日本にとってフクシマがそれだった」と言った。》

 《菅氏は、3時間にわたる証言の多くを、東北日本の広域を放射線でおおった事故の対策に対する批判を交わすのに費やした。》

 《菅氏はまた、地震の後、現地のスタッフが過熱した原子炉と悪戦苦闘していた最中に現場を訪れて邪魔をしたことについての批判に対し、いろいろと弁明した。》

 《しかし、彼の最も強いコメントは、調査会の最後、現首相に対して何か助言したいことはありますか、という質問に対して吐き出された。菅氏は、こう答えたのだ。一一あの事故は、首都東京と首都圏の3千万の住民が避難させられかねない瀬戸際のところで起こった。首都が失われれば、政府の機能もマヒさせられ、国全体が崩壊しかねないところまで埠いつめられるだろう。》

 《東京壊滅の恐怖は、彼に、原子力はあまりに危険すぎること、事故による惨禍は日本が受け入れるにはあまりに大きすぎることを思い知らせた。》

 《原発事故による国家崩壊の危険を十分に防ぐことのできる保証を見つけることは不可能である、と菅氏は言った。そしてさらに、今回の事故を経験することによって私が得た確信は、原発の安全を確保する最良の道は、原発に頼ることをやめることである、と。》 

 《しかしながら、野田首相は、こうした警告を心に留めているようには見えない。事故調から数時間後、首相は、彼が近いうちに西日本の大飯原発再稼動を決定することをほのめかした。それが、停止中の他の原発の活動再開への第一歩となることを、彼は望んでいる。》

 以上が、NYタイムズによる「菅証言」の報道である。

菅氏の主張をぽかす

 さて次に紹介するのは毎日新聞5月29日付の報道である。まず1面。トップに《福島原発、菅氏「国の想定不十分」》《国会事故調で「おわび」》の見出しがあり、《菅氏の主な発言》として、6項目が挙げられている。

 「事故の最大の責任は国にある」「事故想定が不十分だった」「原子力安全・保安院の組織が不十分だった」「原発を視察したのは、現場の状況を把握するため」「海水注入の中断指示は私の意向とは全く違う」「緊急事態宣言の発令はもっと早ければとの指摘は受け止めるが、支障はなかった」

 ご覧のように、NYタイムズが最も重要だと聞き取り、記事の大半を使って報じた菅氏の主張、菅氏自身も最も力を込めて述べた主張は、この「主な発言」には入っていない。

 毎日新聞の記者、デスクにとっては、さほど重要な発言ではないと思われたのか、それとも、もう首相の座を去ったものの意見など聞く必要はないと考えられたのか……。

 次に2面。ほぼ全面を使って報じられている。その見出しだけを紹介しよう。まずトップの見出し。

 《国会事故調菅氏聴取一一東電批判と自己弁護》次いで、記事の見出し。《「全面撤退」打診一一「とんでもないことだ」》《海水注入中断指示一一「私の意向と全く違う」》《現場への過剰介入一一「叱責のつもりなかった」

 この見出しだけを見ても、なるほど「自己弁護」に終始したのだなと読み取れるように作られている。

 ただコラムがあり、そこには《「脱原発、最も安全」一一原子力ムラを指弾》のやや小さい見出しがある。菅証言の最後の発言が紹介されているが、いかにもつけたりだ。

 もう一つ、ふれておきたいのは、同じ紙面に上のコラムの倍の大ささを使って掲載されている中西寛・京大教授(国際政治学)のコメントである。そこで中西教授は昔前首相の事故当時の行動について、こうコメントしている。

 《事故調のやりとりで感じたのは、菅直人前首相が未曾有の複合災害に振り回され、後追いを続けたということだ。早い段階で情報収集と指揮命令の系統を確立すべきだったのに、菅氏の発言からはそうした意識はうかがえなかった。》

 この京大教授は、去年の事故当時のテレビを見ていなかったのだろうか。本人自身が「未曾有の複合災害」と言っている。だれもが夢にも思わなかった、まさしく「未曾有」の事故だったのだ。

 全電源が喪失し、原子炉が暴走を始めるという、原発の技術者も、研究者も想定外の「起こるはずのなかった」事故だった。だから事故のあと、日にちがたっても格納容器の中で何が起こっているのかわからない、東電も、保安院も、原子力安全委員会の研究者も、だれも何も説明できない。そんな状況がつづいた。だれもが覚えていることだ。

「打つべき手」があれば

 菅氏を擁護しているのではない。肝心の情報が途絶している中で、打つべき手も見えず、打ちたい手があっても打てぬとなれば、「振り回され、後追いを続けた」のも当然だった。

 最大の問題は、原発にこうした事態は起こらないと、それこそ「安全神話」の上にあぐらをかいて原発を推進してきたことにこそあったのだ。

 そうしたことは棚に上げて、1年以上もたったところで、「早い段階で情報収集と指揮命令の系統を確立すべきだった」などとしたり顔で言ってのける、その神経が分からない。しかもこの人物の肩書は「国際政治学者」だ。

 毎日新聞は、何でわざわざこういうコメンテーターを起用したのだろうか?

 メディアにおける「菅おろし」がいまだに続いているのではないか、そう思えてならない。



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野田首相、防衛相に元自衛官の森本敏氏を起用、文民統制で疑義あり

 野田首相が自衛官出身で民間人の森本敏防衛相の起用に対し、政治の軍事に対し優先を確保する「文民統制(シビリアンコントロール)」で疑義があるとの議論が拡大している。

 森本敏氏は航空自衛隊から外務省などを経て学界に移った安全保障問題のエキスパートだ。同氏はこれまで、自民党の立場で、自衛隊の任務と役割の拡大を訴え、防衛官僚や自衛官である「制服組」も交えた勉強会を長年主宰し、自衛隊を「国防軍」に改めるべきだとも主張してきた。

 憲法九条に関しては、自衛隊の海外派遣を推進する立場から「日本領域外の武力行使を再検討すべき」との立場を取っている。周囲は「防衛省、自衛隊の代弁者」との見方をしてきた。

 現在、政府が違憲と解釈する集団的自衛権行使を主張したことで知られるタカ派の論客でもある。

 森本氏起用に対する疑義は二つという。第一は森本氏が国民に直接選ばれなく、それで.「文民統制」が成り立つのかとの部分である。第二は森本氏の自衛官出身という経歴だ。

 文民統制が軍部の力を抑えることを想定したシステムであれば、自衛隊と考えを共有する可能性がある出身者を防衛相に起用することは問題がある。自衛官を退官させ、民間人にした上で、防衛相に起用することが認められれば、文民統制は崩壊することになる。

 戦前の陸軍大臣を彷佛させる人事だ。自民党のブレーンのタカ派を防衛相に据える、民主党の狙いは何なのか。改憲論議が加速することを危惧する。
(葛西)



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いま、私は言いたい

「改憲」へのひとこと

鈴木太郎(詩人 中新井在住)

 自民党の「改憲草案」が4月27日に発表された。やはり、というか、当然というか、戦争への道に向かおうというものだった。もともと2005年の「改正案」でも9条2項で「自衛軍の保持」を明記されていたが、今回は「国防軍を保持」し、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行なわれる活動」を強調している。すくなくとも、海外派兵をも認めていくものである。これを、許すことはできない。

 かつての戦争の犠牲の上にうまれた憲法9条の重みを考えたとき、わたしたちのいまがいかに大切であるのか、ということである。戦争のない世の中をめざすとき、国の軍隊は必要のないものである。

 もう一点、102条で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」ということである。なんということか。現行99条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」となっている。まったく逆転した考えである。

 このようなことになったら、どうなるのか。国防軍を明記した憲法を国民に尊重しろと強制することになる。もってのほかである。といいたい。

「安保」の意識も変化の兆し

中村 勝(小手指在住)

 先日の学習会で配られた資料の中に、2010年11月に行われたNHKの「安全保障に関する世論調査」集計結果というのがあった。(安保改定50年の年)私は、大多数の日本国民の安保条約への態度は一貫して肯定的なものと思い込んでいた。確かに「安保条約によって日本の安全が守られたしという回答が75%を超えているが、一方で「アメリカの国際戦略の一翼を担わされたと思う」が63%に上っている。さらに「在日米軍基地の負担が重くなった」(71・7%)「日本独自の外交ができなかった」(62・2%)と思う人の比率も高い。安保条約の今後については「今のままでよい」(42・4%)「弱めるべき・解消すべき」(20・9%)と考えており、これからの安全保障体制については「日米関係を基軸に」は18・9%と少数で、55・2%は「アジアの多くの国々との関係を軸に、国際的な安全保障体制を築いていく」と答えている。

 なお、米軍基地については「今程度でよい」(44・6%)「今より減らす」(39・O%)とほぼ二分されており、沖縄の戦いが一定程度反映しているとも見られる。

 全体として、この一連の回答は一人の人間に置きなおしてみればかなり矛盾したものとなっており、安保条約に対する判断の揺れが感じられる。

 安保条約廃棄のためにはどのような訴えが効果的かを考えるうえで示唆に宮んだ内容といえると思う。

「日本」は独立国?

畑中 繁(牛沼在住)

 沖縄が帰ってきて40年。だがいまだに日本国内にある米軍基地の74%が沖縄にある。アメリカは日本を守ってあげているのだから当然と思っている。安保条約第6条・基地許与のなかでのいわゆる地位協定しかりです。犯罪者を日本の法律で裁けない。 アメリカの言いなりの感がするのです。条約は対等の立場で結ぶものですが、一方の言いなりでは条約とは言えない。押し付けの協定です。

 アメリカから見れば、憲法九条はあってないに等しいもので、戦後警察予備隊から保安隊そして自衛隊とお古の武器が大量に余ったので日本に売りつける。ちょいと強気に出れば、日本の政治家は首を縦に振る。日本の国益よりもアメリカの顔色をうかがっているとしか思えない。

 講和条約発効60年。もうそろそろ独り立ちしなければと思うのだが、アメリカはアジアの安定などと体裁のいいことを言っているが、本音は自国の国益が第一である。最近では、F35の値上げである。EUのある国は契約を破棄したと言う。日本は認める腹らしい。

 アメリカは思っている。日本はアメリカの51番目の州であると。アメリカは日本を本当に対等な独立国と思っているのだろうか。いや思っている人はごく少数だろう。

 日本は独立国たる自覚に目覚め、沖縄から基地を無くして、憲法九条を誇りを持ってアメリカに伝える政治家が出て欲しいものだ。

被災地を訪ねて

伏木野 静代(山口在住)

 介護度2の92歳の母と暮らして半年。そろそろ、ご褒美に旅にでも行かせてもらいたいなと思いました。

 ショートステイに早めに予約を入れて、OKをもらってからツアーを申し込みました。

 昨年の3・11以来、ずっと気になっていた被災地をぜひ訪ねたいと思っていました。

 岩手県田野畑村で津波体験語り部ガイドのお話を聞き、名所を回るという一泊二日のツアーに参加しました。

 新幹線で盛岡まで行き、そこからバスで三陸海岸の田野畑村へ行きました。

 近くに「北山崎」という景勝地があります。北リアス線の「島越」の元駅長がガイドしてくれました。

 地震が起きた後、海のそばの小高い所で避難していたら見る見る海が盛り上がってきて、あわてて、すぐ後ろの崖をよじ登って危機一髪で助かったそうです。

 「鳥越」駅は上りも下りも駅を出るとすぐトンネルですが津波で線路もメルヘンチックな駅舎も殆ど流されてしまいました。

 駅周辺は元駅長の家も含めて住居は全てありませんでした。津波に対して垂直に建っていた宮沢賢治の詩碑のみ残っていました。

 家族は無事だったけれど30年近く駅長をやってきた彼女は心労も重なり、1カ月入院したそうです。被災後の劣悪な状況が犠牲者を増やしていると思います。

 浄土ヶ浜の近くの山の上の何もない所に突然、仮設住宅が建っていました。そこが旅人が思う程に不便でないことを願っています。




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憲法一記念日の地方紙の社説を読んで

 前号の「在京各紙は憲法記念日に何を伝えたか」に続き、今回は地方紙の紙面に眼を向けよう。

 北海道新聞は社説「震災便乗の議論を危惧する」で、「改憲は緊急事態重視から」とする改憲派を警戒した。「被災者の多くは憲法25条の生存権すら回復していない」「憲法の理念を復興に生かすことこそ、政治の責任」と改憲論議を批判している。

 東奥日報は「いま求められているのは被災者の基本的人権の早期回復」と指摘。

 岩手日報は「憲法が国民の生活や国の施策に生かされているか問い続ける」と強調した。

 被災地の地元新聞、福島民報は「居住自由回復を急げ」と放射能被害の設定や被爆による健康不安に「憲法をどう生かすか」「環境整備が焦眉の急」と求めている。

 神戸新聞は「自然災害に加えて福島原発が地域再生を困難にする。憲法が保障する幸福追求権とはあまりに遠い暮らしが続く」とその深刻さを阪神淡路大震災の経験から指摘する。

 原爆の被災地の中国新聞は「戦後日本は憲法の平和主義を通して国際的信頼を回復してきた」と憲法の平和生存権を生かす立場を強調、自民党の改正草案が九条に「国防軍」を明記、前文から「全世界の国民が…平和のうちに生存する権利…」を削除したことを厳しく批判した。

 沖縄の琉球新報は「県民は主権者として平和憲法の恩恵を実感できる沖縄の実現」しかないのだ。

 野田首相訪米で日米が中国を意識した「動的防衛力」の強化に動き、先島への自衛隊配備の前のめり、安保の「専守防衛」という「国是からの逸脱の動きが加速することは危うい」と強く警戒した。

 沖縄タイムスも「沖縄では憲法の主権在民が全うされているとは言難い」「国民の生命と財産を守るはずの安保条約が逆に県民を脅かす要因となっている」と指摘、主権侵害への怒りを論じた。

 今年の憲法記念日の社説、記事は全国的に平和主義と主権在民、基本的人権が脅かされている現状を打破して、生存権や幸福追求権を確保するよう呼びかける論調が目立った。
葛西 (協力・新聞0B「九条の会」)




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鈴木彰の「どこゆくの? 民自公維の液状化」




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「メディアウオッチ100」

池田龍夫(元毎日新聞)

菅前首相が「論点整理」に反論

 菅直人前首相は6月10日付のプログで、国会原発事故調査委員会(黒川清委員長)が6月9日に発表した「論点整理」について反論している。

 毎日新聞12日付朝刊などが内政面で報じているが、もう少し詳しく扱ってもらいたかった。「首相官邸の過剰介入」への反論などに一理あるとも思えるので、プログの内容を紹介して、参考に供したい。

 「6月9日に発表された国会事故調の論点整理において、官邸の『過剰介入』という指摘がなされ、注目が集まっている。たしかに、本来、原災法が想定していた仕組みでは、原子力発電所の敷地外に関しては.『オフサイトセンター』を中心に対応し、敷地内での原子炉に対する事故対応は事業者である東電が中心に対応する仕組みになっていた。その意味では、事故発生から3月15日に政府・東電統合対策本部が東電本店内に設けられるまで、官邸が中心になって事故収拾に直接関与したのは異例と言えるだろう。しかし、異例ではあるが、今回のような、東電も保安院も想定していなかった。過酷事故が起きた状況においては、官邸として、そうせざるを得なかったのが現実であった。その事が、国会事故調に理解されていないとしたら残念である」。

 「事故発生直後から、東電からは官邸や本部長である総理に、電源車の搬送への協力要請や、住民避難を必要とするベントの了解を求めてきた。さらに、今回のシビアアクシデントでは原子炉や使用済み燃料プールヘの注水においても東電単独では実行できず、自衛隊、消防、警察など各方面に官邸から出動を要請するなど、オンサイトに関することも含めて事故対応に当たらざるを得なかった。もし官邸が動かなかったならば、結果はどうなったか。私は、他の政府機関が十分に動かない以上、官邸として、また原災本部長として、直接対応せざるを得なかったと、今でも考えている」。

 官邸・東電間で交わされた記録の公開を「『撤退問題』では、発電所長をはじめ現場の皆さんは最後まで頑張る覚悟であったことは、その通りだと私も思っている。しかし、清水社長が経度大臣と官房長官に電話をし、両大臣が『会社としての撤退の意思表示』と受け止めたという事実は大きい。これを官邸の誤解と一蹴するのは、やはり一方的な解釈と言わざるを得ない。こうした解釈の背景には、国会事故調が入手したいかなる情報があるのだろうか。例えば、国会事故調の担当委員は東電本店と福島第一サイトのテレビ会議の記録を見て調査したと述べている。そうであるなら、原発事故発生から今日までの記録を、私が東電本店で社長や会長など約200人の東電幹部を前に話した場面も含めて、国会事故調の責任において全て公開していただきたい」ビデオに収録したという「菅前首相の東電幹部叱責」場面などの公開要求に対して、国会事故調の判断が迫られている。




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沖縄リポート

「オスプレイ来るな」と沖縄で大集会

 6月17日、沖縄県宜野湾市で行われた「オスプレイ配備反対」の市民集会(市や市議会、住民代表など市内42団体で構成する実行委員会主催)に参加し、幅広い人たちの参加と「基地はいらない」「オスプレイ来るな」に寄せる思いの深さを感じました。

 参加者は5200人、野球のユニホームを着た小学生と中学生が100人ほど、各自治会の旗や婦人連合金、PTA連合会の旗などがひらめき、参加者の多彩さが目に飛び込んできます。

 泣かされたのは、各会の発言のトップで発言した高校1年生の喜屋武雄さんの最初の言葉「なぜ米軍基地は日本に必要なのでしょうか。日本を護ってくれるからと言います。ではなぜこんなに沖縄に基地が集中し続けているのでしょうか」と。なんと答えられるか、何をしてきたかが、ぐさりときました。

 危険きわまりないオスプレイが、みんながいやだと言うのに押しつけられる。しかも集会の前日落ちたという報道がされたばかり。04年には、ヘリ墜落で大惨事を経験している人たちの日米政府への怒りが伝わります。次は県民大会が必要だと訴えていました。

 県外からの数少ない参加者として、この思いを多くの人に伝えなければならないと思って帰ってきました。(鴨川孝司)




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九条を生かす

●国が認めた国民監視活動

 5月30日付の「しんぶん.赤旗」に、「国側が国民監視を認める」という見出しの記事がありました。自衛隊情報保全隊に平和活動などを監視された市民らが監視の差し止めを求めた訴訟の控訴審で、国側が情報保全隊の国民監視活動を事実上、認めた控訴理由書を提出したとの報道です。

 国民監視訴訟をめぐっては3月26日、仙台地裁での一審判決が監視の事実と違法性を認め原告5人にたいする損害賠償の支払いを命令したものの、監視活動の差し止め請求は却下し、原告・被告ともに仙台高裁に控訴していました。一審で国側は、情報保全隊による国民監視活動について記録した内部文書についても、監視活動についても、認否を拒否していました。

 原告弁護団事務局長の小野寺義家(よしかた)弁護士の話が紹介されています。「これまで秘密のベールに包まれていた情報保全隊の国民監視活動を正式に認めたものであり、憲法上も基本的人権上もきわめて重大な事実があらためて明らかになった。国側が情報保全隊の監視活動の目的と必要性を主張したことで、監視活動の実態が控訴審での審議の中心になり、自衛隊の責任者の証人尋問が必要なことも明らかになった。原告弁護団としては、監視活動の実態を明らかにするために徹底的にたたかっていきたい」と。

 違憲の自衛隊の存在が、その内部において自衛隊独自の規律を作り、それが一般社会に住む市民の人権を抑圧する事態を引き起こすところまで来ています。もし反撃が弱ければ、違憲状態が当たり前の状況になってしまいます。国が自衛隊の存在を国民に押しつけ、推進するという恐ろしい現実の中で、私たちは生きているのだと言うことを自覚し、憲法をしっかり守る大事さを教えていると思いました。

●名古屋高裁判決から学ぶ

 08年4月、イラクでの空輸活動は憲法第9条1項に違反の「武力行使」という名古屋高裁の違憲判決がでた際、内藤功弁護士が「名古屋高裁の判決から何を学びどう生かすか」という論文で、3千人を超えた集団訴訟のきっかけは、みのわ澄元防衛政務次官(自民党元衆議院議員)だった」を明らかにし、次のように結んでいます。「砂川、長沼の継承としての名古屋高裁違憲判決を味読して、身につけ、多くの人にこれを伝え、いつしょに読み合わせ、憲法九条の精神と平和的生存権の精神をひろめ、闘いの理論的武器として、存分に活用しようではないか。それは、巨大な地下水流ともなって、日本を平和のとりでとする力になるだろう」と。

編集長 鴨川孝司




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紹 介

東京新聞がダントツでした

 通販生活が3・11以後の「原発報道」で、あなたがいちばん頼りにしている新聞(全国紙、地方紙問わず)を一組だけあげてくださいと識者1OO人に聞きました。

 回答を寄せた48人のうち「読み比べていないから一組だけあげられない」などが9人。新聞名を一組だけあげた39人のうち、実に25人が「東京新聞」でした。

 「東京新聞」愛川欽也(俳優、作家)、落合恵子(作家)、山口二郎(政治学者)、金子勝(慶應義塾大学教授)、春山リカ(精神科医)、佐高信(評論家)、広河隆一(写真家)、山田太一(脚本家・小説家)、田中優子(法政大学教授)、鈴木邦男(一水会顧問)ら%人。

 「朝日新聞」枝廣淳子(幸せ経済社会研究所所長)、倉田真由美(漫画家)、菅谷昭(松本市長)ら8人。

 「産経新聞」森永卓郎(経済アナリスト)1人。

 「毎日新聞」松崎菊也(戯作者)1人。

 「地方紙」大林宣彦(映画作家)新潟日報、鎌田實(医師)信濃毎日新聞、武田邦彦(中部大学教授)北海道新聞、溝口敦(ジャーナリスト)しんぶん赤旗。




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坂本修弁護士が新ブックレットを刊行

東京新聞がダントツでした

 このほど、坂本修弁護士のブックレット「比例定数削減反対、民意の反映を一一明日のための今日の選択一一」が出版されました。

 このブックレット作成のきっかけになったのは、所沢9条の会連絡会で、動き出している改憲策動に対して情勢をしっかりつかみ、市民への啓もう活動を積極的に取り組もうと、坂本弁護士を招いて講演会を開いたことでした。

 ブックレットでは、自民党をはじめとする改憲勢力の策動の内容の解明、そして何故このような事態がたくらまれているのか、17年に及ぶ小選挙区制の下で行われた選挙がいかに民意をゆがめたものとなり、その間の政治が日本の進路を戦争への道に進み、また国民への犠牲の押しつけを際限のないものにしているか、そして、それを変える運動の環に、民意を反映させる選挙制度の確立があり、そのたたかいの重要性と新たな発展の可能性についての問題提起がされています。

 今、民主党が執拗に身を削ると議員定数削減をいっています。それは民意の反映しない現在の選挙制度をさらに改悪して、人気の衰えた二大政党の温存を図ろうとしているからです。それを許してはならないこと、それは「比例を軸に」を掲げて運動することだと強調しています。

 浜林正夫・一橋大学名誉教授「橋下徹とアドルフ・ヒトラー」、吉川春子元参議院議員「国会議員の削減によって結局、何を削減してしまうのか」、小野寺義家弁護士「削られるのは民意・被災者の声」の三氏の特別寄稿が時代の貴重な証言となっています。購入希望者は事務局まで。




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短 信

●アーサー・ビナード氏を講師に招き、第50回所沢母親大会

日 時:7月1日(日)10:15〜16:00
場 所:コーププラザ所沢
午 前:分科会
午 後:全体会と分科会報告

記念講演:「原子力の夢と私たちの現実」講師アーサー・ビナード氏

●2012平和のための埼玉戦争展

日 時:7月26日(木)〜30日(月)10:30〜18:00 会 場:浦和駅西口前コルソ7階ホール 
    26日、みんなで歌おう。
    26日、ピーストーク、吉川春子さん「従軍慰安婦」問題の解決に向けて。
    27日、平和寄席、春風亭小柳技師匠。
    27日、ピーストーク、藤田昌士さん「蓼科書問題を考える」ほか。

●2012所沢平和のための戦争展

日 時:8月19日(日)〜21日(火)
会 場:所沢市役所1階「市民ギャラリー」
    広汎隆一さんの福島原発開運写真20枚を展示予定。




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