機関紙76号 (2012年4月24日発行)



もくじ

野田内閣はどこに向かうのか、求められるメディアの権力監視
    騒然たる様相のなかで隠される本当の問題
    許させない大飯原発再稼働
    沖縄常駐化の地ならし

憲法記念日にむけて改憲派動き強める

改憲の動き

「原発事故から1年 各地の3・11脱原発集会」

鈴木彰の「石橋を叩かず渡る確信犯」

橋下徹大阪市長と改憲と原発
   北村 肇(「週刊金曜日」発行人)
    96条の改悪を目指す
    「父権主義」の復権か
    世論調査の利用
    綿密な現状分析が必要

「所沢米軍通信基地を返せ」と平和委員会が街頭宣伝

小出裕章さん(京大助教)が飯能で講演
   「法治国家であるならば裁かれるべき」
  大場崇弘(所沢市職労)
   求められる個の自立

「メディアウォッチ100」
   池田龍夫
    原発再稼働「新安全基準」の危うさ
    わずか2日間、あの「保安院」が決定とは
    若狭湾の風下“近畿の水かめ”琵琶湖が心配
    「再稼動の見直し」にとりくめ

祖国復帰40年、沖縄から見える安保の現実
   鴨川孝司
    普天間の改修費も要求
    卒業式に鳴り渡る爆音

九条を生かす
   ●大飯原発再開を巡って
   ●先に結論ありき

日本キリスト教協議会が新しい冊子を刊行

短 信
   ●2012年 輝け九条生かそう憲法平和とくらしに被災地に5・3憲法集会
   ●九条の会発足8周年学習会
   ●憲法記念日学習会





野田内閣はどこに向かうのか、求められるメディアの権力監視

騒然たる様相のなかで隠される本当の問題

桂 敬一(元東大教授)

 4月13日は朝が「北のミサイル」発射、夕方は関西電力・大飯原発再稼働の政府決断発表で、この日から翌日にかけて、テレビ・新聞は大忙しとなった。だが、ではそこで国民にとって大変なことはなんだったのか、政府のなすべきことなんなのかとなると、大騒ぎの割には本当の問題がみえてこない、というのが大方の実感ではなかったか。

 とくに、京都・祇園のワゴン車暴走事件、連続「練炭殺人」事件の女性容疑者死刑判決などのニュースも重なり、メディアはいっそう騒然たる様相を呈し、なにが大事なニュースかを嗅ぎ分けるわれわれの感覚も、狂わせられてしまう感じだった。

許させない大飯原発再稼働

 このようなニュースの錯綜のなかで、猜疑心が強い私としては、大飯原発稼働再開決定のニュースが、一番臭いボールのように思えた。

 政府の決定に当たっては、判断の根拠、安全基準が問題だが、それは、9日の関係閣僚会議が「大飯原発の安全性はおおむね確認できた」とした際の基準と同じであり、関係自治体や多くの識者から不安の声や批判が寄せられていたものだ。そういうものをなんでそのまま用い、拙速の結論を急いだのか。しかも同時に、枝野経産相がその方針を持って翌14日、福井へ出かけ、知事に伝えるという日程も決め、これもあわせて報道発表したのだ。これら再稼働をめぐるニュースは、「北のミサイル」のニュースが溢れ返る14日のメディアによって、さりげなく提供された。

 東京新聞の朝刊社会面は、いみじくも「発射の陰 拙速結論 再稼働方針決定」とする大見出しを掲げたが、まったく同感だ。

 大飯原発が政府の目論見どおり再稼働に入れば、それは、全国で定期点検明けを待っている多数の原発に対して再稼働の先鞭をつける役目を果たし、せっかく高まりをみせつつある全国の脱原発運動に、冷水を浴びせるだろう。それでは、福島原発事故の被害者が犠牲を払って学ばせてくれた多くの教訓を、われわれは無に帰してしまうおそれがある。

 一方、「北のミサイル」騒ぎの怪しさも見逃すわけにはいかない。どのメディアもなんでいちいち「北朝鮮が人工衛星という事実上の弾道ミサイル」という同じ表現を繰り返すのだろう。人工衛星もミサイルもロケットを使う点では共通するのだから、「ロケット」といえば済むではないか。そうしないのは、「北」はいつ日本に攻めてくるかわからない危険な国だ、とするイメージを国民に刷り込もうとするせいではないか。

沖縄常駐化の地ならし

 政府は、有事法制の国民保護法に規定されている「武力攻撃事態」を想定、沖縄が攻撃対象にされているとし、軍事警報システム「Jアラート」を発動、沖縄・石垣島などへの自衛隊派遣・ミサイル迎撃用のPAC3とイージス艦の配備を行い、首相はミサイル撃墜命令を発した。自衛隊は在日米軍と一体になってこの作戦に当たることとなった。本土のメディアはそれを当然のことのように伝えているが、沖縄現地の新聞は、これは自衛隊の沖縄常駐化の地ならしとなり、沖縄の基地負担の軽減どころか、新たな負担増加を招く日米軍事一体化の促進に帰結するのではないか、との懸念を示す。もっともな心配だ。最近の日米協議でアメリカは、沖縄の海兵隊のグアム移転人数を減らすとしながら、移転費用の日本側負担の増額を要求しだしている。

 よろめく野田内閣はどこに向かうのか。メディアには、その危うい動きをしっかり捉え、機敏に方向修正に努めてもらいたい。だが、メディア自身がブレる自分を省みることができないのでは、心許ないことこのうえない。



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憲法記念日にむけて改憲派動き強める

 5月3日の憲法記念日にむけて改憲派の策動が強められています。

 自民党は、4月28日に新たな改憲草案を発表するため党内議論を進めています。

 同党憲法改正推進本部が総会を開き、改憲案取りまとめに向けて議論しました。「自衛軍を保持する」とした起草委員会原案に対し、「国防軍とすべき」など、より強硬な意見が続出し、結論は総務会に委ねることになりました。

 自民、民主、公明、みんな、国民新など各党の改憲派議員でつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は、5月1日に国会内で「新しい憲法を制定する推進大会」を開催します。

 改憲手続き法で、改憲原案の審査権限をもつとされた衆参の憲法審査会は、4年あまりの凍結を破り、昨年10月に民主、自民両党などにより始動が強行されました。国民投票法の投票年齢や、公務員の投票運動規制をめぐる法整備が進んでいない問題について議論しています。



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改憲の動き

2月
 26日 自民党の安倍元首相は橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」が、「憲法96条の国民投票に付する条件を変える」などの提言を評価し、連携に前向きな姿勢を示す。
 27日 自民党は、第2次憲法改正原案に、天皇の元首化、9条に自衛軍明記と集団的自衛権の行使を明記。
 28日 自民党憲法改正推進本部が予定していた第2次憲法改正草案の原案決定を見送る。
 29日 参院憲法審査会が開かれる。18歳選挙権問題や国公法改定など審議。
 29日 民主党憲法調査会は、国会内で総会を開き、憲法改正に向けた党内論議を始めた。
3月
  2日 自民党憲法改正本部は役員会で、第2次憲法改正草案を決定。
  4日 読売新聞は社説で「自民党憲法草案」=「『緊急事態』を軸に改正論議」を掲載。
  5日 橋下徹大阪市長は記者団に、憲法9条は「何もしなくても平和は維持される。平和を維持するためには、自ら汗をかかないというのが根源の精神だ」とけなす。
  6日 自民党は憲法改正推進本部の全体会合で、2日に決定した第2次憲法改正草案の原案をもとに、意見集約に着手した。
  7日 新憲法制定議員同盟が国会内で会合開催。会合では、読売新聞の村岡彰敏編集局次長が憲法改正論議の経過を紹介した。
  7日 各党などの改憲派でつくる「衆参対等統合一院制国会実現議員同盟」は衆院議員会館で役員会を開く。国会を一院制とする憲法改正原案を今国会に提出する方針を決める。
 10日 大阪維新の会は、大阪市内で全体会を開き、「船中八策」を討議。憲法9条改正の是非を問う国民投票の実施、首相公選制、参院の廃止の検討を基本に据えるなどを了承。
 22日 衆院憲法番査会開催。選挙権年齢と成人年齢の18歳への引き下げにかかわり、憲法教育などについて各省庁から説明を聞き、討議する。
 23日 民主党の憲法調査会で、緊急事態非常事態を想定して対処する規定を憲法に設けることについて、外国の例などを参考に論議する。
4月
  5日 衆院憲法審査会開催。国民投票のあり方で自由討議。自民党は次期衆議院選挙公約に憲法改正、憲法改正発議要件の衆参それぞれ緩和を明記。




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「原発事故から1年 各地の3・11脱原発集会」

 郡山市の開成山球場で「原発いらない! 3・11福島県民大集会」に1万6000人が会場を埋めた。歌手の加藤登紀子さんが「100万本のバラ」を歌う。

 井の頭公園では「震災復興・なくせ原発」に8000人が参加し、集会後に市内をパレード。「○○の九条の会です。憲法改悪は許さないぞ」の声も上がった。

 震災復興、さよなら原発3・11千葉県民集会」は、幕張海浜公園で開かれ、千葉市に避難している方や美浜区の液状化被害の報告に怒りと不安の声。集会のあと、約1千人がデモ行進。




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鈴木彰の「石橋を叩かず渡る確信犯」




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橋下徹大阪市長と改憲と原発く

北村 肇(「週刊金曜日」発行人)

 あれよあれよという間に、橋下徹大阪市長は、かのヒットラーとなぞらえられるほどの「大物」になってしまいました。傲慢で小心者で独裁者気取りで---どこぞの都知事閣下とはまさに似たもの同士です。正直いって相手にしたくありません。でも、ここまでくると無視するのも危険が大きすぎます。

96条の改悪を目指す

 「維新」といいながら、「船中八策」などと古ぼけた名前を引っ張り出すのはご愛敬として、看過できないのは「憲法改悪」の項目です。何よりも96条の改悪を目指しています。

 「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」

 ここで謳われている「3分の2以上の賛成」を「2分の1の賛成」にするというのです。言うまでもなく「2段階戦法」です。まずは改憲のハードルを低くしておき、それから好き勝手に改悪に走ろうとの魂胆です。

 このことについては、自民・民主の改憲論者も同様の路線を目指しています。また、たとえば産経新聞ははっきりと「96条改正」を社論として掲げています。つまり、改憲を目指す一派はこぞって96条を焦点にしているのです。橋下氏もその流れに乗っているということでしょう。

「父権主義」の復権か

 橋下市長は小泉元首相にも擬せられます。小泉−石原−橋下。そこに共通するのは「独裁」への憧憬です。だから大統領制にこだわるのでしょう。裏返せば、自信がないということです。確固たる信念や思想をもっていれば、熟議による民主主義を否定することはありえません。何もないから「黙ってオレについてこい」と虚勢を張るしかないのです。

 では、なぜこんな人間が人気を集めるのでしょうか。一つは「父権主義」の復権のような気がします。戦前の日本は天皇制と父権主義の国家でした。敗戦により、それらは排除されたはずが、天皇制は日常生活の中に浸潤する形で残ってしまいました。

 一方、父権主義はすっかり薄れたように見えました。ところが、社会が閉塞状態になるにつれ、「無条件に従う対象」を欲する人が生まれてきました。何も考えずに付き従うことでしか安心感を得られない市民の急増です。感覚的に「強く、たくましく、頼りがいのある」人間を求めるわけですが、その対象は「実態のないカリスマ」でしかありません。そのことへの絶望感がテロやファシズムにつながる危険性を強く感じます。

世論調査の利用

 3人はポピュリストという点でも一致します。とにかく「大衆の動向」を読むのがうまい。ただ、それは大したことではありません。マスコミの世論調査をうまく利用しているだけのことです。橋下氏が「脱原発」を鮮明に打ち出し、飯田哲也氏まで巻き込んだのも、圧倒的多数の市民が「原発ノー」の意思表示をしているからにほかありません。

 最近の目立った傾向は、「マスコミがあおる一世論調査一調査結果に基づいてあおる一世論調査」というマッチポンプです。「小沢一郎の犯罪」、「北朝鮮の暴発」、「TPP推進」などすべてその図式にはまります。

 「脱原発」は必ずしもここにあてはまりません。読売新聞、産経新聞は推進派ですし、朝日新聞も、福島原発事故直後は決して「脱原発」を掲げていませんでした。しかし、世論の動向を踏まえ、朝日、毎日は脱原発に舵を切りました。橋下氏はそのあたりの空気を敏感に察知したはずです。実は「労働組合っぶし」も、世間の風に乗った施策です。まことに残念ながら、多くの市民から、労働組合は「既得権者」と見られているのです。

綿密な現状分析が必要

 「困ったものだ」とか「橋下に投票した有権者が悪い」とか愚痴を言っていても、何も始まりません。憲法を守り抜き、すべての原発を廃炉に追い込むためには、まず綿密な現状分析が必要です。プロレタリアート解放運動が大衆から遊離したことへの自省も欠かせません。その上で、多くの市民を仲間にしていかなければなりません。労働組合や民主団体が橋下氏に負けるようでは、この国も終わりです。(元毎日新聞社会部、元新聞労連委員長)




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「所沢米軍通信基地を返せ」と平和委員会が街頭宣伝

 公園に花見の人が繰り出す4月15日の日曜日。所沢平和委員会は航空公園西口で、所沢米軍通信基地の全面返還を求めるチラシ配布やマイクで訴える街頭宣伝を行った。

 戦後67年も経ても、30万都市のほぼ真ん中に約97万㎡(西武ドームの25倍)もの広大な米軍基地がある。

 今年2月に「日米合同委員会」で、所沢基地の9400㎡を日本側に返還することで合意した。30年ぶりの一部返還により、市民念願の東西道路が実現し、交通渋滞の解消や市内西側から防衛医大への緊急搬送の時間が大幅に短縮されることになる。

 同委員会が3月に開いた「通信基地全面返還を求める市民のつどい」で米軍基地の現状を説明した所沢市基地対策室の担当者は、「アンテナは使われていないようだ。横田基地との連絡はNTTの回線を使っている」と語った。

 ならば全面返還の好機と言えると、平和委員会は運動を強化し、市民に訴えることになった。

 1967年に所沢市長を先頭に市民ぐるみの返還運動で第一次が実現したように全市民的な運動で全面返還を実現したいとしている。同委員会は毎月1回の宣伝活動への参加を呼びかけている。




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小出裕章さん(京大助教)が飯能で講演

「法治国家であるならば裁かれるべき」

大場崇弘(所沢市職労)

 3月24日(土)、飯能市市民会館大ホールにて実行委員会主催による「講演会」が開催されました。

 福島原発事故以降、注目されている京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんが飯能市で講演されるということから、近隣市からも多くの方々が参加し、1000人収容の会場が満席となりました。

 講演会は「原発事故後の日本で、私たちはどう生きていくのか」と題し、行なわれました。

 小出先生は、原子力発電のしくみや原子力施設がどういう基準で作られ、地方へ押し付けられてきたのかなどの経過を端的に説明され、その後、福島原発事故の問題を深く掘り下げてお話ししてくれました。

 政府は、福島原発事故について、収束宣言をしています。しかし、現在の状況は、収束などまだまだ先の話で、余震の状況などによっては、またいつ危機的状況に陥るかヒヤヒヤしながら見ていると小出先生は指摘します。

 そして、この原発事故によって大気中に放出された放射性物質は、広島原爆の170発分に相当するものであるとされていますが、これはあくまで低く見積もった政府の試算であり、小出先生は、それ以上の放射性物質が大気中に放出されていると見込んでいるとし、その放射線量は、福島県の東半分を中心に、宮城県と茨城県の南部・北部はもちろん埼玉県を含む首都圏までが、放射線管理区域に指定しなければならないほどの汚染を受けたとしています。

求められる個の自立

 政府は事故後、放射線量の基準を緩めていますが、原子力学問の到達は、低線量でも被曝すれば様々なリスクを伴なうことが明らかになっており、この事故において、国民の命をないがしろにする政府や東京電力の姿勢は犯罪行為そのものであり、日本が法治国家であるならば、裁かれるべきと強い口調で指摘しました。

 最後に、小出先生は、「311以降、世界は変わった!」として、人々が普通に生活する場が放射線管理区域以上に汚れてしまったなかで、政府やマスコミに押し付けられることなく、一人ひとりが考え、自分の“生”を自分で掴み取る社会への転換が必要と話されました。

 明かされる数々の矛盾やマスコミでは決して語られない実態を前に、会場からは小出先生へ多くの質問や意見が寄せられました。

 この講演会は、所沢市職労も賛同団体として取り組み、多くの組合員が参加しました。




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「メディアウォッチ100」

池田龍夫

原発再稼働「新安全基準」の危うさ

 野田佳彦首相と3閣僚が4月6日、関西電力大飯原発3,4号機(福井県おおいい町)再稼動について協議し、その条件となる新たな安全基準案を正式決定した。この基準は、原子力安全・保安院が先月まとめた30項目の安全対策を基にしている。政府の見直し要請に応えるため、短期的に実現可能なものを抜き出して報告した印象が強い。

わずか2日間、あの「保安院」が決定とは

 高知新聞4月8日付社説は、「保安院が基準案の提示に費やしたのはわずか2日間だ。福島原発事故の検証もまだ終わっていない。絶対安全と言える対策などあり得ないのに、いま再稼働させて安全性を確保できるのか。新基準からまず受けるのは『付け焼き刃』『合格ありき』の印象だ。……そもそも基準案を作ったのがお座なりな審査ぶりで信頼を失った保安院では『安全』の説得力に乏しい。

 この欄で繰り返し主張しているように、原子力規制庁の早期発足へ、関連法案の審議を加速するべきだ。大飯原発が再稼働しなければ5月上旬に国内で稼働中の原発はゼロになる。政府はそれまでに再稼働にメドを付けたい思惑があるのだろう。だが、今後夏の電力需給の見通しを精査していく中で、前提が変わる可能性もある。再稼働の条件が整っていない中での前のめりな姿勢は、原発周辺自治体の不信感を強めるだけだ」と、「新基準」拙速決定の危うさを指摘していた。

若狭湾の風下“近畿の水かめ”琵琶湖が心配

 4月6日付「ロイター通信」が、嘉田由紀子・滋賀県知事の単独インタビューを報じていた。嘉田知事の鋭い分析・指摘に共感する点が多く、その一部を紹介して参考に供したい。

 「新基準は見切り発車ではないか。福島並みの事故が若狭で起きたら一大事だ。風下の141万滋賀県民だけでなく、琵琶湖は京都、大阪、神戸1450万人の命の水源なので、万一のことがあれば近畿の産業も生活も成り立たなくなる。

 ▽30項目の安全対策のうち、電源の配置など既に出来ているところもあるが、防潮堤や建屋の免震強化、ベントの際のフィルター設置など出来てない項目がある。数年間も要するそれらを外して、出来たところだけで基準をクリアしたというのは納得しがたい。

 ▽国会の事故調査委員会の最終報告書さえまだ出来ていない。若狭はかなり活断層もあり、地震の巣窟。地震の影響などの原因究明が出来でないのに、対策が取れたというのも論理的に合わない。国会事故調が重い判断を行い、原因究明を公表してもらわないと国民は納得しないと思う」。

「再稼動の見直し」にとりくめ

 政府が、この「新基準」を地元住民にゴリ押しすれば、新たな混乱も危倶される。在京6紙のうち「朝日」「毎日」「東京」は、高知新聞と同趣旨の社説を掲げ、「原発再稼動を急ぐな」との警告を発していた。東北各県紙はもとより、大部分の県紙が原発再稼動を危惧している現状を、政府は真撃に受け止め、「原発政策の抜本的見直し」を急ぐべきである。
(いけだ・たつお)元毎日新聞社整理本部長、中部社編集局長などを歴任。著書に「崖っぷちの新聞」、共著に「沖縄と日米安保」など。




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祖国復帰40年、沖縄から見える安保の現実

鴨川孝司

 「孫子にこんな思いを残してはならない」と、米軍普天間基地のある宜野湾市や周辺の住民3129人が3月30日、夜間・早朝などの騒音差し止めと損害賠償を国に求める第2次普天間爆音訴訟を起こしました。原告数は1次訴訟の約8倍となりました。宜野湾市の人口は93000人、世帯数は40000。1次2次の原告者数は約3600人。ほとんどの家庭が訴訟に関係しているのではないかと思わされるほど深刻で、一時もゆるがせに出来ない事態にあるのです。

 2次訴訟では、米軍に基地を提供し騒音被害の対策を採らない日本政府は米国との共同加害者であり、政府には駐留させている米軍の違法な侵害行為を差し止める義務があると指摘しています。

 おなじ爆音差し止めを求める嘉手納基地裁判は1982年に始まり、原告数は第11次訴訟で907人、第2訴訟は5544人、第3次訴訟は、国内最大の2万2058人までになっています。この人数は県民63人に1人に相当します。

普天間の改修費も要求

 問題の普天間基地で、こともあろうにアメリカが、「滑走路改修に2012年度から8年間で総額200億円の改修費を要求してきた。日本側は『普天間固定化の流れを印象付けかねない』として難色を示している」との、情けない記事を読みました。

 その宜野湾市で、危険だと言われている垂直離着陸機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場配備に反対する市民大会を、6月17日に5000人を集めて開くと、準備委員会を発足させました。

 祖国復帰40年の今年、閣僚が何人も沖縄を訪れています。野田首相も行きました。空からの現状視察でした。田中直紀防衛相は3月31日にも訪れ、北部12市町村の首長らと会談しました。防衛相就任後、稲嶺名護市長と会うのは初めてで、会談は非公開、稲嶺進市長が「辺野古の海にも陸にも新たな基地を造らせない」と反対の意思を強く示したのにたいし、防衛相からは米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設についての話しはなかったと報道されました。

 普天間基地に接する普天間第二小学校に、88年に初めて赴任して同小の勤務は通算12年の教員生活最後の日を迎えた女性の校長がいます。知念春美校長。(60)です。「政治家が視察に来るたび『一日も早く基地撤去を』と訴えてきたが、その道筋が見えないまま学校を後にする」との記事(朝日)がありました。

卒業式に鳴り渡る爆音

 「2月18日に田中直紀防衛相、今月17日には岡田克也副総理を校舎屋上に案内した。でも政府の立場は変わらない。本校を見て『県内に基地をつくるのは無理』と思ってほしいのに、政治家は『県内移設で解決する』と言う。沖縄に基地を置いておきたいのは、米国ではなく日本だったんですね」「卒業式も離任式の日も、校内に爆音が鳴り響いた。『思いは通じなかった。基地がなくなるまで、心の荷が下りることはないでしょう』」と記事は締めくくっていました。3月末に訪れた沖縄で胸を痛めた出来事です。




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九条を生かす

●大飯原発再開を巡って

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)3,4号機の再稼働について、野田佳彦首相らは13日、「容認」する判断をしました。関電が今後実施する安全対策85項目のうち33項目は未実施のままだが、再開妥当というのです。国民の理解を得るには少なくとも「暫定の安定基準」が必要と述べた2日後には、安定基準が出来、その7日後には容認の判断をしました。

 拙速というか、再稼働を急ぐ姿勢がありあり見えます。再開のためには、やらせ、だましは仕方ないと言う態度です。なぜ急ぐのか、その背景は単純なものではないことを窺わせています。もっとも大きな背景には、世界の原子力産業が停滞を抜け出たいという強い動機があります。その中で、外国への原発輸出を急ぐのです。

 日本で再稼働を出来ないでは売れないし、批判も受けやすい。原発輸出を成長政策としている財界の意向を受けて野田政権は、すでに昨年12月、政府間で署名を済ませていたヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアの4カ国との原子力協定を国会で可決しているのです。

 インドとは、インドが核廃絶を建前としてきた核実験を行えば原子力協力を停止すると言う問題で頓挫をしていました。それが、野田首相のインド訪問で、インドヘの原発輸出の前提となる原子力協定の締結に向けて努力することを確認したとしています。トルコも日本の原発輸出に期待感をもち、両外相会談で早期再開に期待感を表明しています。

●先に結論ありき

 こうした動きの行きつくところが、再容認でした。時岡忍おおい町長は「やっと結論が出された。まだかまだかと待っていた安全性が確認されたことは歓迎する」と評価したといわれていますが、近隣地方自治体に対応を聞いたところ、当該自治体以外は「反対」、「慎重に」、「なぜ急ぐのか」が多いのです。12日大飯原発を視察した山田啓二京都府知事と嘉田由紀子滋賀県知事が再稼働への反対をあらためて表明しました。

 野田内閣は、すべての対策の完了を待てば再稼働は数年先になるので、政府は「政治判断」により、未実施対策は「必要な措置を不断に実施する姿勢が明確にされている」ことで、乗り切ろうとしています。

 「9条を生かす」とは直接開連がないことを取り上げたかのように思えるかもしれませんが、国内で認められないものを外国に輸出する無責任さ、影響を受ける近隣自治体の意見を同意ではなく理解を求めると踏みにじっていくやり方、これは憲法に言う人類の多年にわたる努力の成果である基本的人権をないがしろにするもので、国内外で許されるものではありません。
編集長 鴨川孝司




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日本キリスト教協議会が新しい冊子を刊行

 「たいせつにしたいもの平和憲法第9条」で、「今、国会では、大切な平和憲法を変えようとする手続きが進んでいます。だからわたしたちは、戦争はもうしません、一人ひとりのいのちを大切にします。という決意を持った憲法第9条を「変えないで」という声を大きくしていきたいと願っています」と呼びかけています。

 冊子では、協議会が勧めたい本と歌として、「子どもに伝える日本国憲法」(井上ひさし著)「武力によらない平和を実現するためにQ&A」(日本キリスト協議会平和憲法推進プロジェクト)「キリストの平和」改訂子どもさんびか(日本基督教団出版局)「やさしいことばで日本国憲法」(池田香代子訳)と紹介しています。

 この冊子をご希望の方は小河義伸(022−233−3550)まで。




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短 信

●2012年 輝け九条生かそう憲法平和とくらしに被災地に5・3憲法集会

日 時:5月3日(木・祝)13:OOから
場 所:日比谷公会堂
主 催:5・3憲法集会実行委員会
スピーチ:伊波洋一さん(元宜野湾市長)、小山内美江子さん(脚本家)、福島県の被災者のみなさん、志位和夫さん(日本共産党委員長)、福島みずほさん(社会民主党党首)
銀座パレード:15:30出発
入場無料

●九条の会発足8周年学習会

 東日本大震災から1年。原発事故や地震・津波の災禍は未だに収束しておらず、多くの人々が苦しんでいます。にもかかわらず、これをよそに国会では憲法審査会が始動し、民主党や自民党、およびさまざまな新党の動きのなかで、改憲が声高に叫ばれています。九条の会事務局は「情勢学習会」を企画しました。
日 時:6月9日(土)13:30〜16:30
会 場:韓国YMCA地下ホール(JR水道橋駅より徒歩10分、神田女学園近く)
参加費:1000円
主 催:九条の会事務局 TEL 03−3221−5075
講 演1:9条をめぐる動きと政府の憲法解釈(米軍基地、武器輸出、国会の憲法論議) 
 講 師 蒲田一郎さん(1946年生まれ。憲法学者。山形大学助教授、一橋大学教授を経て、現在、明治大学教授。)著書に「現在の平和主義と立憲主義」、「自衛力論の論理と歴史」など多数。
講 演2:9条、「同盟」、沖縄の相関 
 講 師 明田川融さん(1963年生まれ。法政大学で博士号取得。政治学。法政大学等非常勤講師。「安保条約の論理:その生成と展望(著訳書)」、「沖縄の基地問題の歴史:非武の島、戦の島」など多数。

●憲法記念日学習会

「現在の憲法をめぐる状況改憲勢力の動向、私たちは何をすべきか」
講 師:小林亮淳弁護士
日 時:5月3日(木・祝)13:30 講演開始15:15
交流会資料代:100円
会 場:所沢地区労会館
主 催:所沢革新懇 TEL 2998−5121




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