機関紙75号 (2012年3月24日発行)



もくじ

大震災から1年、放射能汚染いまだ収まらず
  憲法違反の事態を長期にわたって県民に強制する現実
   原発災害と復興・福島のいま
   真木實彦(福島大学名誉教授)
    原発災害の特殊性
    熟議民主主義の徹底
   
改憲策動ふたたび

原発事故から1年、所沢で2度目の「原発さようなら」大行進

避難民の絆を結ぶ小さな通信の大きな役割(川房通信から④)
  「東電は謙虚であれ」と行間から悲鳴聞こえる    東京電力(株)取締役社長 西澤俊夫様

鈴木彰の「抱きついて解散論を肩透かしか」

「核兵器・原発なくしたい」とビキニデー集会開く

『いま、憲法は「時代遅れ」か--〈主権〉と〈人権〉のための弁明--』(樋口陽一著)を読む
   間島 弘(世話人 本郷在住)

「メディアウオッチ100」
   池田龍夫(ジャーナリスト 元毎日新聞)
    「秘密保全法案」を急ぐ“時代状況”を危倶
    有識者会議の「報告書」議事録を、また作成せず
    国民の「知る権利」を阻害する恐れ

いま、私は言いたい
  私は浅草の実家の二階から見た ドーリツトル飛行隊の本土初空襲
   白戸芳郎(こぶし町在住)

  危ないC2の入間配備
   葛西建治(山口在住)

「九条を生かす」
    ●戦争のない世界を目指して

ハイライト

第6回「カフェ・サロン」へのご案内

映画人九条の会が映画「沖縄・第一部(出演=地井武男、佐々木愛ほか)」上映会





大震災から1年、放射能汚染いまだ収まらず

憲法違反の事態を長期にわたって県民に強制する現実

原発災害と復興・福島のいま

真木實彦(福島大学名誉教授)

原発災害の特殊性

 昨年の東日本大震災と原発災害が加重された福島は、今なおその影響は刻々変化しながら重たい問題を抱え続けています。

 原発の災害はもっぱら放射能汚染によるものですが、「見えない」、「分からない(とくに、低線量被曝の評価など)」「すぐに結果が出ない」という特性を持っており、これが地域社会全体に重苦しいストレスをもたらしているのです。

 また、その影響が県内でも地域ごとに異なり、その上に政府の対応策の不適切さ、情報の後出しなどともあいまって、地域の混乱を助長している点が見逃せません。

 原発災害は住民の基本的人権を奪い去っています。

 今回の原発災害にあった福島県民の願いは、県民の健康、福島の大地と海を昨年の3月11日以前の状態に戻して欲しいというものです。しかし、現に進行している事態は、深刻な憲法違反の事態を、しかも長期にわたって周辺住民=県民に強制するという大変厳しい現実なのです。

 日本国憲法では、第三章で国民の権利と義務について「基本的人権の享有」を侵すことのできない永久の権利としています(11条)。その上で、「居住・移転及ぴ職業選択の自由」(22条)、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」=「生存権」の保障(25条)、「勤労の権利」の保持(27条)、「財産権」の不可侵(29条)などを定めています。このたびの原発災害によって蒙った現場の状況は、まさに以上の憲法諸条項に著しく違反するものであり、かつ、違憲状態の固定化だと考えざるを得ないものです。

熟議民主主義の徹底

 勿論、自然災害などでこれらの権利が一時的に脅かされる事態は発生しえます。しかし多くの場合、これ以上は下がらない「底」というものがあって、それ以後はそれからの立ち直り=再生・復興という過程が曲がりなりにも進行するはずです。しかし、放射能災害にはその「底」が見えず、次から次へと底知らずに災害が思わぬ形で広がっていくのです。東電・政府の責任の明確化が求められるのです。

 その上で、はっきりすべき点は、現在福島の住民が受けている放射能による災害は「無主物」による災害などでは無いということ、東電と原発を国策と位置付けてきた国=政府にすべての責任があり、最後まで責任を取るべきだという視点が欠かせない点です。

 福島で現在起っている現実は、大げさでなく、家族と地域社会が「分断と解体の危機」に追い込まれているといってもよい状況です。放射能災害というものは、地域と人間の未来を永きに渡って奪い去ってしまうという、特殊な災害なのだということを身に沁みて学んでいます。

 受けている被害は、社会生活全般に亘り、きわめて広範囲に及ぶものです。農、漁業、その他産業、サービス業などのいわゆる生業(なりわい)の問題、住宅問題や地価問題、家族生活全般に関わる問題、子育て・教育に関わる問題、健康維持に関わる問題、地域の除染問題、自治体活動と住民運動の問題、賠償を求める訴訟問題、など、など。

 これらについてそれぞれきめ細かく問題ごとに論点を洗い出し、オープンな場を通じて住民間で解決の道筋を解き明かしていく地道な取り組みが欠かせません。

 困難ではあっても、今後、長期をかけて再生への道を探る住民間の徹底した論議と、解決の道筋を模索する粘り強さが、求められているのです。(2012・2・10)



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改憲策動ふたたび

 自民党をはじめ、改憲派が改憲論議を活発化しています。衆参両院で、改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会が始動し、強引に改憲論議を俎上に載せようとする動きも強まる中で警戒が必要です。

 自民党憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)は3月2日、「自衛軍の保持」を明記した憲法改定原案を了承しました。今年1月の党大会で策定を決めたもので、サンフランシスコ講和条約発効60周年となる4月28日までに最終案をまとめ、国会提出を目指すとしています。

 原案は、自衛軍保持のほかに、天皇を「元首」とすることや、大規模災害や武力攻撃、テロなどが発生した場合に首相の権限を強化する「緊急事態条項」の新設も盛り込まれました。

 一方、次の選挙で200議席の獲得を目指すとする大阪維新の会も、政策集「船中八策」の骨格案を発表しました。憲法に関して、首相の公選制の導入、参議院の廃止、改憲発議要件の緩和など掲げていますが、九条については明言していません。橋下代表(大阪市長)は、その理由について、自身のツィッター上で、「96条の改正がないと結局、9条改正はできない」と指摘し、改憲の発議要件を現在の衆参両院の3分の2から過半数の賛成に緩和することを先行させると、述べています。自民党の原案にも、同様の発議要件緩和が盛り込まれています。

 また、民主党の小沢一郎元代表は、2月28日の会合で、「日本国憲法は考え直さなければならないものがたくさんある。9条が典型だが、ほかにも数多くある」と改憲に言及しました。橋下氏の動きをにらみながら、改憲を軸に政界再編を目指す動きに連動します。



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原発事故から1年、所沢で2度目の「原発さようなら」大行進

 福島第一原子力発電所の事故は、いまだ収束の道筋がつかめないまま、1年が過ぎた3月17日、所沢市で市民有志による連絡会「さよなら原発in所沢」が「放射能から子どもを守ろう3・17大行進」を行い、約250人が参加し、手製の「再稼働絶対反対」などのプラカードを掲げて、「原発いらない」、「子どもを守ろう」、「原発廃棄」、「狭山茶守れ」のシュプレヒコールを響かせ、住宅街や駅前通りをパレードし、「原発さようなら」をアピールしました。

 中央公民館前広場で開いた集会では、「原発なくそう」と運動する人や市内で放射能汚染対策に取り組む母親らが次々と発言しました。

 3人の子どもの母親は「福島の事故は人ごとではありません。子どもたちの食べ物は大丈夫でしょうか。原発はなくても電気は足ります。学んでみなさんと力を合わせたい」と訴えました。

 別の母親も「原発事故が起きて、何が起きているのか本当のことを知ろうと勉強しました。放射能問題だけでなく社会でいろいろな問題が起き、矛盾があることを知りました」と語りました。

 作家の澤地久枝さんからのメッセージが寄せられ、読み上げられました。(K)




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避難民の絆を結ぶ小さな通信の大きな役割(川房通信から④)

「東電は謙虚であれ」と行間から悲鳴聞こえる

 東京電力(株)取締役社長 西澤俊夫様

 前略
 私は3月12日の貴社福島第一原子力発電所の事故により警戒区域となった南相馬市小高区の自宅を不本意ながら離れ、避難している者です。

 ほんとうはこのような手紙を送りたくなかったのですが、と言っても多分こういう類いの手紙は一杯で到底社長の目に入ることは無いとおもいますが。

 最近の西澤社長のテレビや新聞での報道に接するにつけ、どうしても書かずにはいられない心境になり一筆したためました。

 思うことは、西澤社長をはじめとする貴社幹部の世間に対する姿勢であります。

 特に新しく社長に就任された西澤氏ですが、就任当時はこれからの東京電力を背負って行くごりっぱな人だろうなという思いでみていましたが、あに図らんやテレビを通じての印象では、これほどの厚顔な人が世の中にいるのだろうかと思えてなりません。  多分こういう人だからこそ社長にさせられたのだとおもいますが…。

 先般の電気料値上げの記者会見で「値上げは電力会社の義務と権利」と平然と言ってのけました。

 これにはびっくりし、開いた口が塞がらなくなったと同時に大変腹立たしく思いました。

 このごろではあまり見かけませんが、あれだけの大事故を起こし、まるで鉄仮面のような冷淡な顔・表情で会見に臨んでいた勝又会長も私達には考えられない人でしたが、西澤社長はそれとは一味違った意味での違和感があります。

 強いて言えば、狡猜、厚顔…まるで「電気は俺達が売ってやっている」と言わんばかりと感じたのは私だけではないと思います。

 これからも民間企業としての事業継続を強引に推し進めて行かれるようですが、民間企業には、買ってもらってナンボの世界であるはずです。競争相手のない独占企業で売値はほぼ思うがまま、まるで謙虚さのみじんもない殿様然とした貴社の企業風土が幹部の態度に見て取れます。

 8月1日以降、避難で東京電力の一般消費者になりましたが、今までじっと我慢してまいりましたが、腹に据えかね一筆したためました。

 私は未だ慰謝料の本請求は提出しておりません。それはまだまだ不審点が多いからです。

 それは一つに本請求以外は「一切の異議、追加の請求を申し立てることはありません」とあること、また居住していた土地、建物等が放射能物質で汚染され居住できなくなったり、その他の物件、例えば農機具などの損害補償について全く除外されていることです。

 

 私たちは先祖が営々として築いてきた土地や建物、文化、隣人を一瞬にして失ってしまいました。もうすぐ避難生活も1年になります。

 にもかかわらず、依然として事故は不可抗力、天災、想定外等と責任回避しようとしている姿をみるといたたまれなくなります。

 福島第一原発内の現場では命をかけて対策作業に当たっている貴社社員や系列会社の社員も大勢いるはずです。もっと謙虚になるべきと思いますが如何…。

 一消費者の声です。ご反論をいただければ幸いです。
平成24年2月15日「紙上匿名」




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鈴木彰の「抱きついて解散論を肩透かしか」




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「核兵器・原発なくしたい」とビキニデー集会開く

 1954年3月1日未明、米国はビキニ環礁での水爆実験を行いました。それから58年目の3月1日、被災漁船「第五幅竜丸」の母港、焼津市で「3・1ビキニデー」集会が開かれました。埼玉県からは「所沢平和委員会」や「医療生協」などから57名が集会に参加しました。

 前日の29日に日本原水協全国集会・全体会議が開かれ、基調報告を行った安井正和事務局長は「5月からはじまる国民平和大行進など、一つひとつの前進をバネにして、8月の原水爆禁止2012年世界大会へとつなぎ、核兵器のない世界への確かな扉を開く年にしよう」と激励しました。

 「核と人類は共存できない。広島・長崎の被害を低く見せる策動が被爆者援護を遅らせた。いま、福島で同じことが行われている」との発言が強く印象に残りました。

 最後に核兵器廃絶、福島原発事故被害の根絶と原発からの撤退などを掲げて、草の根で行動を広げる1000人アピールを採択しました。若い人の姿も多く目立つ活気溢れる集会でした。1日は約1800人がビキニデー集会に先立ち、焼津駅前から故久保山愛吉氏の墓前まで墓参行進をしました。(葛西建治・山口在住)




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『いま、憲法は「時代遅れ」か--〈主権〉と〈人権〉のための弁明--』(樋口陽一著)を読む

間島 弘(世話人 本郷在住)

 著者は本書の校正段階で東日本大震災にあったが「なんら変更の必要はない」と昨年5月に刊行された。

 私は、この大震災による「原発事故」に衝撃を受け、前に進めなくなっていた。

 福島第一原発の事故が起きて以来、これまでの原発問題について振り返っていた。

 ちょうど22年前、1986年4月のチェルノブイリ大事故に続き、日本国内でも事故隠しやデータ改ざん、捏造なとが問題になり、原発問題について、労働組合として「核廃棄物の処理問題、老朽化など政府の原発政策に反対し、新たな原発建設の全面中止を要求し、たたかいを進めたい」と私自身が総括答弁した。

 その後、定年になり日本国民救援会、「九条の会」と憲法に関わる活動をしながら、自分で「原発問題」について何をしていたのか、署名ひとつにも取り組んでいなかった。学生時代、「醒めて時代を見よ」(M・ウェーバー)を学んだ者として打ちのめされた思いにとらわれた。

 本書にも触れられているように「主権」「人権」は“一神教の世界観のもとで形成されてきたもの”である。

 「憲法」が本当に自分のものになっていたのか?「政・財・官」のトライアングルとジャーナリズムの“安全神話”に欺かれた自分の「憲法感覚」はどうだったのかを検証するためにこの本を読んだ。

 冒頭、「そもそも憲法を設くる趣旨は、第一、君権を制限し、第二に、臣民の権利を保全することにある」との大日本帝国憲法制定にかかわる伊藤博文のことを紹介したところ、驚きの反応があった。

 このことについて「憲法とは、国民が権力を縛るものだという極めてピュアな問題提起を新鮮に思いました」という感想をある有力地方紙の幹部が感想を寄せてくださいました。「立憲主義というのは、国民の意思によって権力を縛るところにあるということ、これは憲法教科書の最初に出てくる基本の基本です。

 こうしたことから、「憲法学者は今まで何をしてきたのだろうか」から「この本で著者が明らかにしたかったのは、憲法論の当たり前の基本(「主権」「人権」)を明らかにすること。

 そして第二点はその基本を突き詰めていくと反常識的な要素が出てくる。それをあいまいにせず明らかにする事を目的とした」とある。

 こうした観点から、「グローバリゼーション」、「自己決定とその限界」、「競争の制限」、「身近な司法」(裁判員制度)、「象徴天皇のむずかしさ」などが論じられている。

 読みやすい文字組みと「比較憲法学」第一人者らしく、EU(欧州連合憲法機構)、仏、独、米などの「憲法」の成り立ち、現状について適切に触れられ、内容は濃く深い。

 「この国のかたち」として「憲法九条」について、「西洋近代がつくり上げた約束事を、20世紀半ばの時点での水準でそのまま受け止めたものであり、憲法前文が「人類普遍の原理」という言葉で表している」。

 そして加藤周一さんの「雑種文化への希望」をひき「手本よりましなもの」としての「九条」の可能性について言及する。  樋口さんがタイトルで間いかけた答えがここに明確に示されている。日本国憲法を真に自らのものにするよう、より一層務めなくてはならないとの思いを深くした。(平凡社刊、本体1500円)




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「メディアウオッチ100」

 池田龍夫(ジャーナリスト 元毎日新聞)

「秘密保全法案」を急ぐ“時代状況”を危倶

 政府が今国会提出を目指す「秘密保全法案」に対して、日弁連など有識者からの問題点が指摘されているものの、メディア側の関心が乏しいのが気懸かりである。

 有識者会議が昨年8月にまとめた報告書によると、秘密保全法案は、防衛・外交・治安に関し、重要だとして国が指定した「特別秘密」を漏らした公務員や閣僚らに最高5年か10年の懲役を科す内容。

 2010年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ流出や、警視庁などの国際テロ情報が漏洩した事件が背景にあり、この法案策定の動きが急ピッチで進められてきた。

有識者会議の「報告書」議事録を、また作成せず

 明らかになっている「報告書」を読むだけでも、運用次第では国民の重要な「知る権利」、を侵害しかねない危険性をはらむ法案だ。

 毎日新聞3月4日付朝刊が報じた記事によると、報告書議事録がまたまた作成されていないことが判明した。原子力安全・保安院や東電関係者の原発関連議事録を策定しなかったことに続く不祥事で、官僚システムの“無責任構造”には呆れ果てる。

 法令制定過程などが事後に検証できるよう文書作成を義務づけた公文書管理法(11年4月施行)に違反しており、しかも「秘密保全法案」の審議が隠蔽されるとは。半年間で6回(各2時間程度)の“密室審議”要旨がA4判2枚程度では、全く検証の役に立たないではないか。

国民の「知る権利」を阻害する恐れ

 日本弁護士連合会は会長声明を発表、「当該秘密保全法制では、規制の鍵となる『特別秘密』の概念が曖昧かつ広範であり、本来国民が知るべき情報が国民の目から隠されてしまう懸念が極めて大きい。

 また、罰則規定に、このような曖昧な概念が用いられることは、処罰範囲を不明確かつ広範にするものであり、罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾抵触する恐れがある。禁止行為として、漏洩行為の独立教唆、扇動行為、共謀行為や、『特定取得行為』と称する秘密探知行為についても独立教唆、扇動行為、共謀行為を処罰しようとしており、単純な取材行為すら処罰対象となりかねず、そこでの禁止行為は曖昧かつ広範であり、この点からも罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾するものである。

 現実の場面を考えても、取材及び報道に対する萎縮効果が極めて大きく、国の行政機関、独立行政法人、地方公共団体、一定の場合の民間事業者・大学に対して取材しようとするジャーナリストの取材の自由・報道の自由が侵害されることとなる」と問題点を指摘している。

 日本新聞協会などマスコミ諸団体も法制化に反対姿勢を示しているものの、世論の“閉塞状況”が憂慮される。

 メディアは、戦前の「治安維持法」の轍を踏まぬよう、「秘密保全法案」をめぐる動向に、警戒心を高めてもらいたい。情報公開・知る権利を害するような“言論統制”は阻止しなければならない。




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いま、私は言いたい

私は浅草の実家の二階から見た ドーリツトル飛行隊の本土初空襲

白戸由郎(こぶし町在住)

 今年は3月10日の東京大空襲から67年、浅草や江東区では慰霊の様々な集会が持たれた。また空襲を記録したネガが発見され、戦災資料館でそのネガの解明作業が行われている。これまでは警視庁のカメラマンであった、石川光陽さんが戦後占領軍の提出命令を拒んで保管した貴重な記録が主なものであっただけに新たなネガの解明に大きな期待がもたれている。

 石川光陽さんは東京大空襲の日、警視庁から両国へ急行、猛火と避難民の中を必死に撮影、まさに九死に一生を得た人でその経過は本人の日誌に詳しい。

 私は当時、国民学校4年生、前年の7月集団学童疎開によって私の浅草区の柳北国民学校は宮城県遠刈田温泉に疎開することになった。私は縁戚を頼って栃木県足利市に縁故疎開した。したがって私の生まれた街が消えてしまった東京大空襲は直接体験していない。

 海老名香代子さんによると香代子さんは疎開していた沼津から真っ赤に染まる東の空を眺め、家族のことを心配していたが、私も足利から東南の真っ赤な空を眺めていた。消防団は隣村が火事だというのでポンプ車を引いて駆けに駆けたが、いつまで行っても火災現場にたどり着けずに戻ったなどという話が伝わってきた。

 東京初空襲は44年11月と思われているが、それはマリアナ基地からのB29の空襲のことで、実際は42年4月18日、米空母からのノースアメリカンB25爆撃機16機による東京、名古屋、神戸などの爆撃が初空襲である。この時、日本軍は1機も撃墜できず米機はすべて中国の基地へ飛び去っている。

 私はこの日のB25を目撃している。浅草の家は2階の屋根などに物干し台があり、多分当日は土曜だったのでその物干しで遊んでいると北の空に見慣れない星のマークをつけたズングリした飛行機が飛んでいるのを見つけ、やがて飛行機の方向に煙が上がり、空襲の警報が鳴った。これがドーリットル飛行隊の初空襲と知ったのは敗戦後のことである。

 疎開した足利は隣接する大田に中島飛行機工場があり、45年になると連日B29が単機で飛来し、そのたびに授業は中止、班ごとに帰宅する日が続き、2月中島飛行機は80機のB29による爆撃を受け、灰燼に帰した。その日わが家のガラス窓は終日震えていた。その後は艦載機が縦横に飛びかい、私も追いかけられ田圃に伏してやり過ごしたが、操縦者の顔まではっきり見えていた。

 記録によると2月16,17日、米機動部隊、艦載機1200機をもって関東各地を攻撃とある。この段階で日本の防空能力は全くなかったのである。


危ないC2の入間配備

葛西建治(山口在住)

 入間基地への配備が決まっている空自の次期輸送機C2は短い滑走路の入間基地での運用は危険きわまるものがあります。

 C2は米軍のC17には及ばないが、世界トップクラスの大型輸送機です。双発ですが、エンジンは推力22・7トンのターボファンを備え、現用のC1輸送機の4倍の積載量があります。航続距離も約3倍に伸ぴ、ハワイ、ジャカルタの先まで無給油で飛行できるほか、中国全土、イスラマバード、デリーまで行動可能距離です。

 同機23年以降の防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画で示された島嶼部(離島)防衛の先駆けとして開発されたものです。C2は従来のC1では運べなかった96式装甲車や8輪稼働の機動戦闘車も搭載できるようになっています。

 でも専守防衛の自衛隊になぜこんな大型の輸送機が必要なのでしょうか。

 それは米軍との一体の運用を想定しているからです。軸足を東南アジアに移した米国の戦略と合致するのがC2の開発です。危険な側面を持っています。短い滑走路に大型機が着陸する場合、滑走距離を短くするために低い高度で進入します。そのために基地周辺の騒音は跳ね上がります。離陸の場合も急上昇を避けることから、騒音は長く続きます。なによりも、C1の三倍以上の燃料を搭載している同機が墜落を起こせば、周辺は火の海となります。

 もう一つの配備先候補である美保基地がある鳥取県の平井伸治知事は同機の配備を了承しましたが、美保基地の周辺は海です。周りが住宅地の入間基地とは条件が違います。




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九条を生かす

●戦争のない世界を目指して

 前号で各地の9条の会が新しい情勢のもとで、どのような活動を構築しているかを訪ねると書きました。その続きです。

 3月12日の朝、パソコンを開いてびっくりしました。前日行われた「福島県民集会連帯さようなら川越デモ」の報告がありました。「気持ちよく晴れた空。川越駅東口緑地公園午前9時半。すでに30名くらいの人が集まっています。集合時刻の45分には100名くらいになりました。やはり、原発の再稼働を目指す政府の方針に黙ってはいられない。そう考え行動することを選んだ人が多いということです。“国民は再稼働なんか望んではいない”“これ以上地球をよごすな”“子供たちの未来に原発はいらない”ようやく始動をはじめた川越の町のなか、川越駅からテレビなどでおなじみの蔵の通りを150人くらいの人で歩きました」と。

 9条の会も加わって「震災1周年」の取り組みが、各地で行われました。そのひとつ、「脱原発東日本大震災一周忌追悼法要 主催:足利九条の会、徳正寺」「遠き地からではありますが、震災で亡くなられた方々のご冥福を祈り、原子力に疑問を持つ方々に呼びかけての法要」がありました。

 越谷9条の会では「時事パロディ百人一首を投稿してくれる人がいて、毎年発表して」いました。2011年のそのうちにの一つです。「支持率が下がりにけりないたずらに公約後退何もせぬ間に」
本歌「花の色は移りにけりないたずらにわが身世にふる眺めせしまに」

 野田9条の会は「田中正造から学ぼう」「4月8日に、栃木県足尾銅山、旧谷中村、館林の「田中正造記念館」などを訪ね、生涯かけて足尾鉱毒事件と闘った田中正造から、徹底的に住民の立場に立ったその精神を学ぴ、震災や放射能、沖縄米軍基地問題など主権を踏みにじる現在の日本の中で私達はどう行動していったらいいかを学ぶ」とあり、その1カ月前に「田中正造学習会」も予定されていました。

 広島9条の会は、8・6ヒロシマデーに、新聞意見広告に取り組み、それを「8月6日、早朝ですが、6時半ころ〜8時15分、今年も原爆ドーム付近で意見広告のコピー3000枚を、全国から、世界中からヒロシマに来られた方々に配布します。原爆の日、ヒロシマ・ナガサキの早朝の雰囲気は、独特のものがある」とあります。

 大阪市橋下市長のプログに、がれき処理問題で「みんなで負担しなければならないところ、人のことをかまわなくなったのは、全ては憲法9条が原因だと思っています」とあり、その「9条が原因」がブームになっているとか、いろんな反響が生まれているとあります。

 9条の持っている力は、ほんの少し紹介したように、新たな連帯を各地で広げています。1945年以後、世界で戦争や紛争が数多く引き起こされた中、戦争のない世界を目指して掲げられた戦争をなくすという高い理想を、21世紀に改めて光り輝かせることの大きな意義を、形にしていきたい。
編集長 鴨川孝司




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ハイライト

 前号で梅田正己氏の「沖縄海兵隊のグアム移転、8000人がなぜ4700人になったのか」を掲載したが、この小論を朝日新聞の2月18日付け、夕刊コラム「窓(論説委員室から)」も取り上げていた。

 記事の入手先はもちろん別だが、「真相はわからないが、米国領につくる軍関係施設に日本が税金を支出すること自体がおかしい」と指摘したうえで、「米軍再編の見直しは、米側の事情によるもの、国益を第一に冷徹な判断する米国に比べ、日本政府が費用負担も満足に減らせないとしたら、あまりにもふがいない」と指弾している。これはまさに正論だ。




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第6回「カフェ・サロン」へのご案内

 3・11を心にきざんで戦後最大の惨事となった東日本大震災から1年を迎え、サロンでは、あの日、なにが起こったのか、その後、どんな苦しみ、悲しみに見舞われたのか、手記や詩の朗読、映像を見ながら、今いちど大震災を振り返り、原発のこれからを考えます。

日 時:3月30日(金)14時から
(前号では24日とご案内しましたが、30日に変更となりました)
参加費:1000円(飲み物・ケーキ付)
会 場:すういーとはーと(航空公園駅から5分)
【お願い】「3・11」「原発」にかかわる記事、写真、映像、本などをご覧になり、心に残った一編をご持参ください。
【問い合わせ】04-2994−3225、竹田まで




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映画人九条の会が映画「沖縄・第一部(出演=地井武男、佐々木愛ほか)」上映会

日 時:4月6日(金)19時上映開始
会 場:文京区区民センター2A(丸の内線、南北線「後楽園」下車徒歩5分)
参加費:1000円




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