機関紙74号 (2012年2月20日発行)



もくじ

原発事故とテレビ一一あるNHK番組をめぐって
  巻き返しに必死な原子力推進勢力
   岩崎貞明(放送レポート編集長)
    ICRPの捏造を暴露
    原子力ムラが抗議と要望
   
軍事色濃く、自衛隊のヘリまで動員し大規模テロ訓練

定数削減を阻止し、民意を反映させる制度を実現する展望はある
  坂本修弁護士(元自由法曹団団長)に聴く

「私と川柳」
   山本 映(山口在住)

鈴木彰の「防衛のボの字はボケっとボカシのボ?」

沖縄海兵隊のグアム移転
  8000人がなぜ4700人になったのか?
   日本が提供する資金だけで移転可能に
  梅田正己(書籍編集者)

メディアウォッチ100
   池田龍夫(ジャーナリスト・元毎日新聞)
    世田谷区が電力を入札
    電力調達をめぐる“知恵比べ”

「カフェ・サロン」 暮らしの中の民主主義 カナダから見た日本

「九条を生かす」
    ●アピールから8年目
    ●九条守ろうと多彩な取り組み

紹 介
   ■「脱原発いま、本気で前へ 『3・11』1周年のつどい」(仮)
   ■東京大空襲を語り継ぐつどい
   ■朗読劇「死んでもブレストを」





原発事故とテレビ一一あるNHK番組をめぐって

巻き返しに必死な原子力推進勢力

岩崎貞明(放送レポート編集長)

 東日本大震災と、それによって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所の炉心溶融事故から、丸1年が経とうとしている。政府は2011年12月に原子炉が「冷温停止状態」になったとして事故の収束を宣言しているが、メルトダウンした炉心の核燃料は、原子炉の中のどこに、どういう状態で存在しているのかということすら確認できていない。

 この原発事故に際してテレビの報道は、当初は政府・東京電力の発表を無批判に垂れ流し、一部の報道を除いては、政府の意図的な「情報隠し」に批判の声を上げることすらほとんどなかったが、やがて、原発事故の真相や日本の原子力利用のあり方に鋭く問題提起を投げかける番組も、わずかながら見られるようになってきた。

 それでも、「脱原発」の流れを逆流させようとする勢力による「反撃」も現れてきて、油断ができない。ここに一つの番組を例に取り上げたい。

ICRPの捏造を暴露

 それは昨年12月28日夜、年末も押し詰まった時期にNHK総合で放送された『追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」』だ。番組は、“生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?”という、もっとも人々が知りたい疑問に向き合ったものだった。一児の母親で、自らも各地の放射線量の計測などを手がけている作家の室井佑月さんがナビゲーター役として出演している。

 政府がいう安全の根拠は、国際組織であるICRP(国際放射線防護委員会)の勧告によるもので、これは広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっているという。しかし、25年前の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRPの基準を下回る被ばく量でもガンを発症する例が多数現れるなど、基準への疑問が浮かび上がる。

 関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。それは、当時ICRPの基準に、原子力産業や各国の政府機関から強い反発が寄せられていたことによるものだった。低線量被ばくについては科学的に未解明の部分も多く、実際、最新の研究成果では、低線量被ばくの危険性を指摘するものが各地で報告されているという。「NHKがこの問題を正面から取り上げ、ICRP基準の正当性を根底から問い直したことは極めて重要だ」と、番組への高い評価が集まったのもうなずける内容だった。

原子力ムラが抗議と要望

 ところが、政府の安全基準に鋭く疑問を突き付けたこの番組に対して、「エネルギー戦略研究会」「日本原子力学会シニア・ネットワーク連絡会」「エネルギー問題に発言する会」という三つの団体が連名で「抗議と要望について」という文書を今年1月12日付でNHKに送付し、その事実を公表している。

 文書では、この番組を指して「数々の論旨のすり替え、事実誤認、不都合な情報隠ぺい、根拠薄弱な問題指摘などにより構築された非常に問題の多い内容」だとして、「問題個所」を具体的に列記したうえで、指摘した事実に対する調査と、事実誤認が判明した場合にはすぐに改めること、「慎重な番組制作と公正公平な報道」に努めること、を要望している。

 文書の末尾には、原子力関係の研究者や関連企業のOBなど112名が名を連ねており、さながら「原子力ムラ」の「村民名簿」の様相を呈している。

 抗議文を寄せた三団体は、過去にも原子力に批判的な報道に対して抗議文を送りつけるという、一部では知られた存在だという。原子力推進勢力がまた巻き返そうとしている今、日本の市民とメディアの力が試されている。



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軍事色濃く、自衛隊のヘリまで動員し大規模テロ訓練

 埼玉県と所沢市は1月28日、所沢航空記念公園で「国民保護実動訓練」を実施した。

 公園内の野外ステージで爆発物によるテロが発生したとの想定で県、市、警察、消防、自衛隊、看護学生など約400人が参加した。自衛隊が軽傷者の搬送・応急措置、ヘリでの搬送など、軍事色が強い内容となった(写真は所沢平和委員会、大場智子さん撮影)。

 同訓練は、米軍と自衛隊が共同して戦争をするための「武力攻撃事態法」と国民保護法(2004年施行)、県と市の国民保護計画に基づくもの。

 9条の会所沢連絡会の浜林正夫代表は、「武力攻撃事態法は、わが国は『武力行使』を行って相手方の武力を排除することを規定している(第3条第3項)。これが国の武力行使を禁じた憲法第9条第1項に違反する」と述べたうえで、「国民保護訓練が全国的に定着すれば、敵を想定した政治が行われることを許し、いざ戦争という時に結束できる国民意識を育て、現実化しつつある海外派兵の銃後の守りを固めることにつながり、いくつもの危機をはらむ外交関係において戦争を誘発する要素になり得る」と、藤本所沢市長宛に提出した実動訓練に関する要望書で、訓練の危険性に言及している。

 市内の九条の会や所沢平和委員会の約40人が訓練の監視活動に取り組んだ。



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定数削減を阻止し、民意を反映させる制度を実現する展望はある

坂本修弁護士(元自由法曹団団長)に聴く

 野田首相を先頭に、民主党は消費税増税の「税と社会保障の一体改革」法案とともに、比例定数80削減の成立を図ることになみなみならぬ決意を表明し、この問題が様々取り上げられています。この比例定数削減問題で、闘いの先頭に立ってきた元自由法曹団団長坂本修弁護士に話を聞きました。
(聞き手鴨川孝司)

鴨川 野田首相は『不退転の決意』でと定数80削減を強調しています。どのような状況にあるのでしょうか。

坂本 緊迫した局面に入ったと見ています。私たちの「対抗」についての戦略と目の前のせめぎ合いに立ち向かう戦術をどうするかについて、知恵と力を集める必要があると考えます。

 そこで、どう闘うかの前提として、策動の根本にあるもの「深部の流れ」をみてみます。選挙制度が改悪された94年から今日までの18年間を見てみますと、小選挙区制により過半数の死票が生み出され、国民の選択の自由が侵害され、そして政治の「劣化」が進行しました。自民党、或いは財界が得た「成果」は社会党の「解体」、日本共産党の前進の押さえ込みと準2大政党制といえます。

 この間、国民が失ったものは大きい。構造改革が強行され利潤至上、弱肉強食の格差社会となり、生活の破壊と生存権の侵害がすすみ、「新たな貧困」が拡大しました。また日米同盟はいっそう軍事同盟化し、あいつぐ「戦争立法」、イラク海外派兵など、憲法9条は激しく侵害されました。

 しかし、矛盾は深化し、支配の根底に揺らぎが生じ、自民党や財界の思いどおりにはならなかったのです。そして、07年参議院選挙で、安倍政権は明文改憲の策動に大失敗し、歴史的敗北となりました。9条の会が発展し、自民党政治(自公政権)の構造改革による生活破壊への国民の不満、不信、怒りが広がったのです。09年総選挙で自民党政権が崩壊。普天間撤去を公約した民主党が大勝し、政権交代となりましたが、その後、公約を裏切った民主党は次の参議院選挙で大敗、自民党も敗北したのです。2大政党制は足もとからゆらぎ始め、そこに3・11大震災、原発事故が直撃しました。「復興」は進まない、原発大事故の被害はなお進行中と国民の怒りは広がっているのです。

政権維持に執念燃やす

鴨川 そうしたもとで、野田首相は何を考えているのでしょうか。

坂本 野田政権が策動に燃やす執念は、それまでの政権よりはるかにつよいといえます。そうさせているのは、「政権交代」とその結果を知った国民の2大政党政治への不信、3・11以後の国民の怒りがかつてなく強まっているからです。野田首相の政権基盤は弱く、党内の求心力も弱い。「暴走」によってでも、アメリカや財界の強力な支持を得て政権維持、政局のイニシアチブの維持を狙っています。

 そこで、消費税アップの「税と社会保障の一体改革」を提案し、身を削るという「大義名分」で国民をだませると考えた。しかも、それを比例削減による「民意の歪曲・排除」、少数政党排除による議会制民主主義の「空洞化」により、支配強化し構造改革を推進し、日米軍事同盟「深化」を可能にすると考えているのだと思います。

鴨川 どのような闘いが求められていると考えてますか。

坂本 その危険性は多くの国民に知らされていないと思います。「定数削減はできないだろう」という楽観的な気分があります。民意を損なった18年間の教訓を生かし、立ち後れてはならないと思います。「我が身を削る」というのは、思い上がった主張です。議席は議員の“持ちもの”ではない「削るべき無駄」は政党助成金、議員歳費等の削減なのに、なぜそれをしないのか。「なぜ比例にかぎっての定数削減なのか」民意を反映させないことが定数削減の「本音」です。そのことをもっと伝える必要があります。

 そして、削減阻止だけではなく、民意を反映する「比例を軸」とする選挙制度の定数を「本気」で提起することが大事だと思います。「ブロック単位の比例代表制」(当然に小選挙区制の全面廃止)です。

重要なマスコミの動向

坂本 関心を持っているのはマスコミの動きです。注意深く見てみると、93年から94年の時は土石流のようなキャンペーンでした。今、TPPと消費税の社会保障一体改革は国論統一型のキャンペーンですが、定数問題になると定数削減は当然だというのが主要な論調ですが、朝日、毎日の全国紙や東京・信濃毎日など多くの地方紙がほとんど一致して、比例の削減に絞るというのはおかしいと言っています。削減するというなら、何故政党助成金を削減しないのだと言う主張が広がっているのです。国会での論議を見ても民主党の思うようにはいっていません。

 今、知恵と力をあわせれば、定数削減を阻止し、民意の反映する制度を実現する展望はあると確信します。頑張りましょう。




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「私と川柳」

山本 映(山口在住)

 定年後、年金暮らしの単調な生活を如何に有意義に過ごすか、試行錯誤の結果、手にしたものそれが「川柳」でした。  世相や暮らしを風刺して、これを五、七、五にまとめて忌揮なく表現できる川柳の魅力は格別です。

人の世は生まれた日から比較され

病室のママが恋しいと愚図る孫

母性愛忘れ去られた薄い胸

いい年をしてと貶され引くダンス

宮仕え酔っばらってもある序列

権力とお金が黒を白にする

やっとこさノルマ果たして美酒に酔う




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鈴木彰の「防衛のボの字はボケっとボカシのボ?」




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沖縄海兵隊のグアム移転

8000人がなぜ4700人になったのか?

日本が提供する資金だけで移転可能に

梅田正己(書籍編集者)

 2月8日、玄葉外相は、米軍再編見直しについての日米基本合意を発表した。

 その中で、沖縄に駐留する海兵隊のグアム移転については、06年の日米合意で決定していた8000人を、4700人に縮小するとなった。

 では、なぜ4700人なのだろうか?
 何の根拠にもとづいて、こんな半端な数字になったのだろうか? 米国・米軍はそれをどう説明しているのだろうか? 政府の説明もなく、メディアも伝えていない。

■海兵隊グアム移転のため、日本はすでに963億円を支出!

 06年の日米合意のロードマップでは、沖縄の負担を軽減するため、海兵隊8000人とその家族9000人がグアムヘ移転することになっていた。そのためには、軍の施設のほか、住宅をつくり、インフラを整備しなくてはならない。

 その費用、103億ドルのうち、日本側が61億ドル、米国側が42億ドルを負担することとされた。

 日本と米国、ほぼ6対4の割合である。グアムは米国の自治領、つまり米国領である。

 他国の領土にある軍事基地を、日本政府が国民の税金を投入して建設し、整備するというのは、どう考えてもおかしい。

 しかし、沖縄の負担軽減のためということで、日本政府は米国側の支出を上回る負担を了承した。

 このグアムヘの出資を合法化するため、政府は「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別法」という法案を作って国会に提出、承認された。

 現在すでに日本政府は、平成21(2009)年度分として346億円、平成22(2010)年度分として468億円、平成23(2011)年度分として149億円をアメリカに支払っている(合計963億円)。以上のことは、防衛省のホームページを見ればわかることである。

■4700人の海兵隊員が移転するのに予算はゼロ?

 この日本側に対し、米国側は2010年度が約3億ドル(当時のレートで240億円)、2011年度が約1・07億ドル(同86億円)を支出した。予定額のまだ1割にも満たない。

 ところが、2012年度は予算措置そのものが出来なかった。なぜか? 議会が承認しなかったからである。

 周知のように、アメリカはいま、日本の財政危機にも劣らぬ火の車となっている。予算削減のため、オバマ政権はついにこれまで聖域とされてきた軍事費にも手をつけ、今後10年間で4870億ドル(40兆円弱)の防衛予算の圧縮を発表している。そうした中、移転計画のインフラ部分に疑問がある、また先住民の中に反対運動があるといった理由で、沖縄海兵隊のグアム移転に待ったがかけられたのである。

 海兵隊の海外駐留そのものが議会で問題にされる中、米政府・軍の海兵隊グアム移転計画がどうなるか、まだ何ともいえない。ただ、予算措置がきわめて困難になったことは明らかである。それなのに、今回、アメリカ政府は47OO人のグアム移転を発表した。

 5千人近くの軍人(それにプラス家族も)が新たな土地に移転して駐留するとなれば、まず住宅が必要となるし、上下水道などインフラも整備しなくてはならない。そのための予算措置もまだ保障されていないのに、アメリカ政府はどんなマジックを使って4700人の海兵隊員をグアムヘ移転させるのか?

■日本側の支出だけでグアム移転は可能

 ここで簡単な割り算をしてみよう。4700÷8000である。答えは、O・5875。四捨五入してO・6、つまり6割。この6割という数字を見て、何か頭に浮かんでこないだろうか。そう。在沖海兵隊8000人がグアムヘ移転するための日本側負担の割合である。この6対4という分担比率を決めた際、その支出をどんな施設・設備に使うか、両政府で決められた。それによると、
▼日本側6割の使い先は
一一司令部庁舎、教場、海兵隊員の宿舎、家族住宅、それにインフラ整備(電力、上下水道、廃棄物処理)

▼米国側4割の使い先は
一一ヘリ発着場、通信施設、訓練支援施設、燃料・弾薬保管施設などと高規格の道路となっている。

 つまり、新たに駐留する海兵隊員が生活するための施設やインフラは、基本的に日本が提供する資金で建設し、整備できるのである。

 ということは、アメリカ側の支出がゼロであっても、日本側の支出だけで在沖海兵隊のグアム移転は可能だということだ。

■日本側の出資金で軍事施設の整備も

 それに、移転する人数が6割となれば、日本側の当初の支出額61億ドルからはお釣りが来る。インフラなどは別として、少なくとも住宅などは人数が6割になるなら6割ですむ。では、余った分をどこに使うか。ヘリ発着場や訓練施設など、軍事用施設の整備に使うのである。もともとグアムには、普天間基地の13倍もの広さをもつアンダーセン空軍基地や、天然の良港であるアプラ軍港、広大な海軍弾薬庫などの軍事施設がある。新たに基地をつくる必要はなく、海兵隊用の訓練施設を整備あるいは新設すればいいのである。

 そこで問題をうんと単純化して試算してみる。
*一一当初の予算総額100億ドル、うち日本側の支出額60億ドル(約60%)
*一一当初の海兵隊移転数8000人
*一一今回の海兵隊移転数4700人(約60%)
*一一4700人のための生活施設建設費36億ドル(60億ドル×O・6)
*一一日本支出の剰余=軍事施設整備用24億ドル(60億ドル一36億ドル)
 こうしてみると、アメリカ側は予算がつかなくても、4700人の海兵隊グアム移転は可能なのである。

■試される野田政権

 ところが、これには一つ、問題がある。日本側から、移転の人員が6割になったのだから、分担額も6割、つまり36億ドルに減額すべきではないか、という申し出が予想されることである。この当然の要求に、アメリカ側はどう答えるのか。

 その答えが、ローテーションである。当初の移転人数8000から4700を引いた、残り3300人は、オーストラリア、フィリピン、ハワイなどをローテーションさせて、そこで有事に備えながら訓練をする、というのである。(こともあろうに、そのローテーションの候補地に岩国も入っている。)

 こうして、グアムに移転するのが4700人、ローテーション組にまわるのが3300人、合わせて8000人が沖縄を離れることになるわけだから、当然、当初の約束どおり、グアム移転費として60億ドル、出してもらえるんでしょうね。 一一というのが、アメリカ側が立ててくる「論理」であろう。

 この「論理」にどう立ち向かうのか、野田政権が試される。




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メディアウォッチ100

池田龍夫(ジャーナリスト・元毎日新聞)

世田谷区が電力を入札

 東京都世田谷区は1月23日、新年度から区役所庁舎や区立小中学校など111施設で使用する電力について、競争入札を実施すると発表した。

 「脱原発」を掲げて昨年春初当選した保阪展人区長が決断したもので、“東電離れ”を加速するものと注目されている。

 世田谷区に登録している特定規模電気事業者(PPS)は約50社あり、競争入札を2月下旬に行い、落札業者の電力供給は4月1日を見込んでいる。今回の対象は、区の施設全体の1割強だが、特に電気使用量が多い施設に絞った。これによって、年間6億7000万円の電気料金の3%に当たる2000万円の削減ができると試算。さらに東電が電気料金を値上げした場合、値上げ分を含めて1億1000万円の節約効果になるという。

 自治体による電力競争入札は広がっており、東京都でも立川市・国立市などが導入しているが、23区での導入は世田谷区が初めて。人口約88万人のマンモス世田谷区が、“東電独占”を見直す方針を鮮明にした影響は大きい。

 朝日新聞は1月23日付夕刊第2社会面で特報、24日付朝刊東京版で詳報した。また、東京新聞が24日付朝刊1面に4段見出しを掲げて報じた姿勢に比べ、「読売」「毎日」両紙の東京版扱いは腑に落ちない。

 人口密集地23区の新たな動きは、全国ニュースとの価値判断をすべきケースと思う。

 クリーンエネルギー開発・促進を目指す保阪区長は「3・11原発事故から現在まで問われたことへの一つの総括。より安全な、再生可能エネルギーへ変えていく大きな流れだ。(東電以外の)選択肢があることを自治体が示して実行し、国全体の議論を後押ししたい」と語っており、今後は再生可能エネルギーで発電された電力を導入する方針を進める意向と思われる。「脱原発・世界会議」にも保阪区長は参加、「少々高くても自然エネルギーを買いたいという声を、電力消費地で高めていく必要がある」と分科会で発言していた。

電力調達をめぐる“知恵比べ”

 「発電コストで劣る風力・太陽光の事業者入札参加はできるだろうが、コストを競う以上、クリーンエネルギー業者が落札する可能性は少ない」と常識的に推測されるものの、世田谷区が投じた“一石”は、脱原発・新エネルギー開発促進への道を示しているのではないか。

 井熊均・日本総研創発戦略センター所長も「自治体が主体的に電源を選ぶようになったのは良い傾向だ。住民の生活を守る立場から、今後、自治体はPPSの活用が必須になるのではないか。世田谷区などが成果を広げれば、やっていない自治体は住民の目に『怠慢』と映るだろう」(24日付朝日新聞東京版)と指摘していた。

 自治体以外では、城南信用金庫が、今年から大半の店舗で東電からの電気購入を止め、PPSへの変更に踏み切っており、電力調達をめぐる“知恵比べ”が拡大する雲行きである。




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「カフェ・サロン」 暮らしの中の民主主義 カナダから見た日本

 2月3日午後2時より航空公園駅近くの喫茶店で、第5回カフェ・サロンがもたれ、今回はカナダで37年間責任ある仕事についてこられたChizuko Masukawaさんをお招きして、お話をうかがった。

一一カナダは面積が日本の24倍、人口が4分の1という広大な国、しかし北部の森林地帯の管理に金がかかるので、アメリカの国力にはとうてい及ばない。人々の生活も質素で堅実である。くわえて税金が消費税は12〜15%、所得税は所得に応じて12〜20%と高いため、生活はきびしく70%は夫婦共働きで、失業率も25%。

 しかし日本とまったく違うのは納税に対する意識で、カナダ人はシティズン、つまり市民であるためには税金を払わねばならないという義務感をしっかりもっている。だから税金の使われ方についてもきぴしい目を持っている。見て見ぬ振りをする日本人、責任をとろうとしない日本人とはちがって、社会の「公正さ」により敏感で、人を大事にする伝統がある。

 民主主義の原理は、べつに大それたことではなく、他人の痛みを分かち合うことで想像力が大事だが、日本人はそれに欠けているように思う。その点カナダ人はきちんと自己のポリシーを持っているので、日本人の混じる職場より、カナダ人だけの職場の方が働きやすかった。

 暮らしの中でも、カナダ人はあまり物を持とうとしないし、物を大事にする習慣があり、社会ルールを守る。女性や高齢者にも配慮があるので、母国の習慣をそのままカナダにもちこむ日本の男性の姿はカナダ人には理解の外である。

 増川さんはユーモアをまじえて生き生きとカナダの暮らしと仕事を語られ、言葉と行動が一致している彼女の話には、参加者に日本の国のあり方を考えさせる説得力があった。




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「九条を生かす」

●アピールから8年目

 9条の会アピールが2004年6月10日に呼びかけられ、今日までの間、全国に7500を超える9条の会が作られ、様々な活動を展開してきました。結成を呼びかけられた当時は、集団的自衛権の容認、自衛隊の海外派兵と武力の行使など実質改憲、非核三原則や武器輸出の禁止などなし崩し破棄と教育基本法の改悪の動き、そして、アメリカのイラク戦争などがあり、「九条を中心に日本国憲法を「改正」しようとする動きが、かつてない規模と強さで台頭しています」と言われる情勢でした。

 アピールの呼びかけから8年目を迎えた今、民主党政権となり、明文改憲の動きは背後に、いま改憲派は「改憲発議要件を衆参両院過半数に緩和を」と憲法96条改正議連が活動を進め、大地震など緊急事態への対応と称して「秘密保全法案」の提案の動きなど改憲の策動を進めています。

 また、福島の原発事故後は、脱原発をめぐって厳しいせめぎ合いが国民の関心事となるなど、情勢も大きく変わってきています。

 多くの9条の会はアピールのいう「日本と世界の平和な未来のために、日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、「改憲」のくわだてを阻むため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴えます」と呼びかけに応えようと新しい情勢のもとでの運動の構築を模索し、挑戦しています。

●九条守ろうと多彩な取り組み

 「マスコミ・文化九条の会所沢」でも、情勢変化の中、会報の定期発行、9の日の駅頭宣伝を柱としながら、平和と生活の問題は表裏の関係にあることから生活破壊の攻撃とのたたかいへの取り組み、放射能汚染に苦しむ福島9条の会との連帯・測定器購入への資金カンパ、脱原発のための「さよなら原発1000万署名」に取り組みました。

 また「会員一人一人の持っている要求への可能な範囲でのバックアップとして、映画「三池」の上映活動支援、「カフェ・サロン」の開催支援等にも取り組んできています。

 こうしたときだからこそ、さらなる発展を目指し、各地の九条の会が活動にどのような創意工夫をしているか探求していきたいと思います。九条の会第4回全国交流集会で配られた報告には次のような取り組みがありました。

 沖縄の北部・大宜味村の「憲法九条を守る会」では、「今、毎週月曜日に、高江支援に『九条を守る会』が当番として行っています」と。

 あさひかわ西地域・九条の会は「900冊普及、新刊の発行ごとに北海道新聞から取材を受けて、記事として掲載されるたびにいお年寄りが『私も語りたい』『今だから語れる』と、語り手がどんどん増えています」と。

 9条の会・尾張旭(愛知県)は「九条の会」は三層の人々が力を合わせる場、 ①「自衛隊は憲法違反だから解散すべき」 ②「国を守るためや災害救助のために自衛隊は必要」 ③さらには「自衛隊を認めるだけでなく、平和目的や人道支援のためなら自衛隊が海外に出ることも認めるべきだしという自衛隊について異なる考え方を持つ人々全てが、ただ一点、「憲法9条を変えて日本の軍隊が海外で武力行使する。戦争する。それだけはやめさせましよう」と力を合わせる場と位置づけています。

 次回もさらなる動きを追求していきます。
(編集長 鴨川孝司)




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紹 介

■「脱原発いま、本気で前へ 『3・11』1周年のつどい」(仮)

日 時:3月17日(土)10時から
場 所:東京・文京区民センター3A会議室
参加費:1000円
基調講演 吉原毅氏(城南信用金庫理事長)、秋山豊寛氏(ジャーナリスト、京都造形芸術大学教授)
討 論 伊東達也氏(住民運動リーダー)、後藤政志氏(原子炉設計技術者)
主 催:「原発とジャーナリズムの根源を問う」実行委員会。(JCJなど)

■東京大空襲を語り継ぐつどい

日 時:3月10日(土)13時30分〜16時40分
場 所:カメリアホール(亀戸文化センター)
参加費:800円 高校生以下無料 予約制です。TELまたはFAXで。
    TEL 03-5857-5631 FAX 03-5683-3326
 1. 喜納昌吉が歌う〜沖縄から願いを込めて〜
 2. 東京大空襲を語り継ぐ10年の歩み
 3. 特別報告 差別なき戦後補償を
 4. 講演 安斎育郎氏(安斎科学・平和事務所所長)
      1945年3月10日と2011年3月11日をつないで平和と人権を考える
挨 拶:館長・早乙女勝元
第2部 懇親会 参加費1000円 連絡先埼玉アジア・アフリカ・ラテンアメリ力連帯委員会 048−832−9565

■朗読劇「死んでもブレストを」

早乙女勝元原作、前進座出演
日 時:3月24日(土)
場 所:曳舟文化センター
成功協力券:2000円
問合わせ先:03-5857-5631




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