機関紙72号 (2011年12月21日発行)new!



もくじ

原発事故、薄れる危機感 被災地の視線忘れぬ報道を
   藤田博司(元上智大学教授)
「九条の会」3年ぶりに全国交流集会開く
    憲法と復興・原発を焦点に多彩な取り組みが報告
「大手メディアはこれでいいのか」特集2
    TPP一一メディアこそが問われている
   梅田正己(書籍編集者)
    全国紙はすべてTPP参加を歓迎
    放置されたメディアの役割
    政府に交渉できるのか
避難民の絆を結ぶ小さな通信の大きな役割(川房通信から3)
    「川房通信」は希望を照らす一筋の光
鈴木彰の「外堀を埋めて漁るのが泥鰌流?」
新連載「安保条約徹底検証」番外編 2
   松本善明(元衆議院議員・御幸町在住)
    戦後の謀略事件の謎を解くキーワードを三鷹事件から見る 2
     ●米軍オペレーションの存在
     ●占領政策に協力した田中耕太郎氏
メディアウォッチ100
   池田龍夫(ジャーナリスト・元毎日新聞)
    福島事故が収束せぬ段階で、4カ国との原子力協定締結へ
    危機管理の責任体制が危ぶまれる
    日本は「省エネ技術」「新エネルギー技術」で国際貢献を
「所沢での軍事訓練を中止せよ」と緊急市民集会
    所沢九条連絡会が主催
「脱原発」1000万人署名達成にむけて、更なる力を!
    山崎晶春(マスコミ・文化 九条の会 所沢 世話人)
「9の日行動」  寒風に負けず街頭宣伝
BOOK REVIEW
   ◆「福島は訴える」




原発事故、薄れる危機感 被災地の視線忘れぬ報道を

藤田博司(元上智大学教授)

 東日本大震災と福島原発事故は、日本人全体にとって途方もなく大きな試練をもたらしています。とりわけ原発事故は人間が引き起こした、前例のない規模の事故であり、しかも長期にわたって人々の生活を脅かし続けるものです。これにどう対処するか、政府が国の将来をかけて取り組まねばならない問題です。

 3・11後、しばらくの間、メディアにもそうした危機意識がのぞいていました。政治家や識者の議論にもそれがうかがえた時期がありました。しかし3か月がたち、半年がたつうちに、一時の危機感や切迫感が薄れ、政治や経済も、そしてメディアも事故に立ち向かう緊張感を失ってしまったように見えます。

警鐘鳴らした新聞は皆無

 政府や東京電力は、事故を起こした原子炉の「冷温停止」を言い募り、事故収束に向けて大きく前進しているかのような印象を振りまいています。しかし実態は、仮にこのまま原子炉を廃炉にするにしても、この先何十年もかかるとされています。その間、故郷の町や村から追われた福島の人々は帰るところもなく、不自由で不本意な生活に耐えねばならない。このことだけでも原発事故は被災者に償いようのないほどの災厄をもたらしたことになります。

 一方、政府にも東電にも、事故を真剣に反省し責任をとる真摯な姿勢は見えません。その証拠に、政府は菅前首相が一度は口にした「脱原発依存」の方針をうやむやにしてしまったし、東電をはじめとする電力業界や経済界は、早期の原発再稼働を主張しています。

 新聞は、朝日、毎日、東京などがそれぞれの社説で今後の長期的エネルギー政策の方向としで脱原発の立場を打ち出しましたが、読売へ日経、産経などは日本経済への影響などを懸念して原発再稼働を支持する立場を打ち出しています。メディアも自分たちの原発政策に対する姿勢をどこまで真剣に検証し、反省しているのか疑わしい。

 もともと新聞はこれまで、おおむね原発の開発を前向きに受け入れてきた歴史があります。日本各地に原発が設けられ、小さな原発事故が伝えられるようになってからも、今回のような大規模事故の危険に警鐘を鳴らした新聞はありませんでした。メディアも合め、日本全体が原発推進派の広げた「安全神話」をそれとなく信じてきたわけです。

 福島第一原発の事故はそんな安全神話を完全に吹き飛ばしました。そして事故がもたらした被害の甚大さは、「経済性」などを理由にとうてい原発を正当化できないことを、まざまざと見せつけました。日本の将来に原発の居場所はない、と多くの人が思ったはずです。6月から7月にかけて行われた朝日新聞、産経新聞、共同通信などの世論調査では、いずれも「脱原発」派が7割前後に上っていました。

 しかし当初、新聞の紙面やテレビの映像にあふれていた原発や放射能に対する不安や恐れは、次第に影をひそめていきつつあるように見えます。

 9月に東京で6万人が参加して行われた大規模な「反原発集会」は、東京新聞をのぞいてごく小さな記事にしかなりませんでした。それは、原発事故に対するメディアの関心が着実に薄れつつあることを象徴的に示す出来事でした。

 政府や東電、それに経済界などは、原発事故の被災の影響をできるだけ小さく評価しようとしているようです。メディアが政府と同じような視点で原発事故の問題をとらえていると、被災地の人々の苦悩や痛みはいつの間にか国民の視野からも抜け落ちてしまう恐れがあります。

 メディア、とりわけ新聞には、神経をとがらせて、被災地の抱える問題を見落とさぬよう目を見開いてもらわねばなりません。当局の言い分を伝えるだけでなく、被災地の視線で問題を伝え続ける姿勢を忘れないでもらいたいものです。
(元共同通信ワシントン特派員、元共同通信論説副委員長、北岩岡在住)



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「九条の会」3年ぶりに全国交流集会開く

憲法と復興・原発を焦点に多彩な取り組みが報告

 3年ぶりとなる「九条の会」全国交流集会(第4回)が、11月19日、北海道から沖縄まで全国各地から750名が参加して行われました。午前中は呼びかけ人の大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝さんがあいさつ、その後、岐阜・つけち、宮城・女川など5つの「九条の会」の活動が報告されました。

 大江さんは原発が「潜在的核抑止力」と位置づけられてきたが「核と人間は共存できない」と強調、奥平さんは「憲法審査会の始動」に警鐘を嶋らし、澤地さんは密約文書すべてに目を通し「日本の諸問題の根源に日米安保がある」と強調しました。

 午後は8つの分散会で各地の活動報告と交流が行なわれました。私が参加した分散会では、「9の日」行動、署名活動などの地道な取り組みと合わせて、戦争体験を聞く会の記録を冊子に(松戸)、小森さんとアーサー・ビナードさんの講演会が盛況(熊本)、中村哲さんの講演、ナターシャ・グジーさんのチャリテーで被災3県に義援金を送る(大田)、市内60カ所に看板をたて、 自民党元県議などの呼びかけで有権者の過半数の賛同署名を達成した(土佐清水)、松川中学校でまとめた「沖縄新聞」が評判(長野)、憲法記念日に新聞に意見広告(新潟・加茂)、風船爆弾・細菌研究など謀略機関だった登戸研究所見学会(川崎)、東京大空襲の爪痕を歩いてマップづくり(台東)、神主・坊さんなどを巻き込んだ幅広い活動(八王子)、など、各地の特性に合わせた多彩な活動が報告されました。と同時に、子どもたちといっしょにバーベキュー大会(旭川)、安斎育郎さんのマジックショウを含む放射線の学習会(四日市)なども紹介されましたが、とにかく「楽しく」「面白く」活動をすることが「九条の会」にとって必要との指摘に、大事な観点だと思いました。

 一方で、教科書・教育問題や原発問題を「九条の会」としてどう位置づけ運動したらよいのか模索していることも紹介されました。「9条」の一点でやるべき、憲法前文で触れられている平和に生きる権利(平和的生存権)の立場から核(核兵器・原発)と人類は共存できないという立場でやるべき、いずれにしても結論をいそがずそれぞれの会で十分に議論することが重要と「まとめ」で小森さんはのべました。

 最後に、6月に所沢に来て報告された福島県九条の会・事務局長の真木さんが全体会で『福島は訴える』(かもがわ出版)の購読を訴えられたことについてのべます。この本のサブタイトルは、「『くらし』『子育て』『なりわい』を原発に破壊された私たちの願いと闘い」で、「福島の人びとが原発を、放射能を、自分の声で語りはじめた」と帯にあります。当日、会場で販売するために間に合わせて制作され持ち込んだ180冊が完売という状況でした。所沢でもまとめて購入したいと思いますので、希望される方はご連絡ください。
佐藤俊広(電話04-2942-3159)。



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「大手メディアはこれでいいのか」特集2

TPP…メディアこそが問われている

梅田正己(書籍編集者)

全国紙はすべてTPP参加を歓迎

 11月11日、野田首相はついに「関係国との協議に入る」と最終意思を表明した。それを聞いて、反対派の旗頭だった山田前農林水産大臣は意外にも「ホッとした」と語った。「交渉参加ではなく、事前協議にとどまってくれた」からだそうだ。

 しかし首相の記者会見を聞いて、前農水相のような感想を抱いたものは殆どいなかったのではないか。その証拠に、12日朝刊の各紙の見出しは次の通りだった。読売「野田首相、丁PP交渉参加方針を正式表明」、朝日「TPP交渉参加方針、首相『関係国と協議』、反対派にも配慮の表現」、毎日「首相、交渉参加の方針表明…『関係国と協議入り』」、日経「TPP交渉参加表明 首相『関係国と協議』」いずれも「参加方針表明」だ。

 当然だろう。交渉に入らないのに「協議する」などということはあり得ない。入りたい、あるいは参加させてもらいたいから「協議する」のである。

 次に社説を見ると、どの社も交渉参加を評価、ないしは支持している。

 まず読売、「TPP参加へ日本に有益な『開国』の決断」の標題でこう書く。「新たな多国間の経済連携に加わることで『開国』に踏み出す野田首相の政治決断を支持したい」

 毎日もまた「TPP参加表明日本が協議リードせよ」と題して、こう書いている。「少子高齢化が進み経済活力を失った日本は、何としてむアジア太平洋地域の成長力をわがものとする必要がある。TPPはそのための有力な手段だ。首相の決断を評価したい」

 そして朝日、こちらはそれほど手放しではない。「TPP交渉へ何もかも、これからだ」として、こう述べている。「首相の方針そのものは、良かったと評価する」

放置されたメディアの役割

 朝日社説は、その後こうも書いている。「一方で、すでに問題点や疑問が山ほど指摘されている。農業と地方の衰退に拍車がかかる。公的保険や金融などの制度見直しを強いられる、などだ」「さまざまな懸念は、杞憂とも言い切れない」「杞憂」どころか、十分な根拠をもっている。だからこそこれほどの大問題となっているのだ。

 このような言い方も含めて、この朝日社説はいかにも他人事のような書き方だ。さっきの引用でもこう書いていた。「ほとんど国民の理解が広がらないままの見切り発車は残念だ」。じっさい、この問題に対する国民の理解はきわめてきわめて薄い。ある世論調査では、賛成、反対、わからない、がほぼ三等分になっていた。

 しかし、実態は、三分の一どころか大半の人が「わからない」ではないだろうか。なぜ、「わからない」のか。答えは、情報がないからだ。TPPに参加した後、どんな事態が生じるのか、そのメリット、デメリット、国民生活への具体的な影響が説明されていないからだ。つまり、判断しようにも、判断の材料が示されていないからだ。では、誰がその情報を提供できるのか。

 メディアである。新聞やテレビである。メディアの社会的役割は、大きく言って二つある。一つは、事実(出来事)と、そこから生じている事態についての報道。もう一つは、その事実(事態)の背景や意味を調査して伝え、解説すること。関係者や識者の意見を紹介することもその中に含まれる。

 TPP交渉への日本政府の参加が「ほとんど国民の理解が広がらないままの見切り発車」となったのは、この国のメディアがその役割を果たさなかったからだ。

 12日の朝日朝刊は、1面で「TPP交渉参加方針」を伝え、2面てほぼ全面を使って「暮らし影響は」という解説記事を載せた。そこには、「TPP交渉21分野と日本のメリット・デメリット」の表もかかげ、各分野のメリットとデメリットの簡単な説明もあった。私の記憶では、朝日がTPPによる関税ゼロ問題についてこのような総合的な解説記事を載せたのはこれが初めてのように思う。

 繰り返すが、メディアの社会的責任は、読者(市民)に問題の所在を知らせ、そのことの持つ意味を極力明らかにして伝えることだ。読売、日経はもとより、毎日も参加支持だったから、これで全国紙はすべて交渉参加支持にまわった。

 民主党内は賛否で真っ二つに割れていたが、マスメディアはこぞって賛成に回っていたのである。「ほとんど国民の理解が広がらないまま」、いや「広げないで」「交渉力」を発揮できるのか?

政府に交渉できるのか

 8日の朝日社説は、「戦略づくりを急げ」として、こう主張していた。「改めて主張したい。まず交渉に参加すべきだ。そのうえで、この国の未来を切り開くため、交渉での具体的な戦略づくりを急がねばならない」

 しかしTPPによる関税ゼロでの最大最強の交渉相手はアメリカである。そのアメリカに対して、日本政府がはたして交渉力を発揮できるだろうか。

 12日の読売社説が、こう書いていた。「TPP参加は、日米同盟関係も深化させる。経済軍事大国として存在感を強める中国への牽制という点でも重要だ」

 早くもアメリカに寄り添って中国を仮想敵視するこの感覚はどう言ったらいいのか。

 アメリカとの交渉で思い出すのは、昨年の冬から春にかけ、鳩山首相を窮地に追い込んだ普天間移設問題だ。

 元首相は、沖縄県民の切実な要求に応えて、何とか普天間基地を県外に移転させようと動いた。その努力が官僚の分厚い壁に阻まれ、5月末の期限切れに向かって現職首相が追いつめられてゆく様を、メディアはこぞって冷笑し、はやし立てた。




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避難民の絆を結ぶ小さな通信の大きな役割(川房通信から3)

「川房通信」は希望を照らす一筋の光

 「川房通信」が国内向けに「避難住民の心結ぶ手作り新聞」としてNHKテレビで報じられたが、先月、海外向けにも放送された。英語で海外向けニュースなどを放送している「NHKワールド」が避難住民の絆をつなぐミニコミ紙「川房通信」の活躍を全世界に報じた。全体で120カ国で受信できたという。編集長は「夢を見ているような気持ち」と語っている。

 避難住民の労苦は続く。10月22日に原町で大字総会と懇親会が開かれ、84名が参加した。南相馬市役所から線量や除染等についての説明を受け、質疑を行い、弁護団から損害賠償について説明があった。7ヵ月ぶりとはいいながら、古里回帰の見通しがない中での出会いだけに重たいものがあったと、報じている。

 総会に参加した、さいたま市で避難生活をする横田芳朝さんは、「仮設・借り上げあるいは親類等それぞれの避難生活を送っておられる皆さん、お変わりないですか。川房行政区の大字会で久しぶりに元気な笑顔を交わし合い、永年培ってきた川房の絆の深さを確かめ合うことができたのではないでしょうか。しかし、いつ帰れるとも当てのない非情な、そして過酷な避難生活の中で、何かしら心の底から笑い合うことのできない、そんな悲しい会でもあったような気がする。仮住まいが何年続くのか、老いた母がなんでこんな仕打ちを受けるのか、など諸々思うと気が滅入って、ややもすれば気力を無くしかけるのである。川房の復興はどうあるべきかとか、こんな異境で死んでたまるかと自分にムチ打ちながらのこの頃でもある」と、綴っている。行間から悲鳴が聞こえる。

 12月16日、野田首相は冷温停止状態を理由に「事故収束」を突然に宣言をした。避難住民が古里で生活を復興できてこそ「収束」ではないのか。専門家も驚き「あきれた人たち(小出裕章京大助教)」と、厳しく指弾した。薄れる危機感と被災地の救済を忘れた政府に厳しい監視が求められる。(K)




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鈴木彰の「外堀を埋めて漁るのが泥鰌流?」




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新連載「安保条約徹底検証」番外編 2

戦後の謀略事件の謎を解くキーワードを三鷹事件から見る 2

松本善明(元衆議院議員・御幸町在住)

●米軍オペレーション(作戦行動)の存在

 私は自白が5回も変転していること自体が、その任意性、信憑性に重大な疑いがあるとして無罪にしてもおかしくないと思います。戦前からの警察、検察の自白偏重の典型的捜査の結果です。事実関係も動機、手段など徹底的な審理が必要だと思います。

 竹内氏の自白では電車を「動かす鍵がなかった」「針金や、紙ひもを使った」という常識的にも信じられない、動機も計画性もない、個人の衝動的犯行。こんな事がありうるかとの想いで一杯です。

 ところで松川事件の起った福島では米軍将校がオペレーション(作戦行動)と称して米軍の調査に協力しないものを軍事裁判にかけるというやり方が横行していました。何とそれが田中耕太郎最高裁長官にも行われたのです。

 田中氏は竹内氏有罪の先頭にたった人物で、松川事件でも有罪の少数意見でした。商法の講義をしていた東大名誉教授ですが、なんとこの人がオペレーションとしてアメリカで反共裁判の研修を受けていたのです。

 NHKのベテラン記者片島紀夫さんの三鷹事件(NHK出版)によると『GHQ法務局(LS)は、三鷹事件初公判を契機に日本の裁判官の再教育をおこなう司法制度の改革に乗り出す』『これは占領下日本の各界のリーダーたちを米国政府の予算でアメリカ本土に招待し、米国の各界の実情を視察させ、直接指導と研修を行うというものであった。

●占領政策に協力した田中耕太郎氏

 これが単なる司法制度の研修でないことはその研修に「共産主義者の教授の解雇に関する議論」「共産主義者の裁判における求刑の実例」などが含まれている。田中耕太郎はこの研修に参加している。『報告書は現地での田中演説を二つ取り上げているが、「反共主義者田中耕太郎の面目躍如」といっている』『その内容は紹介しないが烈々たる反共演説である。田中は三鷹事件控訴審の初公判が開かれる一ヶ月前に帰国する』というものです。田中耕太郎最高裁長官は裁判官としてではなくアメリカの占領政策に協力する人間になり下がって日本に帰国し、三鷹松川などの裁判を行ったのです。アメリカの謀略はこんな膨大な背景をもっていたのです。

 竹内景助さんはまさにその犠牲者であることは明白ではありませんか。




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メディアウォッチ100

池田龍夫(ジャーナリスト・元毎日新聞)

 ベトナム、ヨルダン、ロシア、韓国との「原子力協定」が12月6日の衆院本会議で、民・自・公3党の賛成多数で可決された。参院での承認を経て、来年1月にも発効の運びである。3・11原発事故前に署名された協定とはいえ、事故収束の見通しすら立っていない現状からみて拙速・無謀な協定との印象が強い。

福島事故が収束せぬ段階で、4カ国との原子力協定締結へ

 そもそも原発事故当事国・日本が、事故原因すら究明されていない段階で、輸出に踏み切ることに不安が募る。「国内で“脱原発依存”と言いながら、原発を輸出するのはおかしい」(社民党)「少なくとも、事故の検証を行った後に論議すべきだ」(共産党)など自重を求めた“正論”ぱ封じられてしまった。原子力関係の機材・技術を提供する際、第3国への横流しや軍事転用させないため、IAEA(国際原子力機関)がチェックするルールが定められているというが、監視・規制の強制力はない。

危機管理の責任体制が危ぶまれる

 ベトナム、ヨルダンとはズバリ「原発輸出」協定であり、運転管理だけでなく、使用済み核燃料や廃棄物処理を相手国に任せられるのだろうか。特にヨルダンは地震多発国で乾燥地帯。「慢性的な水不足状態にあり、原発に必要な冷却水の確保が大変」と指摘する声が強く、リスクを抱えた地域という。

 玄葉光一郎外相は「個別の商談は民間の判断。他方、原子力協定は核不拡散と平和利用を法的に担保することで、政府が責任を持って対応していく。原発事故の教訓を世界と共有し、原子力安全の向上は日本の国際貢献だ」と答弁したものの、「原発の安全性確保は一義的には当該国の責任だ」と、「製造物責任」を回避するようなご都合主義が許されるのだろうか。

日本は「省エネ技術」「新エネルギー技術」で国際貢献を

 他の2国、ロシアとの協定は、日本の使用済み核燃料から取り出したウランの再濃縮を委託するもの。原発増設を急ぐ韓国の狙いは「日本の原子力技術」という。段階的に原発を減らす政策に転換した日本が、隣国に技術供与するとはとんでもない話ではないか。

 野田佳彦政権は4カ国との原子力協定に続き、トルコ、インド、ブラジル、南アフリカ、アラブ首長国運邦との協定にも積極的というが、国内で破綻した「原発安全神話」を、他国に押し付けるような危険性を感じる。

 「一部プラントメーカーの利益のために公的資金を使ってまで原発輸出を進めるべきではない」と市民団体代表が協定反対を訴え、「日本が協力すべきなのは、省エネ技術や再生可能エネルギー技術だ」と主張していたが(東京新聞12月1日付朝刊)、まさに正論だ。危険きわまる原子力協定の拡大を許容できない。メディアの厳しい監視を望みたい。




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「所沢での軍事訓練を中止せよ」と緊急市民集会

所沢九条連絡会が主催

 12月4日、所沢九条連絡会が呼びかけた「軍事訓練を中上せよ緊急市民集会」が開かれました。

 浜林正夫連絡会代表が「所沢市で、テロに対する演習をやることが決まっていてびっくりしました。何のためにやるのか、最近では北海道から九州へ自衛隊が戦車を移動させたり、憲法違反の自衛隊と仲良くしようとのねらいがある。今日は学習し、1月28日に向けてどういう行動をしていくかを一緒に考えていきたい」と挨拶しました。

 集会で講演した田中隆弁護士(元自由法曹団幹事長)は「何で、所沢でやるのか。70年前の日米対戦前ならいざ知らず、今平和な町で軍事訓練を行うのは、歴史の岐路にあります」と。戦争を意識した有事法の成立から、テロとの結びつき、そして各地での軍事訓練が大きな問題を引き起こしてきたことを説きました。そして「いま、再びきな臭い動き、憲法審査会が動き出そうとしている。国民の声を届かせまともな政治に切り替えていく大事な一歩を踏み出そう」と訴えました。

 問題提起をした九条の会・ところざわの北川事務局長は「今回の訓練は自衛隊が参加し、へリが出、国が動いてやっている。どんなことが考えられるか。ウラから読めば人権が制限される、国民に損失を与える、日頃からの備えを作っておくようにというもの。当日は知事も来るという、監視行動を取り組んでいきたい」と提起しました。

 会場からは「九条の会だけの行動ではなく」「市民に知らせることが大事」「提案された藤本市長への要請書には意見もある」などの意見もだされ、十分討議する時間もないので連絡会をひらいて、対応を検討することにして集会を終わりました。

 後日開かれた連絡会では、 ①なぜ軍事訓練かなど集会で明らかになった内容を市民に知らせるビラを作成すること  ②藤本市長への要請書を手直しし、連絡会として提出すること ③当日の行動は各会が判断して取り組むなどをきめました。(鴨川)




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「脱原発」1000万人署名達成にむけて、更なる力を!

山崎晶春(マスコミ・文化 九条の会 所沢 世話人)

 日本列島は地震の活動期に入っているといわれています。「安全神話」が崩壊したとはいえ〈政・財・官・学・メディア〉の利益共同体はしぶとく狡猾な策をめぐらし、「脱原発」運動をつぶしにかかっています。

 9月19日に6万人以上の市民が参加した東京・明治公園での「さよなら原発5万人集会」で「脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める」1000万人署名運動が提起されました。

 私たちは11月30日を第一次集約日として取り組み、現在は来年3月11日の最終収集約日に向けて運動を強めています。会員の多くの人たちが非常に積極的にこの署名活動に参加されています。そうした活動の中で〈原発反対の人は多くいるが意思を表明する機会がない〉〈バッチを作って販売し、活動資金にしよう〉〈ステッカーかポスターをつくろう〉という声などが寄せられています。

 野田政権の原発回帰政策と脱原発を求める市民運動とのせめぎ合いが激しく始まっています。この署名運動を持続的に旺盛にすすめることは、以前の自公政権を復活させないことであり、野田政権が行なおうとしている民・自・公の政治体制の政治を頓挫させる運動でもあります。私たちはこの「脱原発」運動は平和憲法が社会の隅々まで行きとどき、いのちや自然環境を大切にする真に民主的な市民社会をつくる運動だと考えています。

 戦争に結びつく二つの核、「核抑止力」とこの「原発」の「核」は表裏の関係にあります。

 米軍普天間基地県内「移設」問題をめぐっても、実に屈辱的な対米従属の実態がますます明らかになっているように、日本はなぜアメリカの覇権主義に従い、アメリカの軍需産業の利益に協力しなければならないのか。この従属関係を一日も早く断ち切り、平和友好条約の道へすすむのが世界的な趨勢ではないでしょうか。

 放射能の汚染被害は、米、野菜、魚などの食糧、自然環境にまでおよんでいます。セシウムが付着した土や木の枝葉など、放射能除染ゴミの置き場所も定まらない実態です。

 幼い子どもたちや若い女性、母親たちの健康といのちを守ることは、緊急な課題となっています。この事故は日本だけの問題で済まないことです。

 海には仕切りがありません。空気も同じです。朝鮮半島や台湾はじめ諸外国に放射能被害がでる可能性もあります。活動期に入った地震列島日本で、政府に原子力発電は「やめる」と明言させなければならないのです。「国策」のもとで国民を歎いてきた原発推進者たちに〈怒り〉を忘れてはならないと思います。

 作家の池澤夏樹さんが朝日新聞夕刊に書かれていたことを思い出します。

 「我々はこの国の電力業界と経済産業省、ならびに少なからぬ数の政界人から成る原発グループの首根っこを捕まえてフクシマに連れて行き、壊れた原子炉に鼻面を押しつけて頭を叩かなければならない」「どうやって日本の電力を変えるか。簡単なことだ。次の選挙で候補者一人一人に原発に対する姿勢を聞いて投票する。官僚や産業界がどう抵抗しようが、選挙結果は動かしようがないから」と。

 「脱原発」への転換を望む民意をこの署名に結実させ、1000万人の意志を野田政権に突きつけようではありませんか。




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「9の日行動」  寒風に負けず街頭宣伝

 12月9日、朝初雪があり寒い日。午後からは陽もさして、4時から新所沢駅頭で街頭宣伝を始めました。訴えたのは「来年1月28日、航空公園でテロ対策を理由とした軍事訓練が行われます。「なぜ今、ヘリコプターを出してまでの軍事訓練か。軍事訓練は中止し、安心安全な街作りと原発にさよならの署名を」「12月8日は中国・アジアヘ侵略して70年、あの悲惨な戦争体験から生まれた憲法を生かして近隣諸国と平和な関係を」と。

 寒い風が吹いていたからか、「ご苦労さん。頑張ってね」と言う声援がいつもより多く、3人の人から声をかけられたという人もいました。ビラもよく受け取ってもらい、いつもより早い時間でビラがなくなる状況でした。

 寄せられた意見も「軍事訓練中止もいいけどTPP反対をやってくれよ。日本が滅びてしまうよ」、「原発なくせは私も賛成」、「自分も原発なくせで頑張っている。これまでもたくさんの取り組みをしてきたよ」と宣伝行動を終わっても、話を終わらない人もいたりした駅頭宣伝でした。参加者13人。

 「会」は毎月9日、新所沢駅頭(東口)で街頭宣伝を午後4時から行っています。




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BOOK REVIEW

「福島は訴える」

 くらし、子育て、なりわいを原発に破壊された私たちの願いと闘い 福島九条の会編(かもがわ出版・TEL 075−432−2868 定価1600円十税)

 野田首相は16日、事故収束を宣言した。が、現状はそのとば口にも立っていない。福島の中心部には、瞬時に町全体がゴーストタウン化し、町民全体が難民化した地域もある。同じく避難を余儀なくされた町でも、ふるさとの見えるところで頑張って苦労を続けているいる人もいる。そしていま、福島は、放射能を恐れながらも、汚染されたふるさとの大地を取り戻すという、果てしのない闘いに直面させられているのだ。福島の人々の心からの叫びを聞いてみよう。




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