機関紙64号 (2011年3月28日発行)



もくじ

問い直される、繁栄を追求した戦後の復興
   前代未聞の難題背負った菅首相
    桂 敬一(元東大教授)
「国家とは一生命、自由、財産を守る」を大震災を受け改めて考える
    間島 弘
炉心溶解の危機は続く
   子どもと妊婦は100キロ圏外に避難させるべきだ
    葛西建治
新連載 「安保条約徹底検証」1
   日米安保条約を「憲法九条」と日本の現状に照らしてみる
海外の報道とお見舞いメール
    竹田裕子「並木在住・翻訳家」
鈴木彰の「辞めたって何も終わったわけじゃない」
東北関東大震災から何が見えるか
   「虚構の敵」から「現実の敵」へ
   日本の安全保障を根底から考えなおす
    梅田正己(書籍編集者)
春に
    鈴木太郎(詩人会議)
ビキニデーは核廃絶を誓いあう祈念の日
    大場智子(若松町在住)
「九条を生かす」
   ●平和な生活と命こそ大事、九条の教訓を今こそ
    編集長 鴨川孝司
BOOK REVIEU
   新しい「基地問題資料集」
短 信
   ◆計画停電は長期化の様相
   ◆米原子力空母が出港
紹 介
   ●ピースランナーの馬籠正雄さんが今年も走ります
   ●所沢・うたごえ喫茶 LOVE &PEACE
   ●消費者団体連絡会 総会と記念講演
   ●バーヴェル・ネルセシアン ピアノリサイタル




問い直される、繁栄を追求した戦後の復興



前代未聞の難題背負った菅首相

桂 敬一(元東大教授)

 菅内閣は、運がいいのか悪いのか、よくわからないところがある。  予算関連法案まで含めれば、明年度予算案の会期内成立は危うく、「3月危機」が本物となり、菅首相は解散か総辞職に追い込まれかねない状態にあった。そこに東北関東大地震が襲来した。

 新聞はこぞって、「与野党は“政治休戦”で協力、この国難を乗り切れ」と叫んだ。テレビによってではあれ、日本中があの大津波の猛威に圧倒され、千年に一度の大地震の実態を知らされるにつけ、確かに政局争いにうつつを抜かしてはいられないということは、だれにでもわかった。

かすんでしまったメア暴言

 そうした空気の前で、メア米国務省日本部長の「沖縄人はユスリの名入」の暴言問題もかすんでしまった。そういう意味では大地震は、菅首相の政治的延命につながり、「神風」なのかもしれない。だが、よく考えれば、これほど悩ましく重たい荷物もない。前代未聞の難題を背負った首相ともいえる。どうしたら、大地震と津波のもたらした災厄から、日本は本当に立ち直ることができるのだろうか。

 グークル・アースという衛星写真を利用し、陸前高田市などの災害前の市街と大津波が退いた後のその姿とを、ある外国テレビが、ビフォー・アンド・アフターの手法で、クールに比較して報じていた。それを眺めながらつくづく考えた。復興とは、寸分違わず元通りに戻せばいいことなのだろうか。そうではないのではないか。千年に一度の大災害とはいえ、これほどまでにやられてしまうことには、それを許す弱点もあったのではないか。本当の復興とはその弱点をも克服することではないか、とも思った。

 ここ10年ぐらいのあいだ、日本中が大型の市町村合併を競ってきた。地方議会や役場を統合、行政の効率化に励んできた。広域の道路整備を推進、大手流通のショッピング・センターや外食・レジャー事業の進出も招致してきた。しかし、その反面で、住民ひとりひとりの暮らしに寄り添う行政は希薄となり、駅前商店街はシャッター商店街に変わり、コミュニティの自立性や住民同士の濃密な交流が乏しくなった。

 これらは、自然災害である地震や津波の防止には関係ないことであり、どうしたって来るものは来るわけだが、災害がもたらした被害の拡大を食い止め、そこから復興のために立ち上がろうとするときには、マイナスの条件となる。その克服こそが、今後の大問題となるはずだ。

やがてくる政治決戦

 戦後の復興がそこそこ成り、その後は高度経済成長が成功モデルとみなされ、日本中がこれを信奉、繁栄を追求してきたけれど、そのやり方がすべて正しかったとはいえないことが、今度の災害によって示されたのではないか、という気がしてならない。福島第一原子力発電所はそのシンボルだろう。やがてポスト菅の選挙がやってくる。そのときは、日本の今後進むべき道を、このようにすべて根底から考え直す政治決戦が、展開することになるだろう。私たちはその覚悟を決めておく必要がある。

 もちろん、メア暴言が投じた一石も、日本の針路を考えるうえで忘れることのできない問題だ。



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「国家とは一一生命、自由、財産を守る」を大震災を受け改めて考える

間島 弘

 2月の初め、自転車のブレーキの故障で転倒し、左肩の骨を折り手術のため入院することになった。こんなときでもないとゆっくり本も読めないと思い、前から気になっていた「九条の会」呼びかけ人、加藤周一さんが言っていた「九条」の問題にについて考えてみたいと4、5冊、近代思想の本をもって入院した。

 その言葉とは、「西洋で誕生した人権と民主主義を日本国憲法九条はより高い所へと発展させた」というものである。

 近代国家の概念を最初に明確にしたのは、17世紀イギリスのホッブスだといわれている。彼は「共同社会の平和を確立し、構成員すべての生命の安全を確保するためにはどうすればいいか」を考え、人間の理性にもとづいて「行動」し「判断」する基準を示す。彼の言葉によれば「自然法」に従って行動せよ、と19ほど列挙しているが、その第一の基本的な「自然法」に、「人間は自己保存のために全力を挙げて平和を獲得せよ」をかかげている。学生時代以降久しぶりに接するホッブスだが、このことには気がつかなかった。タイトルにあげた「生命、自由、財産」は同じイギリスの思想家・ロックが使った概念だが、このときからなぜか「国家」と「主権」が妙に気になっていた。

 そして今回の「東北関東大震災」である。地震、津波、「原子力発電所」の事故、いずれも「生命、財産」に重大な危機をもたらすものである。とりわけ「原発」については、地震国・日本における建設に論議を呼んできた問題である。

 「生きていくこと」、「生命の安全」、「国家」につき、いろいろな課題を投げかけられた“大震災”である。



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炉心溶解の危機は続く

子どもと妊婦は100キロ圏外に避難させるべきだ

葛西建治

 未曾有の大惨事が進行している。世界最大級のマグニチュード9・0という超巨大地震で壊滅的惨状となった東北関東大震災。そして、「東電福島4原子炉爆発」だ。原発事故の深刻さを認識しないコメンテイターや御用学者達は、「いますぐに健康に害を及ぼす線量ではない。30キロ圏内の人は家屋から出ないように」と、テレビで繰り返すが、本当にそんなレベルなのだろうか。

指弾される東電の隠ぺい

 何十年かけて体を蝕む放射能に、いとも簡単に「大丈夫」とはまさに驚愕する発言がテレビから繰り返し流れる。御用学者や大企業の「安全だ」を鵜呑みにし、地震列島に54基も原発を並べた行政の責任は重大だ。

 炉心溶解がはじまれば、放射性物質が、所沢や都心にまで降ってくる。半径100キロ以内は人が住めなくなる、いまや東日本沈没の瀬戸際だ。原子炉が鎮まるのを祈るしかない。責任回避の措置なのか、情報を小出しにする「東電」、原子力行政を推進する役所である「原子力安全・保安院」は、「調査中」を連発し、国民の不安といらだちを蓄積させるばかりか、電力会社との癒着構図を露呈する行政側。自衛隊機で被災地を上からの目線だけで視察するパフォーマンスだけの菅首相。記者会見を一度しかせず姿が見えない東電・清水社長。

 18日現在も被災地に救援物資が充分に届いてはいない。地震は「天災」だが、原発事故は「人災」でなかろうか。電源の供給が途絶えれば、原子炉は暴走をする。大津波を予測せずに、電源のバックマシンを海側に並べるような愚行一つとっても、背筋の凍るような、すさまじい政治や産業の劣化を私たちはいま体験している。

 福島原発の危険性と隠蔽体質は早くから指摘されていた。共産党の吉井英勝衆院議員は、06年時点で、津波により5メートルの引き波が発生した時、日本の原発の約8割(43基)が海からの取水ができなくなり、冷却不能に陥る危険を解明し、昨年5月には、国内外での事故例をひきながら、「巨大地震で自家発電や外部電源が喪失し、2次冷却系が機能しなくなって炉心溶解にいたったとき、どれだけの規模の被害が発生するのか」と、危険性を具体的にあげて、対策を急ぐよう民主党政権に迫っている。危惧したことが現実となってしまった。

原発爆発は天災なのか

 岩波ブックレット・「検証東電原発トラブル隠し」によると、2002年8月、東京電力が原子力発電所に関する29件ものトラブルを隠し、東電が運転する福島原発を含め13基で、機器の点検で発見されたひび割れなどを隠したりごまかしたりして報告していた事実が明らかになり、同月の記者会見で南直哉社長は「このような疑義が生じたのは残念」と頭を下げた。保安院も東京電力も原発の安全性に問題はないと強引に押し切ったが、事件の発端は、GEの子会社の米国人の実名入りの告発文章が届けられ、29件の検査記録の改ざんや隠ぺいの実態が明らかになったという。

炉心溶解で大量の犠牲者

 むろん、福島第一原発一号炉の86年のシュラウドヘツトボトルのひび割れも国に報告せず交換し、93年にも同様なことが発覚し、報告書にも記載はなく、東電は隠ぺいしたと、岩波ブックレットは指摘し、東電の体質を厳しく指弾している。事故を起こした東京電力の清水正孝社長は現在、経団連の副会長に就任している。従業員への思想・信条差別事件で裁判所で和解したことは、まだ記憶に新しい。

 科学研究会編「原発なんかいらない!」によると、放射能が恐ろしいのは、急性障害で即死(チェルノブイリ原発事故では、直後に31名の消火作業にあたった消防士が犠牲となった)のほか、放射能が恐いのは、5年、10年経って晩発性障害として、白血病をはじめとし、肺ガン、乳ガン、甲状腺ガンが放射線量に比例して高くなることが確認されている。すべての放射能は危険性を持つ。「部屋の中に避難すれば安全」というレベルの話ではない。木造の家屋では外にいるのと同じことと早くから警告している。  福島原発で炉心溶解が起きれば広島型原爆の1000発分の放射能物質が外に飛び出す。82年に木戸厳氏が行った有名な分析では、東海第二原発(福島原発より100キロ東京に近いので、数字は異なる)で炉心溶解事故を想定すると、早期死だけで5万9000人、事故の影響によるガン死まで含めると10万人以上の人が被害を受け、被害をもたらす放射能雲は、事故発生からわずか10時間で首都圏に到達する。

 最悪の場合を想定し、子ども、妊婦はすぐに100キロから外に避難させるべきだ。




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新連載 「安保条約徹底検証」1

日米安保条約を「憲法九条」と日本の現状に照らしてみる

 最近のマスコミが閉塞感を取りあげています。たくさんの問題が渦巻き、解決策が見えない状況を表しているのでしょう。それは何から来ているのか。それをひもとく大きな問題の一つが日米安保体制の解明でした。昨年は現在の日米安保条約が結ばれてから50年の節目。話題にはなりましたが、中途半端に終わっています。

 この半世紀に、世界は大きく変わりました。日本だけが旧態依然としているかのようです。改めて日本のあり方を考えるために、日米安保50年を検証しようと考えました。

 日本国憲法は「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と定めています。自衛隊の存在も日米安保条約も憲法では許されないことであるはずなのに、生きてる社会は自衛隊も安保条約も動いています。

 その安保がどんな役割を果たしてきたか、そして何をもたらし、今どんな問題を生じているか。21世紀のこれから先、どう考えていけばいいのかに直面しています。

 今月11日、かつて経験したことのない東北関東大震災という大災害に直面しました。その上に、安全であるとして進められてきた原発が重大な事故を起こしました。大きな被害を乗り越える復興は軍事体制強化と両立しません。

 それだけではありません。沖縄では県民の大多数が爆音を響かせ、危険きわまりない米軍基地はいらないとしているのに、日本政府は、日米同盟の強化を盾に基地を押しつけようと躍起になっています。

 世界は軍事同盟から地域の安全保障体制へと大きく変化しています。60年余に及ぶ体験の中から作られた、基地はいらないという県民の意志を踏みにじることが許されるのでしょうか。

 日本のあり方を考えていく上での沢山の問題が生じています。それは日米安保とどのようにかかわっているのか、問題点を提起し、みんなで議論し、よりよい知恵を発揮していきたいと考えました。それも高邁な議論ではなく、身近な問題点に即してシリーズとして、しばらく続けます。多くの意見を寄せて下さることを期待してます。




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海外の報道とお見舞いメール

竹田裕子(並木在住・翻訳家)

 地震直後から被災地に入った海外のメディアの報道をご紹介します。

 BBCニュースのホッグ記者は、地震4日後の仙台の地方紙の報道から当地の犯罪件数を挙げて、ツナミで完全に破壊された状況下での盗みや、力づくで商品を奪う略奪などの犯罪数がとても低いことを指摘しています。

行動や態度に尊敬の念

 基本的な生活物資が不足している街で住民は我慢づよく店の前に行列を作って並び、放置された商店から商品をとるようなことは慎んでいる、と。そしてそのわけを、この地方で農業や漁業にたずさわる人々の忍耐強さのせいだと説明しています。水や食物が極端に不足している避難所に詰め込まれた被災者たちも、よく知られた日本人の禁欲主義を発揮して、政府を批判したり、人に頼るよりもむしろ自分たちで協力しあって今の状況を変える努力をしており、そういう精神は被災地以外にもみられると述べ、日本では所属するグループの利益に配慮し、従うように小さい頃から教え込まれている、と解説しています。

 このように、日本人、とくに東北人の災害に際してとった行動や態度が海外の人々には驚きと尊敬の念で見られています。また、私宛に外国の友人から寄せられたメールのなかにも、それに言及している言葉があるのでご紹介しましょう。

 「あなたのことを心配しています。ご無事だと信じています。今回の恐るべき不運に際して日本の人々が示した勇気と規律は、世界中を感嘆で埋め尽くしました。物質的な、心理的な被害がとりのぞかれるまでに何年かかるか解りませんが、私は日本人を信じています」(リーマン、日本文学者、バンクーバー)

 「ずっとあなたのことを思っています。今日ラジオでコメンテーターが、あなたの国の人々の勇気と、規律と、団結力に敬意を表すると語っていました。わたしたちにはあなた方のようにはできないでしょう。パニックにおちいってしまうでしょう。今あらたに放射能の問題がでてきました。あなたが汚染されませんように!」(シュトライト、音楽家、リスボン)

 「あなたの国が遭遇した大災害を見て大きなショックを受けるとともに、あなたの身を案じています。あなたやご家族が無事と知ってほんとうに嬉しいです。日本人は忍耐つよく、勤勉な国民だと知っていますからもういちど再建できると信じています。もとに復せないのは人命です。被災した方々がほんとにかわいそうです。私の心はあなたやあなたのお国と共にあります。今遭遇している困難に打ち勝つエネルギーをあなたに送ります」(シロキー、プラハ)




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鈴木彰の「辞めたって何も終わったわけじゃない」




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東北関東大震災から何が見えるか

「虚構の敵」から「現実の敵」へ
日本の安全保障を根底から考えなおす

梅田正己(書籍編集者)

 それはまさに「自然の暴力」としか言いようがなかった。
 突然、真っ黒い水の壁が立ち現れたかと思うと、たちまち防潮堤を越え、家々を押し倒し、道路を川に変え、市街地の中へ、巨大な蛇のように身をくねらせ、音もなく侵入してくる。

 音もなく、と書いた。だがそれは遠くから撮ったテレビの画面を見ているからで、濁流が突き進む現場では家々の砕かれる音がバリバリベキベキと凄まじかったに違いない。

 そして津波が去った後は、一面、瓦礫の原。その瓦礫の中を、生存者を探して歩き、瓦礫を処理する自衛隊員の姿が心強く見えた。

■新防衛大綱

 今回の大震災から突きつけられたのは、国の安全保障についての基本的な考え方の再検討である。

 安全保障といえば、どうしても軍事が中心だった。しかし、それでいいのか?という問題を、大震災は突きつけたのだ。

 昨年12月、菅内閣が閣議決定した新「防衛大綱」は「島嶼部に対する攻撃への対応」「島嶼部における対応能力の強化」を重点目標として掲げた。

 それを受けて同時に閣議決定した新「中期防衛力整備計画」では、与那国島と他の島に陸上自衛隊の沿岸監視部隊その他を配置するとともに那覇基地の戦闘機部隊1個飛行隊(現在24機)を2個飛行隊(36機)に増強、あわせてE2C早期警戒機を配備することを決めた。

 だが、では、一体どこの国が南西諸島に侵攻してくるというのだろうか?

 仮想敵に設定されているのは、誰が見ても中国以外に考えられない。

 しかし中国は日本の最大の貿易相手国だ。対中貿易総額は米国をはるかに超え20%強を占める。経済的には、日中米は完全に相互依存関係に入っている。

 あの尖閣諸島問題のときも中国はレアメタルの対日禁輸を決行したが、国際的批判をあびて中止した。国際的に孤立しては、中国の経済的成功はたちまち崩壊する。世界中から指弾される南西諸島への侵攻など、300%あり得ない。

 なのに新防衛大綱は「南西諸島に対する攻撃への対応」を最重点目標にすえた。

■「虚構の敵」

 新防衛大綱が“脅威”として設定しているのは明らかに「虚構の敵」である。

 大綱自身も「大規模着上陸侵攻等の我が国の存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性は低い」と認めている。本格的侵略もゲリラ的侵攻も、戦争の引き金になることに変わりはない。本格的侵略がないなら、ゲリラ的侵攻もあるはずがないのだ。

 大綱が説く日本への脅威は虚構である。それは先ごろの鳩山前首相の「抑止力」は,「方便」論やケビン・メア前国務省日本部長の「我々は日本でとてもいい取引をしている」というホンネ発言からもわかる。

 では、虚構でない「現実の敵」はどこにいるのか? それへの回答が今回の大震災だったといえる。

 津波に襲われた後の瓦礫の原の光景は、66年前の空襲による焼け跡とそっくりだった。天災も戦災も、災害に変わりはない。つまり、安全保障の原点に立てば、戦争への備えも、自然災害への備えも同等なのだ。

 この66年、日本は一度も他国からの攻撃を受けなかった。つまり戦災は受けなかった。では、自然災害はどれほどこうむっただろうか。6000人が命を落とした阪神淡路大震災から、まだ16年しかたっていない。それなのにまたも大震災に襲われてしまった。

■災害救助隊

 今回の大震災に、政府は10万人の自衛隊員の出動を決めた。自衛隊自身も先月中旬、東海沖地震を想定、全国から11万人の隊員動員を予定した兵姑中心の訓練を実施している(自衛隊準機関紙『朝雲』2・24)。

 それならいっそ陸上自衛隊16万人の半数、8万人で災害救助隊を新設したらどうだろうか。緊急動員で銃をスコップに持ち替えるのでなく、日頃からスコップや重機の扱いに熟練した災害救助隊となるのだ。

 自衛隊員自身もそれを歓迎するだろう。世論調査でも、自衛隊の評価で最も高いのは災害派遣だ(09年は78%、『防衛ハンドブック』2010年版)。

 災害救助隊は海外にも出てゆく。近年だけでもスマトラ沖、ハイチ、中国四川省地震と、災害は絶えない。熟練した救助隊はもちろん歓迎されるだろう。やがて日本は、世界で災害救助に最も熱心な国として認められる。

 こうして得た国際的な信頼と親愛は、日本にとって軍事力に代わる“防衛力”となるに違いない。

 今回の大震災は、私たちに安全保障の考え方の構造的転換を迫っている。それに応えることこそが、犠牲となった無数の人々への手向けとなるだろう。




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春に

鈴木太郎(詩人会議)

凍える空のいろはとけて
風が温かくなる
日常のはじまりに声をかけてみる
かわいた谺が饗く

野の花の名を覚えることなく
歩きつづけた長い日々
伝えたい思いを重ねてみる
飛び立っていく鳥の群れ

一粒の米も
春・夏・秋・冬の季節を経て届く
信じてきたまるごとのいのちの
重さと豊かさと尊さと

開け放された奥深い森のすべて
ひるがる息吹に
どのような希望をみつけるのか
春はこまやかな音を奏でている

青い樹がすくっと立っている




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ビキニデーは核廃絶を誓いあう祈念の日

大場智子(若松町在住)

 2011年の3・1ビキニデー焼津集会に初めて参加してきました。

 これまで「3・1ビキニデーは、第五福竜丸、久保山愛吉さんが亡くなった」ことぐらいで、深く知ることもなくサラッと流してきたのが実感でした。この集会に参加したことで、57年前ビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験によって「死の灰」がアメリカの指定した「危険水域」をはるかに越えて、マーシャル諸島島民、周辺海域で操業していたマグロ漁船に、そしてアメリカにまで達し、地球的規模の汚染と被害、犠牲を出したことを知り、まさに反核運動の原点であったことを思い知らされました。

 アメリカのオバマ大統領の「プラハ宣言」以後、昨年の5月、NPT(核不拡散条約)再検討会議、8月原水爆禁止世界大会を経て世界の平和の流れが急速に変化してきた中で、2月15日新しい「核兵器廃絶アピール」の署名が発表され、「地域ぐるみの運動」が提案されました。

 今回発表された新しいアピール署名はすでに各都道府県の自治体首長、議長などから賛同署名が戻ってきているとの報告もありました。

 3月1日は、久保山愛吉さんの墓参行進で、愛吉さんの好きだったという赤いバラの花を1本ずつ持って焼津駅から約4kmの道のりを行進しました。愛吉さんの法要が営まれていましたが私達は「核兵器のない平和な世界」実現のために墓前の遺影を前に新たな誓いをしながらバラの花を手向けてきました。

 現地で偶然にも当会員の坪井俊二さん(緑町在住)にお会いし、連帯の握手を交わしました。

 私自身、この一年「核廃絶」に関わる一連の大きな集会に参加し、さまざまな体験を通し、行動に参加することの大事さをつくづく学ばされました。そんな経験をいかして、この所沢からも核兵器廃絶のための「6・9行動」を再燃させ、さらに各地の行動と連帯し、文字、通りの「非核都市宣言」にしていけたら……と思っています。




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「九条を生かす」

●平和な生活と命こそ大事、九条の教訓を今こそ

 東日本を未曾有の地震と津波が襲い、加えて原発事故の災害はどこまで進むのか、誰もが危惧しています。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 今度の震災の被害額は阪神淡路大震災の約2倍の19兆円に達するだろうと世界銀行は予測を発表しました。それには原発事故の被害は含まれていません。すでに、放射能に汚染された農産物・畜産物の出荷が停止され、農業に与える被害は甚大なものになろうとしています。海水汚染の広がりは魚類が大きなタンパク源の日本の食生活にも大きな問題を引き起こします。

 菅首相は自民党谷垣総裁との会談で、臨時増税を提案したと報道されています。阪神淡路大震災では3回の補正予算が編成され、復興のために総額4兆円が計上されました。今度は短期間のことではなく、長期にわたると思われるので、膨大な額を占める防衛体制を含めた国のあり方も問われるでしょう。

 世界の各国で原発の検討が始まっており、エネルギーの代替も問題になってきています。

 日本では、第2次世界大戦の悲惨な体験の中から、平和と命が大事、再び戦争をくり返してはならない、という教訓を憲法九条に凝縮し、それは、国民の共感となって戦後復興の大きな力となりました。その日本が今度の震災復興の中で、軍事予算を大幅に縮減して復興予算とし、軍備や戦争ではなく、国民生活の安全と安定こそ最も大切な国のあり方であり、それは世界の平和の中でしか出来ないのだと提起することが、求められている道と考えます。

 他国を侵略し、原爆の被災国ともなったその日本が、九条を作り守ってきた教訓を生かし、地球環境のあり方にまで思いを至らせ、復興の歩みを始める、それこそ21世紀の世界を生きる道への手がかりとなるものと思います。

 復興に向けて、歴史的教訓を大きく生かす大事な時を迎えて、九条の会の奮闘が求められています。
(編集長 鴨川孝司)




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BOOK REVIEU

新しい「基地問題資料集」

 池田義明氏(元県議)が、このほど、基地問題資料集「市のど真ん中の米軍基地」を自費出版した。B5版120頁の本に、著者の所沢米軍通信基地返還運動の歴史が凝縮されている。

 本文は3章からなり、1章は全面返還へ向けての所沢市議会、国会、所沢市の取り組みや政府への要望書や入間航空祭、朝霞駐屯地観閲式訓練への申し入れを掲載。

 2章は、日本政府は沖縄の声を聞けと、沖縄県民大会をはじめ、普天間、辺野古に対する全国自治体の意見書、決議を紹介している。

 3章では、オバマ米大統領への抗議文や広島、長崎の平和記念式での平和宣言や国連事務総長の発言全文も掲載。

 「私の発言欄」には、当会会員であった故増岡敏和さんへの追悼の言葉や当会機関紙原稿の転載もある。

 著者は、政府が東西連絡道路用地の返還に伴い、基地内4施設の移転費負担額、6億6千万円を地元自治体に求めることは、これまでの政府見解と異なり、おかしいと指摘している。

 基地対策協議会の審議や所沢市議会の一般質問では、政府は米軍の軍事施設の移転費を自治体が負担することはないと答弁しているのに、なぜ、所沢市は負担するのか。所沢市が一部負担することで基地の恒久化に繋がる。戦前、国が市民の畠を没収し、戦争を仕掛けて米軍に土地を取られ、いまさら市が負担するのは、市民が納得しない。などの発言を紹介している。

 返還運動の歴史、全国の基地問題を学習するには必須の一冊だ。残念ながら市販はされていないので、入手希望者は筆者にご相談下さい。




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短 信

◆計画停電は長期化の様相

 大津波により、福島県と茨城県にある東電の大規模火力発電所2カ所が復旧の見通しが立たないほど壊れていることが分かった。

 東電管内の電力需要は夏が6000万キロワット。現在の供給量は3500万キロワット前後がやっとだ。年内いっばいは計画停電が続くという。

◆米原子力空母が出港

 米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が21日午後、急に出港したことについて、米第7艦隊司令部は「艦に与えられた能力の予防措置と今回の災害の複雑な性質」とし、原発の放射能漏れ事故から艦体と乗組員を防護する措置であることを間接的に認めた。




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紹 介

●ピースランナーの馬籠正雄さんが今年も走ります

 1995年から原爆投下された日や終戦記念日に「北海道の宗谷岬から沖縄県の平和の礎」まで、「核兵器廃絶・平和憲法を守ろう」と走りながら訴えてきました。

 今年も距離は一番短いが、歴史豊かな「善光寺街道」を膝を痛めたため、徒歩で歩き抜きます。数キロでも、ご一緒に歩ける方を紹介して下さい。

 日程は以下の通り。
 5月10日 信濃追分町〜小諸市 16.7キロ
   11日 小諸市〜上田市   21.6キロ
   12日 上田市〜千曲市   21.8キロ
   13日 干曲市〜善光寺   19.4キロ
 連絡先:04−2948−8171 馬籠正雄

●所沢・うたごえ喫茶 LOVE &PEACE

と き:4月4日(月)午後2時から4時半
ところ:所沢パークホテル
かいひ:1500円(フリードリンク、クッキー、歌集付き)
伴奏 アコーディオン、新井幸子、ギター、原島康義
問い合わせ 04−2993−6861 大関俊雄

●消費者団体連絡会 総会と記念講演

総会:4月26日(火)午後1時30分〜2時
記念講演「TPPと私たちのいのちとくらし」 講師 滝澤昭義氏(元明治大学教授・農学博士・NPO法人食農研センター理事長)
入場無料、申込順
問い合わせ 04−2928ー1233 所沢市消費者団体連絡会

●バーヴェル・ネルセシアン ピアノリサイタル

日本ユーラシア協会企画
日 時:5月13日(金)午後7時
場 所:センターミューズ・キューブホール
入場料:一般2700円、学生/シニア2200円
問い合わせ 04−2939−7630 坪井




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