機関紙63号 (2011年2月18日発行)new!



もくじ

小泉路線に先祖返り、なんのための政権交代
   この人に聞く
    自由法曹団団長 菊池 紘氏
9条連絡会が新年交流集会を開く
   前田哲男さんの講演要旨
第二次菅内閣の目指すもの
   TPP・増税シフトと闘おう
    丸山重威(関東学院大学教授)
「九条の会」呼びかけ人・奥平康弘さんのこと
    間島 弘(世話人)
高江ヘリパッド基地建設強行に抗議と連帯の声明
鈴木彰の「増税へ切られの与謝が見得を切る」
第3回中国東北うたごえの旅2
   うたごえは心と心を結ぶ
   日本が侵略した傷跡も見学
    中山喜一郎(国分寺在住)
ある九条の会のシンポに参加した大学生の感想
「九条を生かす」
   ●エジプト独裁政権崩壊に思う
   ●なぜ、いま、ヘリパッド建設強行なのか
    編集長 鴨川孝司
「歌を作りませんか」
短 信
   ◆航空発祥記念事業で申し入れ
   ◆憲法9条は防衛協力の障害
   ◆地域の九条の会
BOOK REVIEW
   ●「日本国憲法の旅」
   ●「現代詩、されど詩の心を」




小泉路線に先祖返り、なんのための政権交代



この人に聞く 自由法曹団団長 菊池紘氏

 政権交代から約−年半。よくみれば菅政権は、外交・経済・安全保障まで、構造改革を強引に推し進め、国民に塗炭の苦しみを与えた小泉路線と大差ない。いや、自公政権より右のシフトだ。米国に追従し専守防衛方針を転換させ、TPP、法人税減税と消費税増税を抱き合わせで国民を恫喝する菅政権を国民は冷めた眼で見ている。今の情勢をどう見ているのか、自由法曹団団長・菊池  紘氏(弁護士)に聞いた。(聞き手・鴨川孝司)

Q 今の情勢をどう見ていますか。

 九条の会を作る前から、自由法曹団は改憲に反対してきた。暮らしと命を守る運動と結合させることを議論してきた。九条の会と共同センターの運動では、九条の会は改憲を阻止する世論を大きく広げた。マスコミの世論調査でも、間違いなく世論が変わって、九条そのものの改悪には絶対反対が多数になり、大きな役割を果たした。他方、ここ数年、構造改革に反対する運動も広がってきた。派遣法が出来る時から、一貫して反対してきた。大量解雇、偽装請負と貧困に対する怒りが大きくなり、派遣村を転機に運動は政権交代に波及した。これは、大きなことだった。

九条の危機は自民・民主の改憲合意だった

 前団長の松井繁明さんは、今年古稀で自由法曹団が表彰したが、松井さんは、その席上で二つの話をした。一つは相模湾に米軍が上陸したときは「生きてゆけない、一緒に死のう」と母親が語ったことと、もう一つは「安倍首相が戦後レジームからの脱却を言い出し、改憲を宣言し、07年1月から手続き法が成立する5月までが、最大の危機だったと一般に言われているが、松井さんは、本当の危機はその前の06年12月頃に、自民党の中山太郎氏と民主党の枝野幸男氏の間で改憲の道筋がほぼ合意が出来たことだ。あとはこの合意で進めば、九条は変えられてしまった」ということ。この合意をぶち壊したのが安倍首相だが、06年から07年に大きな危機があったと松井さんは指摘した。

 参院選で自民党が惨敗して民主党はそれまでの構造改革から生活第一に転換して政治の流れを変えたが、その流れの上で一昨年の総選挙で歴史的な政権交代に繋がった。改憲阻止、九条をまもる運動が広がって、それと同時に構造改革路線に対する強い怒りが政権を変えた。現在は改憲は相手の強い要望だが、すぐにできる環境ではない。

 鳩山内閣は面白い政権だった。一定の枠内ではあるが、構造改革に反対し、自公とは違う政策を打ち出して、子ども手当だとか高校授業料の無償化、農家の個別補償化をやったり、やろうとした。自公とはまったく違った方向だった。九条の問題でもインド洋海域の自衛隊の給油の延長を止めた。密約も公表した。不十分かも知れないが自公政権では無かったことだ。東アジアの共同体も打ち出した。普天間も最低でも国外と言い切った。それなりに頑張った。

構造改革路線の延長 増税と議員削減が象徴

 菅政権というのは、もろに構造改革に戻るというその路線は、自民党と違いはない。法人税の引き下げ、消費税の引き上げ、議員定数の削減などは同じだ。新安保防衛懇報告では国連決議がなくても自衛隊を派遣するという。これまで民主党は自民党と違い国連決議を主張してきたが、そこが大きく違ってきた。自民党さえ出来なかった武器輸出三原則の見直しまで俎上にのぼった。そういう政権だと見なくてはならない。

 また、自治体の責任で構造改革を進めようとする、地方分権あるいは地域主権の流れは、なんとしても阻止したい課題である。医療をやめるか、教育を削るか、福祉をやめるか選ぶしかないという。労働基準行政も国から離す、国の規制を外して自治体に移す動きもある。自治体は教育、医療で住民と結びついているから、ナショナルミニマムの切り捨てには抵抗があるだろう。地域主権の方向に反対する可能性もあるし、どっちを選ぶのかが問われている。今度の一斉地方選挙でも、都政をどうするのか、大阪の橋下知事や名古屋の河村市長の施策が問われ、住民の声を大事にする行政と構造改革に抵抗する自治体をどう作るかである。

Q 自由法曹団はどんな運動を進めるのですか

 九条の会、その他の運動に独自に関わって行きます。防衛大綱にも検討を始めて意見書をまとめる。安保、平和に関わることを運動、理論でも最大限進めていく。構造改革から出てくる権利侵害に対しても裁判や運動で覆していきたい。

 当面では、一斉地方選挙で問われる地域主権に抗する研究会をやったり意見交換をしている。今年も引き続き沖縄の問題に力を入れたい。

 昨年1月の常任委員会も那覇市で行い、名護市の集会にも参加した。その一週間後の選挙で稲嶺さんが歴史的な勝利をした。4月25日の9万人県民集会にも参加して、沖縄と強い連帯が生まれた。これからも、沖縄への支援を強めたい。

 いま問題にしているのは、議員定数削減だ。これは鳩山氏を含めて、民主党は一貫して主張している。比例を80削減する、と民主、自民で92%の議席を占めてしまう。みんなの党、公明、共産、社民で8%にしかならない。九条を絶対護ると共産、社民に寄せられた600万票がほとんど議席に結びつかない。これでは投票行動が、民主、自民、棄権の三つしかなくなる。世論では九条を「まもる」が多数派でも、議席はなくなってしまう。この問題を引き続き全国で展開したい。

 派遣法の改正や有期不安定雇用の問題を大きなものにして、格差解消にも力を入れたい。この問題をきちっと闘っていって5年、10年単位で必ず前進できるようにしたい。日本航空の解雇撤回は重要な課題だ。

Q 菅首相の右旋回には国民は驚いていますが

 自民党政権でも手を付けなかった、武器三原則の見直しなど含めて、やってきていることの根が深い。問題はマスコミにもある。大新聞の正月の社説を読んでも、一昔前なら読売・産経に対しては、朝日、毎日の主張があったものだが、権力を監視するのが、ジャーナリズムなのに、その存在意義が問われている。60年の七社共同宣言と同じだとの指摘もされている。



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9条連絡会が新年交流集会を開く

 1月23日(日)、市内10の九条の会で構成する、所沢9条の会連絡会の3回目の新年交流集会がこぶしプラザで、各会から70名の参加を得て開かれました。司会の間島弘さんが「前田哲男さんのお話を聞いて今年の情勢を認識していきましょう」と呼びかけた。

 連絡会の浜林正夫代表が「防衛大綱の動きに大きな関心をもっています。今日は皆さんの活動も交流し、有意義な交流集会にしましょう」と挨拶しました。続いて、前田哲男氏(写真)が「日本の進路をめぐって新防衛大綱の示すもの」と題して、一時間半の講演を行いました。

 西武地域の九条の会の運動の発展を象徴し、仏子9条の会からも参加。豊漁のぶりの刺身を肴に大いに交流を深めました。

前田哲男さんの講演要旨

 防衛大綱が決定されたとき、その直前までピースボートに乗ってーカ月以上日本を離れていました。アラビア海を通るときに、ソマリア海峡を自衛艦にエスコートされました。自衛隊が日本から1万キロも離れた洋上で軍事活動をしている現場を見るという、ジャーナリストにとっては得難い体験をしました。

 「新防衛計画大綱」と呼ばれる自衛隊運用の長期方針が、12月7日に閣議決定しました。最初の大綱は1976年、三木内閣の時です。それから3度目の改定。4度目の大綱となります。それまでは自衛隊は長期方針を持っていなかったのです。  防衛計画大綱は、その成り立ちの際に、憲法9条2項に違反することから、専守防衛をうたいました。その始まりを持つ防衛大綱が、今度、基盤的防衛力によらないものとすると明記され、以後は動的防衛力によるのだと書かれています。

 動的防衛力に転換したからには、相手、目的、脅威なるものが存在するはずです。新安保懇談会報告は、はっきりと、中国脅威論について述べており、政府文章のいくつかに読み取れます。具体的には南西諸島重視という方向です。それは各自衛隊の状況方針として、くり返し討論されより細かく南西諸島防衛の各自衛隊の役割、中心配置が決められています。

 総額23兆4900億円。年間6兆円。ということは、これから先5年間、ずっと維持継続することになります。閣議決定されたわけですから、先取りしたということです。

 新大綱のシームレスな継ぎ目の無い、即座に対応する構想。これは今までの水際防衛・専守防衛と相反する構想で、米軍再編による日米の共通戦略目標の確立です。

 それで、問わなければならないのは政権交代はなんであったのかということです。
(鴨川)



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第二次菅内閣の目指すもの

TPP・増税シフトと闘おう

丸山重威(関東学院大学教授)

 「税・TPPシフト鮮明」一与謝野馨経財相、海江田万里経産相、枝野幸男官房長官、藤井裕久副長官らを起用、菅直人・第二次改造内閣が発足のときの東京新聞の見出しだ。 昨年秋、菅首相が突然表明したTPP(環太平洋連携協定)の推進と、消費税増税を推進する意図を明確にした布陣だ。そもそもTPPとは何か、なぜ消費税増税か。「環太平洋連携協定」と言えば、いかにも良さそうだが、昨年10月、菅首相がいきなり提起。これまでFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)など、自由貿易の2国間協定を多国間に拡大するもの。工業品、農業品など例外なしの関税ゼロのほか、サービス、人の移動、基準認証などの障碍をなくす。実質的に「関税自主権」の放棄だ。

 いま予定される形で日本が加盟すれば、事実上、最も米国に有利な「日・米FTA」になり、「ASEAN+3」で重きをなす中国への対抗と、日本の市場を狙う米国企業が全面的に日本に入ってくることになる。自給率は13〜14%に落ち込むというのは農水省の試算だが、食品、医薬品から金融、電気通信に至るまで、さまざまに規制が緩和され、自治体工事や、介護や医療まで外国企業の参入が可能になりかねない。

 消費税もそうだ。消費税が所得税などと違い、貧富に拘わらず均等に負担させられる逆進性が強いことは知られている。それなら、財政破綻を解決するのに、果たしてこれでいいのか、どの税金をどうすればいいかは、もっと広く議論しなければならないはずだ。だが、菅内閣は一方で法人税を減税し、一方でこの所得税増税を打ち出している。

 安保・外交問題でも、普天間問題の解決どころか、「思いやり予算」の恒常化、新防衛大綱での「動的防衛力」、日米韓共同体制の推進など、対米追随路線を強めるばかりだ。 そして問題なのは、この政策に、「TPP意見書 地方の声を受け止めよ」(1月28日)などとする北海道新聞や、「菅再改造内閣が発足 増税シフトなら許さぬ」(1月15日)とした東京新聞を除き、中央紙を中心にメディアが揃って、「推進」に回っていることだ。

 2009年8月選挙で民主党に集まった期待。それは、格差を是認し、市場と競争を至上とする「新自由主義・構造改革」路線と米国追従の外交安保路線の転換を求めてのことだった。期待は裏切られている。われわれはそれでも、みんなと語らい、政治を変えるために発言し、行動していくしかない。統一地方選も、それをチャンスとするほかはない。(元共同通信、ジャーナリスト会議会員)




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「九条の会」呼びかけ人・奥平康弘さんのこと

間島 弘(世話人)

 「九条の会」呼びかけ人のうち、所沢で井上ひさしさん(2007年11月)、澤地久枝さん(2010年4月)の講演会を開くことができました。また埼玉講演会では加藤周一さん、大江健三郎さんの講演も聞くことができました(2005年5月)。

 何度か講演会の講師の候補にあがりながら、奥平康弘さんの話を直接聞く機会がありませんでした。ぜひ、機会があればお話しをうがってみたいものだと思いながら、私の奥平先生とのことを記します。

 出会いは「言論・表現の自由」をめぐって、18年も前にさかのぼります。昨年も、東京都議会で「出版物の性表現」をめぐって問題になりましたが、ほぼ18年前も同じ問題「有害コミックの規制」について、全国の自治体で大問題になりました。

 当時の「マスコミ共闘」は、労働線戦の違いを超えて、新聞、放送(NHKが組織する日放労と民放労連)、出版などの内容にかかわる問題について定期的に「マスコミ専門家会議」を開いていました(各単産の担当者に加えジャーナリズムの専門家が参加)。80年代は稲葉三千男東大教授が座長をされていましたが、その当時は、新井直之創価大教授が座長でした。私は出版労連の「出版の自由委員会」の責任者として、「有害コミック問題」について、経過および問題点を報告しました。その席で奥平先生と初めて同席しました。

 経過を聞かれた奥平先生は、「出版する側も節度を持たなくてはならないが、言論・出版・表現の自由を規制するというのはとんでもないこと」と発言されました。その後も何度かその会議でご一緒しましたがそのまま時が経過してしまいました。

 そして「九条の会アピール」(2004年6月10日)に名前をつらねられ、「九条一項は軍事力を保持しないという二項があって初めて憲法上、宣言する関係にあります。二項を欠いた、一項はもぬけの殻です」と発言されています。

 今、先生は「言論・表現の自由」をめぐって最高裁で争われている国家公務員のビラ弾圧事件(堀越事件 昨年三月、東京高裁で勝訴、国側が上告。世田谷国公法ビラ弾圧事件は昨年5月、東京高裁で敗訴、被告側が上告。いずれも最高裁の第三小法廷に係属されています)は、「言論・表現の自由にかかわる憲法問題」として、統一して大法廷で審議すべきであると、昨年結成された共闘会議の代表委員として活躍されています。




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高江ヘリパッド基地建設強行に抗議と連帯の声明

 「会」は1月27日の世話人会で、沖縄防衛局への抗議と、毅然と反対する住民への連帯を表明することを決めた。沖縄県東村高江区の米軍ヘリパッド建設に反対する住民らを、国が通行妨害で訴えた裁判の口頭弁論が、1月26日、那覇地裁で行われている最中に、国は高江区での工事を強行した。

 当日の世話人会では、住民が強く抗議しているとの報道を受け、沖縄の闘いは、「会」としてこれまでも支援してきた経過があり、菅内閣が強引に出てきたいま、それを許さないという、意思表示を早急に出すことが重要との認識で抗議と連帯を、次の通り表明した。

 「ヘリパッドはいらない」住民の会様

 「私たちは埼玉県所沢市にある『マスコミ・文化九条の会所沢』です。防衛局の工事の強行の報に接し、これは許せないと、会の世話人会で論議し、沖縄防衛局に『占領下に銃剣とブルドーザーで土地を奪った米軍のような不法は断じて許さない。防衛局は沖縄県東村高江でのヘリパッド工事の強行を即時中止せよ。県民の意思を尊重せよ』との抗議の文書を沖縄防衛局に送付しました。
 今後も連帯した闘いを続けたいと、所沢で「高江のヘリパッドの基地反対の闘いと連帯する所沢の会」(仮称)を立ち上げて闘おうと考えています。一緒に頑張る決意を表明して、連帯の挨拶とします」

 菅内閣はその後も、住民の抗議を無視し、基地建設強行の行動をくり返しています。




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鈴木彰の「増税へ切られの与謝が見得を切る」




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第3回中国東北うたごえの旅2

うたごえは心と心を結ぶ
日本が侵略した傷跡も見学

中山喜一郎(国分寺在住)

 9月22日に、1904年の日露戦争の激戦地の舞台となった旅順の203高地戦跡の見学をした。ここは、私がこの世に誕生する前の中国東北部(満州)の植民地争奪の戦争地だった。いきなり106年タイムスリップしたことになる。当時は、日本軍国主義が急成長を遂げた時代。たしか、小学校の教科書では日露戦争は、「日本が生き抜くための、生命線を守る正義の戦争だった」と教えられたような記憶がある。

平和の尊さを再認識

 ロシアが、満州全体をその支配下に置き、旅順港を要塞化したことに対し、中国の植民地化を狙っていた日本が、宣戦布告した戦争であった。水師営にはステッセル将軍が乃木将軍に降伏した会談場所も保存されてあった。203高地に登り、この戦争の帰趨を決したという旅順港を俯瞰すると、戦略拠点であることが実感できた。この203高地の争奪を巡る戦闘で、両軍ともそれぞれ1万5千人の死傷者を出したという。戦場は屍が大地を蔽う大激戦だったという事実を写真で見た。

 203高地を制した日本軍は、旅順港要塞を手に収め、その勢いに乗り、つづく日本海海戦でバルチック艦隊を全滅させ、日本を大勝利に導いたという。帰国して戦争と国民の暮らしの関係を調べてみると、日本は日露戦争に大勝利したが、台所は厳しかった。戦費は(4億5千万円の予算が18億円に上り4倍化したという)当時の政府の財政収入が年1億5千万円であったという。その膨大な戦費の付けは重税に跳ね返り、国民は疲弊し「おしん」のドラマが語った時代になった。他方、軍事産業は大儲けをし、大資本家たちは肥え太った。

 今また戦争を知らない世代に、日露戦争を美化する危険な傾向が支配層によって仕組まれている。それは昨年来の「坂の上の雲」のテレビドラマに見られる。私は三つの侵略戦争跡地を見学し、歴史の事実から学び、再び軍国主義を復活させないことと、平和の尊さを痛感した。

 私たちが訪問した時期に、尖閣列島の事件が発生したが、洛陽、鉄嶺では人民政府の対外友好協会の歓迎を受け、レセツプションでうたごえの交流と日中友好と平和を語り合った。

中国の発展と貧富の拡大

 私は、1962年中国へ1カ月の学習の旅をした経験があり、少なからず社会主義中国に親しみを持っている。わずか8日間の旅で中国を語ることは「群盲象を撫でる」に等しいが、敢えて昨今の目覚しい経済発展について街の様子から感じたことを述べてみたい。

 東北の果てしない大平原を新幹線(日本製)が突っ走る。各都市とも高層ビルが林立し、クレーンが空を突き、いまなお高層ビルの建設ラッシュ。大都市は、自動車があふれ交通大混雑。それを縫うように歩行者は平然と歩く。多発する交通事故。ハルピンでは毎日二割の出庫調整をしているそうだ。女性のファッションも超ミニだ。一人っ子政策で、子どもが大事にされ、小学校の下校時の校門前には子の迎車で道を塞いでいる風景も見た。街の中で、子どもの姿も多くない感じ。

 中国の改革・開放路線で市場経済を通じて社会主義建設への道は、大きく前進し、いまや世界第二位の経済大国へと成長しつつあるという。経済力の大幅な高まりで、国民の生活は著しく改善されているという実感がした。

 他方、富裕層が増えているという話も聞いた。貧富の差が拡大する矛盾を抱える社会主義中国の、一面の難しさにも大きな関心を寄せている。80歳11カ月の旅だった。




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ある九条の会のシンポに参加した大学生の感想

九条改正に賛成だったが

 私は初めてこういったシンポジウムに参加したのですが、皆様の憲法第九条に対する考え方や思いが伝わり、これまで九条改正に賛成派であった私は考え直す機会を得られ、とてもためになりました。

 賛成派だった私ですが、シンポジウム参加後、何度か学校の社会の授業を視聴し、度々写る戦争の被害に遭った人々や、無残な遺体の数々に私はショックでした。戦争は悲惨であり、結果、戦勝国と敗戦国互いに被害が及び、多くの命を失ってしまいます。戦争という悲しみはけっしてあってはなりません。日本がこの憲法第九条を改正したとすれば、自衛隊から自衛軍になってしまい、他国同様、事実上の軍隊を持つことになり、戦争・紛争地域に行く可能性も考えられます。それでは戦後、平和主義を唱えている日本国はダメになってしまうと思います。

 私は元々、軍隊や武器、兵器、軍事関係などに興味を持ち、色々と調べたり、戦争ゲームも多くやりました。あくまで、ゲーム上の架空世界で戦闘行為をしていましたが、正直な感想としては、敵を殺してやりたいという憎しみしかありませんでした。私は現実世界で戦争を体験していないがために、いかに相手側の人々のことも考えず、理不尽な考え方をしていたのだろうと思います。戦争の真の恐ろしさをしらないくせに改正しろと思っていた私は愚かだと思いました。

 今では、戦争はもちろん、紛争や内戦、テロなどが原因で起こる飢餓や貧困、難民などに苦しむ人々の力になりたいと思います。大学では国際関係論を中心に学びますが、実際に海外に行く機会も多いので、ボランティア活動などに積極的に参加したいと思います。今回このシンポジウムに参加し、よい刺激をもらい、今までの右翼的な考え方は変わり、ある意味「改正」できたのではないかと思います。また機会があれば、ぜひ参加してみたいと思います。皆様本当にありがとうございました。(国際関係を学ぶ大学生)




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「九条を生かす」

編集長 鴨川孝司

●エジプト独裁政権崩壊に思う

 ムバラク大統領はついに民衆の辞任要求を受け入れ、辞任しました。国政を中東における平和維持のためと見せて、秘密警察国家として民衆を抑圧してきたが、アメリカとの緊密な関係の維持と権力者の富の蓄積の為であったことが白日の下にさらされてきています。中東の周辺国家の現状にも、同じような実態があることを民衆のデモは示しています。

 アメリカの偽りの大量破壊兵器によるイラクのフセインつぶしやソマリア海賊問題など、中東は世界の火薬庫と呼ばれたパレスチナとイスラエルを包む、世界にとって大きな問題を抱える地域です。そこでの中心的役割を果たしてきたエジプトの今後の民主的発展如何は、世界平和にとっての重大関心事となるものです。

 この先、エジプト民主化は発展するであろうし、世界の平和がまた一歩確かなものになり、それは憲法9条に言う「武力によらない」平和の世界につながるものと思います。

●なぜ、いま、ヘリパッド建設強行なのか

 翻って日本の、沖縄の現状に心が痛みます。1月26日、高江ヘリパッド基地建設強行問題の裁判が開かれているさなか、沖縄防衛局が住民の留守を狙って、資材持ち込みをはかり、その後も基地建設が強行されようとしていることが報じらています。28日、沖縄防衛局が普天間基地の辺野古移設に向けた「陸域動物・海域生物の現況調査」を名護市が許可しなかったことに対し、その取り消しを求めて不服審査を申し立てました。

 辺野古の浜では、浜を分断して仮設の鉄板フェンスが壁を造り、波打ち際近くから海中にかけて大型の土嚢が並べられました。菅内閣になって、日米同盟の深化をうたい文句に、沖縄の民意を踏みにじる基地拡大の押しつけを、また始めているあらわれです。

 一方、嘉手納基地周辺の住民2万2千人が早朝夜間の飛行差し止め騒音被害に対する損害賠償を求めて裁判を起こしています。すでに1次、2次裁判で国は損害支払いの判決が出されており、3次の裁判です。

 普天間基地はアメリカが銃剣とブルドーザーで奪い取ったものですが、復帰後は日本政府が「密約」と金と分断政策で維持してきました。それが、先の沖縄知事選挙では県民の大多数の意思は「基地はいらない」というものであることを示しました。にもかかわらず、60年余に及ぶ基地の被害に、泣いて従う道を拒否した県民の意思を、またも踏みにじろうとしています。県民の意思を守れと共に立ち上がることが平和への道、九条の示す道ではないか。中東の民衆の声はそれを示しているのではないかと聞こえるのです。




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歌を作りませんか

 この会のホームページを開いたことがありますか?

 基地の街・埼玉県所沢から平和を願って!と書かれた赤字と、青字のゴシックで会の名称が掲げられています。このタイトルバックに短いメロディが奏でられます。左側のメニューの、合唱曲【夏草の中で】という青文字をクリックすると、そのメロディの全曲、混声合唱の歌声が流れてきます。先日久しぶりに聞いて、あ、歌っていいな、と思いました。

 最近、NHKやプロの世界でも、一般視聴者から募集した言葉をジグソウのようにはめ込んだ曲作りが人気を集めています。その手法で、この会でもみんなで歌を作れないものでしょうか。歌いやすくて美しい曲を。

 具体的にどのようにすればよいのか、実は何も分らないのですが、どなたか一緒に歌作りを試みてくださる方はいませんか?  ご連絡をお待ちします。
TEL・FAX 04−2998−7424鴨川まで。




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短 信

◆航空発祥記念事業で申し入れ

 所沢平和委員会(会長・石田道男)は、1月19日、所沢航空発祥100周年記念事業実行委員会に対して次のような質問と要望を出した。
1.基地返還・平和利用を求める趣旨の行事を行ってほしい。
2.復元滑走路の場所を明示せよ。
3.体験イベントに使用するヘリ会社を明らかにせよ。
4.ブルーインパルスの飛行中止。
4項目を提出した。

◆憲法9条は防衛協力の障害

日米同盟で米議会報告
 米議会付属の議会調査局が今年1月にまとめた日米同盟に関する最新報告で、戦争放棄をうたった憲法9条に基づき、集団的自衛権は行使できないとする日本政府の解釈が、日米の防衛協定を進める上で障害になっていることをあらためて強調した。
 報告書は北朝鮮のミサイル発射などの可能性を念頭に、米国が攻撃を受ける局面でも日本は何の対応もできないと懸念を示した。(埼玉新聞など)

◆地域の九条の会

比例定数削減の危険な狙い
 松井九条の会が、弁護士の坂本 修氏(元自由法曹団団長)を招いて、憲法学習会を開きます。
日 時:2月27日(日)午後1時半開場、2時開会
場 所:松井公民館1F和室
主 催:「松井九条の会」連絡先04−2992−8776




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BOOK REVIEW

●「日本国憲法の旅」

 小誌にも寄稿された、元朝日新聞編集委員(現専修大教員)の藤森研さんが、「日本国憲法の旅(花伝社・1800円十税)」をこのほど上梓した。

 著者は35年に及ぶ社会部記者生活で、いつもどこかで気になっていたのは、日本国憲法だったという。憲法九条を考えることは、人はなぜ戦争をしたり集団的抹殺をするのか。どうしたらそんな人間の「さが」を克服できるのか。非武装など可能なのか。その探求が自身の考えを少しずつ深めたといい、35年の記者生活は憲法の現場の旅だったと言う。

 第一章で晶子とトルストイを引き合いに、日本国憲法九条の源流から書き下ろし、終章は「沖縄で考える」で終える。最後の一節を少し紹介する。「私が慰霊碑(平和の礎)に行ったとき、ちょうどオーストラリアから来たという数人の男女が、人気のないこの追悼施設を訪れ、長い時間たたずんでいた。敵味方ではなく、戦争で死んだ若者を国籍にかかわらず悼む。それは晶子やトルストイ(第一章)、さらに「戦争自体が悪だ」とする考えが、日本国憲法に通じる思想」と結んでいる。現代メディアに関心のある方に是非、お薦めしたい。(K)

●「現代詩、されど詩の心を」

 詩人で埼玉文芸家集団副代表の中原道夫さん(中新井在住・会員)が、紙誌などに書いた評論やエッセイをまとめたもの38編を収めた「現代詩、されど詩の心を(土曜美術仕出版販売・定価2940円)」を刊行した。

 著書の中で中原さんは難解な言葉を使う現代詩を「感動のない言葉の遊戯、暗楡の羅列、観念の冗舌」と批判したうえで、「詩は読み手があって完成するもの」と言葉鋭く主張している。3冊目(詩集は12冊)の詩論集だ。老いても意気軒昂な中原さんにエ一ルを贈りたい。(K)




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