機関紙60号 (2010年11月9日発行)



もくじ

前所沢市長、斎藤博氏に聞く
   米軍通信基地返還と所沢の未来
「米軍基地はいらない」沖縄ツアー報告1
「時代は変わった」 九条が生き生きと動き出す展望が見える
    松本善明(元衆議院議員・御幸町在住)
鈴木彰の「秋風センゴク武者が武者ぶるい」
「9条の会やまぐち」が米軍所沢通信基地をテーマに10月例会開く
「もう米軍基地はいらない」
   沖縄知事選で問われる日米同盟の有用性
    北村 肇(週刊金曜日代表)
米、未臨界核実験で所沢市が抗議文
BOOK REVIEW 「カール・マルクス 人聞的解放をめざして」
BOOK REVIEW 「日本の現場−地方紙で読む」
鈴木太郎さんが新詩集
   沸々と湧きあがる感情の綴り
「九条を生かす」
  ●軍事力では平和は守れないことを学ぶ地が沖縄
  ●県民を分断し、欺く民主党の沖縄政策
短 信
  ◆「いま考える暮らしと平和』in所沢
  ◆輝け!日本国憲法のつどい
  ◆所沢雑学大学 11月の講座案内




前所沢市長、斎藤博氏に聞く

米軍通信基地返還と所沢の未来

 全国的な意義を持つ、沖縄県知事選の投開票が28日に行われる。結果によっては日米関係を根底から揺るがすことになる。

 普天間基地を国内外にと公約した鳩山前首相は米国に赴き交渉したことはなかった。日米同盟を強化した菅首相に至っては論外である。沖縄で革新県政の奪還を目指すイハ予定候補は、宜野湾市長時代に普天間基地撤去のために三度も訪米している。米国に直談判した首長は、彼だけではなかった。所沢市の前市長・斉藤博氏もその一人。ペンタゴン(米国防省)に乗り込み、所沢米軍通信基地の全面返還を訴えた。斎藤博氏の自宅を訪ねて、基地返還申し入れの労苦と所沢市の未来の展望を聞いた。(聞き手 鴨川孝司)

ペンタゴンに乗り込み基地返還の直談判

Q:市長になられたとき、基地問題とどのように向かい合ったのですか。

斉藤:私は公務を一日も休まなかった。超人的でした。丈夫な体に生んでくれた親に感謝しています。失敗したのは、少しマメに出すぎたかもしれません。手抜きが出来ない性格なんです。

 県会の中でも基地問題を取り上げるのは、当時、共産党の池田議員は別ですが、保守系はいやがりました。私は「基地を返せ」の市民の立場で県会ではどんどんと取り上げました。市長になってもその延長でした。

 平成6年のミューズでの「基地返還の大集会」を成功しましたが、それは所沢市のど真ん中に「基地」が存在しますよと、所沢市に移ってこられた市民に知らせ、基地の存在が街造りの大きな障害になっていることを理解してもらい、認識を共通してもらおうとの意識で行いました。ただ、返せの広告塔だけではダメです。返還後はこういう跡地利用の計画を持っていますと市民にアピールすることです。

Q:アンケートで市民に聞きましたね。それまで大きな集会はありませんでした。本腰を入れてやろうということになったのですね。

斉藤:平成8年に米国に行きました。中村市議会議長らと返還の要望書を懐に、若干緊張しましたが、胸を張ってペンタゴンに入り、40分くらい基地返還を訴えました。私の性格で、何かアクションを起こさないと納得できないのです。あの時は、米国の姉妹都市・ディケイター市(イリノイ州)で40周年の式典があり、その足でとおもったのですが、さすがに米国は広い、移動するのに一日がかりになりました。結果はついてきませんでしたが、やった行動は自分で納得しています。

返還運動は地元にさせ、返ると国有地では…

Q:基地跡地利用の思いは。

斉藤:市民の思いと一緒です。市のど真ん中に米軍基地がある、この状況でいいのかは、今でも同じです。基地返還運動は地元に一生懸命させておいて返ってくると国有財産になり、利用するには金を払って買い取る。これが釈然としないところです。航空記念公園は無償貸与だが、道路は無償でも、整備は自治体が行います。水道、電気のインフラも自治体が行い、全部整ってからミューズも市役所の土地を国から買い取ることになります。国が先に作りなさいと言うから、そのように作ると整備され、今度は簿価が高くなる。その点、いまでも疑問に思っている。

Q:運動は市民が行い、返還後は国のものになる。

斉藤: 国有財産ですから、最初に防大や公務員宿舎、リハビリセンターが来ました。お国の土地にお国の施設だからいいのだが、県や市の施設の土地を買い上げになります。返還されると国の財産になってしまいます。  当時、一部には返還されたら俺たちに返せ(元の地権者)の声もありました。返還された土地に民間を入れなかったのが良かったと思っています。東電、NTT、公団住宅なども当時は民間ではなく、半官半民の企業でした。航空公園駅も請願駅なので市の負担で作りました。あの周辺はいい街並みになったと自負しています。

Q:返還の今後の見通しは、農業再生に膨大な跡地利用の声もあるようですが。

斉藤:従来通り、国、県、市で協議することになるでしょう。国際的なホールもメリットがあります。市の負担を極力避けて、市民に喜ばれる施設を目指すべきでしょう。

川越とは違った文化を 学生が滞留する街に

Q:蔵の街・川越とは違った所沢をどう造るかですね。

斉藤:私は高校は川越です。川越の人たちに言わせると、所沢はすごいと言います。ミューズもあるし、再開発も進んでいると言いますが、川越の歴史にはかないません。そこで川越と違う文化を育てなくてはなりません。

 こんないい街はありません。緑が多い、池袋、新宿にすぐ出られる、地の利が便利、それとほとんど災害が無い。

 これからは人の利をどう活用するかです。市役所の職員には、だからしっかりやれと言ってきました。人の利も大学も増え、早稲田の人たちも、たいへん協力的です。学生が街に滞留するような街造りが求められます。

 所沢には人材がたくさんいます。経済界をリードする人。学者の方々もおられます。人の利は十分です。どのようにご協力を頂けるかです。基地の功罪はあるが、基地があったからこそ乱開発からまぬがれた側面もあるのです。農地だったらとっくに消えていたでしょう。これからの展望をどう切り開くかです。

撤廃は党派を超えて知恵を出し合うとき

Q:来年は基地100年。返還30年です。一つのくぎりになります。市民の中に返還の運動を再構築したいものです。

斉藤:活力の源泉となる約97万平方メートルの土地が現実にあることです。基地がどんな役割を果たしているかは、さだかでありませんが、これほど科学が進んでいる現在、あれだけ広大な面積が必要なのか。山の上にアンテナ一本立てれば済むことではないのか。

 市民に運動が盛り上がってこないのは、市民に直接害がないからだ。そこが沖縄とは違うところでしょう。

 今思えば、こういう施設を造るから、これだけは絶対必要なのだと具体的な数字を迫った方がインパクトを与えられたかなと思っている。基地返還は市民の願いの広告塔だけでは進みません。

Q:基地がど真ん中にあったがために、市内は慢性の交通渋滞が起きています。

斉藤:基地の中に道路一本通せば、渋滞は解消され、経済効果は確実に上がります。基地撤廃は党派の問題ではありません。どのように展開させていくのか、知恵を出し合う時です。行政側もどうアクションを起こせばいいのか迷っていることと思います。いったいどう市民に呼びかけ、どう運動したらよいのか、そこの知恵の出し合いが大切です。

斎藤博前市長のプロフィール

昭和14年、所沢市上安松に生まれる。昭和32年、県立川越高校卒業。昭和36年、中央大学商学部卒業。昭和46年、所沢市議会議員(連続2期)。昭和54年、埼玉県議会議員(連続3期)。平成3年、所沢市市長就任(連続4期)。全国市長会副会長など歴任。現在は所沢市体育協会会長。



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「米軍基地はいらない」沖縄ツアー報告1

 基地ウオッチング・第3弾の沖縄ツアーでは、11月1日から4日まで、現地を訪れました。初日は日本でただ一つ地上戦が戦われた沖縄の激戦地めぐりです。ひめゆり平和祈念資料館では、ガイドが「さ一っと見るだけでなく、第4展示室では是非、戦争に引き込まれた15,6歳の少女達の写真と向き合って下さい。何を訴えているか、何を感じるか。得るものがあると思います」。224人のいたいけな少女達の写真が並び、一人一人の消息と人となりが書かれています。読み進んでいくうち、自決・自決・自決の文字が見え出しました。息を呑み、この少女達の思いが土台に、今日の日本があるのだと。

 アブチラガマ。アブとは深い洞穴、チラとは崖、ガマとは洞窟のこと。この深い洞穴が野戦病院となり、住民を巻き込み悲惨な歴史を刻む。ヘルメットを被り、懐中電灯を持って入っていくのだが、何度も電気を消し闇の中で当時の状況に思いをはせた。小さな水音が聞こえてくるのだが、死臭もないきれいな空気の中では、どれだけ当時に迫れただろうか。多くの悲劇をもたらした戦争、それがいま、再び愚かさをくり返す舞台となっていることを考えさせられるのでした。

 沖縄知事選に本土の思いを伝えようと集めた寄せ書きとカンパ12万円を、知事選を統一して闘う、やんばる統一連の人に渡しました。「今度の沖縄知事選は沖縄だけの問題ではない。平和を求める人たちの闘いと思っています。私たちも頑張ります。有り難うございます」といって受け取ってくれました。
(詳細は次号で報じます)



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「時代は変わった」 九条が生き生きと動き出す展望が見える

松本善明(元衆議院議員・御幸町在住)

 11月11日告示、28日投票で沖縄知事選挙が行われる。その結果如何では世界に激震が走る。

 普天間基地の移転地とされる名護の市議選挙、ご記憶があろうが基地反対の市長与党が圧勝した。琉球新報は「『辺野古ノー』固く 日米両政府に痛撃」と大見出しを掲げた。

 基地容認派を応援した仲井眞知事、名護市議選の開票直後に感想を聞かれたが「ノーコメント」。下地参議院議員も基地容認の立場で出馬を検討しているようだが、沖縄の世論はそう甘くないだろう。日本共産党、社民党、社大党に押された宜野湾市長伊波(イハ)洋一氏は普天間基地撤去を明確に主張している。名護の市議選挙でも基地反対の市長派を全力応援した。沖縄県民の普天間基地撤去の総意を代表する知事は伊波さん以外にないことは誰が見ても明らかだ。

 名護市長選挙、名護市議選挙の勝利に続いて伊波さんが知事選で勝利すれば、普天間に関する日米両政府の共同発表は完全に宙に浮く。痛撃どころではない。ちなみに沖縄の最近の世論調査では、安保条約、維持すべきだ7%、平和友好条約に改める廃棄合計68%という結果が出ている。

 話は変わるが、アメリカでは上院でも下院でも沖縄の基地撤去に理解ある有力意見が台頭しつつある。

 下院の有力議員フランク金融委員長は最近テレビ、ラジオで「海兵隊がいまだに沖縄にいる意味がよくわからない」「沖縄の海兵隊が今後、中国本土に上陸して何百万もの中国軍とたたかうことになるとは誰も思っていない」「沖縄に海兵隊は必要ない。海兵隊は65年前の戦争の遺物に過ぎない」と発言している。

 10年4月15日の上院外交委員会公聴会でパッカード米日財団理事長は「旧安保条約は戦勝国と非占領国の間で結ばれた。戦後65年10万人近い米軍、軍属家族の無期限駐留がカルフォルニア州より小さな国日本になされている。それは85ヶ所の基地にいるが、その75%は沖縄本島に駐留して、環境破壊、犯罪、事故、騒音を起こしている。さらに米軍駐留に関する地位協定は国会の承認を受けていない、これは治外法権とみなされる。コスト負担は年間43億で一部は思いやり予算といわれている」と証言した。ここでは委員会で、笑いが起こったようだ。そしてパッカード氏は「米国は韓国、ドイツ、フィリピンで駐留規模を縮小してきた。新しい世代の日本人が不満を募らせることは驚くべきことでも何でもない」と結んだ。

 「海兵隊は抑止力だ」などと全く時代遅れの発言をしている菅首相にフランク氏や、パッカード氏の爪の垢でも飲んで貰いたい。

 普天間問題を解決しなければ、これは沖縄の基地全体の問題に発展し、さらに進んで安保条約廃棄の問題に発展する可能性がある。文字通り憲法九条が生き生きと動き出す時代になる展望が生まれてきた。東南アジア平和協力機構のように東北アジア平和協力機構が生まれ、アジアと世界に洋々として平和の時代の展望が生まれてくる。時代は変わった。




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鈴木彰の「秋風センゴク武者が武者ぶるい」




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「9条の会やまぐち」が米軍所沢通信基地をテーマに10月例会開く

 「9条の会やまぐち」の10月例会は、「所沢米軍通信基地では何をしているの?」をテーマに16日午後、山口公民館で開かれた。

 どうして所沢市の真ん中に米軍基地があるのだろう。その歴史と現実をみんなで考えるとともに、戦後65年も経っても横田基地の管制下にある首都圏の空の問題も併せて考えた。

 はじめに、所沢市総合政策部基地対策室の渋谷俊男主幹、内野孝雄主査の二人から所沢基地対策協議会作成のパンフレットをもとに陸軍飛行場の戦前の歴史と戦後の米軍所沢兵站基地の経過と、その後、市民が一丸となって返還運動で三分の一程度は返還されたが、まだ、約97万平方メートル(西武ドーム25個分)の土地が返還されていないと説明した。

 基地では新座市にある大和田通信所で受けた電波を米軍の艦艇や飛行機に送る通信業務をしていると語られているが、詳しいことは軍事機密として説明は受けていない。最後に、米軍所沢基地は財務省管轄、番地は並木6丁目7番地、課税はされていませんと語り、当面基地の真ん中を貫通する「横断道路」の建設用地の返還が課題であると話した。

 次いで、今なお、米軍の管制下にある首都圏の伊豆半島、長野県から新潟県まで広がる3700メートルから7000メートルの高度を占める横田空域の問題について、本会世話人の葛西建治(山口在住・元東京新聞)さんが航空地図と立体図をもとに、民間機が通れない(管制の許可を受ければ可)膨大な横田空域の存在を説明した。

 戦後65年にもなっても所沢の空は米軍の管制下にあり、羽田の第4滑走路の運用が開始され、飛行回数が飛躍的に増えても、狭い羽田空域を横田、成田、百里空域に入らないよう、サーカスのような飛行が繰り返されている。

 この横田空域が日本に返還されると航空会社への経済波及効果は年間140億円と試算されている。なによりも日本の空を米軍から取り戻したいと語った。




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「もう米軍基地はいらない」

沖縄知事選で問われる日米同盟の有用性

北村 肇(週刊金曜日代表)

 今回の沖縄県知事選は、結果によっては日米関係を揺るがす重要な選挙と報じられる。確かに、米軍普天間基地の辺野古移転に絶対反対の姿勢を示す伊波洋一宜野湾市長が当選すれば、日本政府が従来計画の根本見直しを迫られるのは必至だ。そうなれば、日米同盟にヒビが入ることもありうる。しかし、現職の仲井真弘多知事も「県外移設」を公約に掲げている。額面通りには受け取れないが、県内移設容認を前面に出したら選挙に勝てないのが、いまの沖縄の現実だ。

 つまり、どう転んでも、沖縄県民の意志は「これ以上、米軍基地を押しつけられるのはごめんだ」であり、仮に仲井真氏が勝っても、おいそれと県内移設を推進するわけにはいかないだろう。

 当然、米国は日本政府に対し「約束を果たせ」と強硬に申し入れる。菅直人政権は立ち往生し、にっちもさっちもいかなくなる。そこで、何が起きるのか。恐らく、米国は「沖縄県外にしてやってもいいが、その見返りを寄こせ」と囁くだろう。政府は喜んで「何でもおっしゃってください」と頭を下げる。かくして日本のカネはますます米国に流れ、自衛隊は米軍の傭兵と化す。

 安全保障政策とは何かについて、外務省も防衛省もわかっていないのではないか。尖閣諸島問題のとき、日本が白旗をあげたきっかけは、フジタ社員を人質にとられたこととレアアースの禁輸だった。軍事的な威圧があったわけではない。「カネ(経済)」がポイントだったのだ。

 米国の安全保障にとって、最も重要な国は中国である。かつて対ソ連で浮沈空母になった日本は、今度は対中国で同様の役割を求められる。しかし、それは日本列島の要塞化ということだけではない。経済面でも日本は米国の盾になることを求められる。つまり、米軍基地を縮小する代わりに、中国との経済戦争に打ち勝つためのものを手に出来るのなら、米国はそれでもいいのだ。

 永田町、霞ヶ関だけではなく、中国の軍事的脅威ばかりを強調するマスコミも目が曇っている。沖縄県知事選は、単に米軍基地のありようではなく、日米同盟があらゆる意味で、日本の安全保障にとって有用なのかどうかが問われるのである。




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米、未臨界核実験で所沢市が抗議文

 所沢市は10月25日、米政府が9月15日に未臨界核実験を実施したことに、オバマ大統領あての抗議文を在日米大使館に送付した。

 抗議文は、オバマ大統領が「核兵器のない世界」を提唱しながら、核実験をしたことは「残念でならない」と強く批判した。市は「所沢市平和都市宣言」を制定し、各国の核実験に中止要請書を送付している。(朝日新聞)




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BOOK REVIEW 「カール・マルクス 人聞的解放をめざして」

浜林正夫著 学習の友社

 浜林正夫氏(一橋大学名誉教授・所沢9条の会連絡会代表)が、「カールマルクス 人間的解放をめざして」と題した本をこのほど学習の友社から上梓しました。

 そこでどんな思いからこの本を書かれたのか、浜林氏にお話しを伺いました。

 浜林氏は、「本には書かなかったが、資本論の第4分冊は理論書には珍しく当時のイギリスの労働者の状態が生々しく書かれている。労働者の状態の告発というのが土台にあって、具体的なものが基礎にあるから抽象的なものに進んでいく。人間疎外がどの様に進んでいるかを追究しているのです」と話され、「私が人間疎外を考える、その大本には日本の現状があるのです。『自己責任ということが問題になっていますがどう考えますか』という質問を受けたことがあります。今若い人はひとりぼっちだという。仲間全体で考える事になれば自己責任は全体の問題になる。人間関係を取り戻す事、これが大事ではないかと答えました」

 私はその話を聞いて、今日の日本社会が人間疎外を激しくしている、それとどう立ち向かうかを追究していることを強く感じさせられました。

 さらに、「この本を書こうとした動機はソ連が崩壊したのは生産手段は社会化したが民主的方法はなかった。あれは社会主義ではなかった言う場合、いままでの理由だけでは社会主義の崩壊を説明は出来ないという思いでした。生産手段の社会化にプラスなにがあるのか、それは簡単に言うと民主主義ということです。マルクスは民主主義を労働者が普通選挙権を獲得すれば世の中変わると楽観的に考えていました。ところが、実際問題として普通選挙権を獲得してもかなえられないからプラス何が必要かということを考えました。マルクスは政治的解放と人間的解放という言葉を使っています。人間的解放と言うことについてあまり研究されずに、生産手段の社会化と言うことだけでやってきた。しかしそれだけでは、ソ違の崩壊は解明できないのです。

 もう一つの側面は、経済的解放と精神的解放の二つがあるのではないかと考えて、精神的解放は疎外の克服だと考え、だから、疎外論をあえて出発点においたのです。マルクスの言葉を借りると『類的疎外』、つまり他の仲間とばらばらになっているのをどうやって克服するかということです。

 ばらばらになっている人と人の関係を取り戻す事は、資本主義のなかでは意識的に追究しなければ、生産手段が社会化されてもうまくいかないだろう」と話しています。

 「勉強会をやると言うのであれば『マルクスの立場で現代社会をどう見るか』ということなら、少しは関心を呼ぶかなと思います」と語りました。

 話は尽きなかったのです。みなさんに「カール・マルクス 人間的解放をめざして」を手に取っていただきたい、その気持ちを強くしました。(鴨川孝司)

学習の友社 1400円(税込)




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BOOK REVIEW 「日本の現場−地方紙で読む」

高田昌幸、清水真 編(旬報社)

 「地方の記者が追い続けた現実、ここにこそ日本の真実がある」と、北海道から沖縄まで、地方紙30紙のさまざまなテーマの優れた連載・企画記事などを一冊にまとめ、「地方発」の記事が映し出す「現場」を読めるようにしたのが本書である。

 600ページを超える分厚い本に、一昨年末から昨年11月まで約1年に「県紙」「ブロック紙」に掲載された記事から、二人の編者らが地道に読み込んで選択した記事がギュッと詰まっている。どの記事からも、東京中心の「中央目線」ではなく、地域に根ざして取材する各地の記者の姿が見えてくる。

 どんなニュースもインターネットで気軽に読めるとされる情報社会で、実はこんなに優れた地方の記事が「発行圏域」だけでしか読まれていない日本のジャーナリズムの「現場」を、なんとかしなければという編者らの危機感から、初の試みとして本書は結実した。

 北海道新聞記者の高田氏は序文で、東京での取材体験からこう振り返る。「あの違和感の正体は『中央の目線だけで物事を考え、決めていく』ことへの疑義だったと思う。政治家や官僚、研究者、企業家たちだけではない。全国紙や民放のキー局などの記者も、もしかしたら『中央の目線』『東京の目線』に陥り、いわば高見から物事を取材しているだけではないのか」、清水氏は「地方紙記者の取材による記事を全国に送り届ける『回路』。地方紙を全国の読者と繋ぐことはすなわち、民意の集約」と狙いを強調する。

 編者らの挑戦は今回がスタートだ。本書が毎年編集され、出版される『回路』の広がりを期待する。(東京新聞・鈴木賀津彦)




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鈴木太郎さんが新詩集

沸々と湧きあがる感情の綴り

 鈴木太郎氏(本会会員、詩人会議、武蔵野詩人会議。「太郎の部屋」主宰=中新井在住)が六冊目の詩集「八月の存在」を、十年ぶりに詩人会議出版(頒価=1200円)から上梓した。

 この詩集は人生の還暦から古希にいたり、これまでの来し方をふり返り、身の回りの現実、そして戦争・平和・時代などを深く省察して、沸々とわきおこる感情をていねいに綴っている。

 筆者は「近年、演劇・芝居の世界と深いかかわりをもつようになった。いま、詩のことばの世界と、芝居のことばの世界とが、自分の中で呼応しあうような存在になっている。その思いが作品に結集できれば」とあとがきで語っている。

 冒頭の一遍「歳月」を紹介する。

歳月

歳月は
あのときからの時間は
同じ速さであるはずなのに
僅かな差異を積み重ねて
きたのだろうか

心の貧しさが悲しくなって
暗い天を仰いだとき
闇の底から届くいくつものまばゆい光に
であってしまった

長いのか短いのか歳月は
時間は音をたてて崩れていくもの
そうであったとしても
老いという語感を楽しむには
確かめるべき何かをつかみたい

桜の花びらが浮かんだ
小さな水たまりを渡るとき
逆さまの樹を映した
空の深さを見るのと同じように

長いのか短いのか歳月は
単純に描ける構図などどこにもない
だからといって
流されていく精神の在処も
不透明な響きを求めることはない

無骨な手には温かみは残っているか
無表情のなかにはにかみのほほえみが見えるか
陽が西の空に沈もうとしているいまも
どこかで朝が始まっている

(葛西)




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「九条を生かす」

●軍事力では平和は守れないことを学ぶ地が沖縄

 基地ウオッチング沖縄ツアーに参加して、あらためて見えてきたこと教えられたことが多くありました。

 第2次大戦の戦跡と米軍基地が同居している沖縄を、沖縄で憲法を護る活動をしてきている神山忠克弁護士は「沖縄は戦争のむきだしの本質が見えるところで、軍事力では平和は守れないということを教えている」と話してくれました。

 「どこかの国が攻めてきたらという人がいるが、私は侵略してきても物理的抵抗はしない、しかし反対は貫く。それは復帰闘争から学んだ事です。あの米軍の占領下でも反対闘争で命を失った人はいません。そして平和を願い育てる文化を育てるのです」と。沖縄県民が苦難を通して沖縄の生きる道、そして日本の進路をどの様にしていくかでたどり着いたのは日米安保体制ノーと言うことでした。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を同県名護市辺野古周辺に移設する日米合意を受け、毎日新聞と琉球新報が5月に行った沖縄県民を対象とした合同世論調査では辺野古移設に「反対」との回答が84%に達し、「賛成」はわずか6%でした。米海兵隊の沖縄駐留についても「必要ない」が71%を占め、「必要だ」の15%を大きく上回りました。在日米軍基地が沖縄に集中していることに関しては「整理縮小すべきだ」が50%、「撤去すべきだ」が41%。米軍の日本駐留を定めた日米安保条約については「平和友好条約に改めるべきだ」が55%と半数を超え、「破棄すべきだ」との回答も14%、「維持すべきだ」は7%でした。

●県民を分断し、欺く民主党の沖縄政策

 そして今、民主党がやろうとしていることは「日米共同声明は守り、県民の負担を軽減していく」という、一見両立するかのように見せかけて、沖縄県民を分断し米国の言いなりになる県民を欺く路線です。

 戦争中、そして米国による長い占領から復帰、そして県議会で「普天間基地は県外へ」を全会一致で決議した沖縄。基地はいらないの固い決意をしめした県民集会、名護市長選の基地反対派の勝利と何度も何度も県民の意思はしめされているのに、時代に逆行する日米安保体制にしがみついた懲りない人々がいます。

 次は、全国の日本の平和を愛し、憲法を輝かせようとする人々が決起する番です。退職強要、派遣の拡大、医者にかかれない、農業と漁業の先行き不安。数ある国民生活破壊の道ではなく明るい明日を開く道は、沖縄県民が苦難を超えて辿ってきた道、生活安定は戦争政策とは両立しない。ごまかしは通用しない。沖縄県民と共にたたかうことによってそれを示す時が今です。
(編集長 鴨川孝司)




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短 信

◆「いま考える暮らしと平和』in所沢

 入間河川敷に自衛隊機墜落から11年、今こそ、市民連帯で「基地撤去」の運動を広げようと、「今、日本の空は管制現場から」、「所沢通信基地をめぐる情勢」の2本の報告のほか、東西道路、市民アンケートの回答内容。航空自衛隊入間基地へ新機種CX2配備の問題も報告される。

日時:11月20日(土)14時開会
会場:所沢生涯学習推進センター多目的室(東京航空管制部の道路はさんで左)
基調報告「民主党政権下で、どうなる日米安保・日米同盟」横田・所沢基地、入間基地はどう変わるか一平山武久さん(埼玉県平和委員会代表理事)
主催:基地周辺の安全を考える集い実行委員会
連絡先:所沢平和委員会 04−2992−9927 所沢地区労

◆輝け!日本国憲法のつどい

 「定数削減で無駄を削る」というのは、本当でしょうか。つどいでは「定数削減で削られるのは民意」と主張する弁護士の坂本修氏が講演します。

日時:11月18日(木)18:30から
会場:埼玉会館小ホール(JR浦和駅徒歩7分)入場無料
主催:埼玉憲法会議048−836−2101

◆所沢雑学大学 11月の講座案内

 ●11月14日(日)「大陸の前線に派遣された最後の初年兵」講師・藤原重人
 ●11月21日(日)「15年戦争を振り返る一パート2」講師・和田末治
開演は15時から、会場は新所沢コミュニディセンター




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