機関紙59号 (2010年10月6日発行)new!



もくじ

沖縄米軍基地問題を問う、年齢差50の往復書簡
   “若い人”は、基地をどう見ているか
「普天間問題」はこれからだ
   21世紀・日本の進むべき道を開く
「食事は一人より二人のほうがいい」
   ほのほのと140歳 人生の「温もり」を歌う
    中原道夫(会員)さんが新詩集
鈴木彰の「トロイカが猛暑に溶けて代表選」
視 角
    丸山重威(関東学院教授・元共同通信)
「九条は世界の宝」1
いま、私は言いたい 1
   歴史の流れをしっかり見つめたい
    塚崎公美(上山口在住)
いま、私は言いたい 2
   異国で聞く九条の意義
   浅川光一(北秋津在住)
乱暴な分類に抗議する
   藤原正樹さんからの反論
「九条を生かす」
  ●自民党路線の継承を明言した防衛白書
  ●世界の趨勢と乖離する情勢認識
短 信
  ◆9条の会やまぐち10月例会
  ◆第39回日本機関紙協会埼玉県本部総会
  ◆第6回「輝け9条!世界へ未来ヘフェスティバル2010」
  ◆所沢雑学大学10・11月の講座案内




沖縄米軍基地問題を問う、年齢差50の往復書簡

“若い人”は、基地をどう見ているか

 民主党政権で初めての10年度「防衛白書」で、沖縄の米海兵隊の存在理由を強調し、普天間基地の「県外・国外移設」を全面否定した。これからの日本の進路で沖縄の米軍基地は避けてとおれない重大問題となっている。

 この問題をめぐっての会員の一人である鎌田富夫氏(向場町在住)と若き女性との間で交わされた往復書簡の掲載を了解頂いた。活発な論議の糧になればと願う。

鎌田富夫氏
 鳩山さんが退陣する理由にもなった「沖縄問題」は夏の選挙戦では、後景に押しやられているような感じです。沖縄には、保守的な人もいれば、革新的な人もいます。今回、全ての県民が一致したのは、日本の安全を守るために、何故、沖縄だけが65年も犠牲になるのか。その根底にある「沖縄差別」、本土の人たちはどう思っているのか。この怒りだと思います。「基地問題など関係ない」と言う無関心人たちにも、この怒りは突きつけられています。現代の若者は、この沖縄差別をどう見ているのか、聞きたいのです。

Nさん(24歳、日本近代史を研究)
 メール有り難うございます。取り敢えず、質問を四点に絞って返事を致します。

 A 沖縄連帯集会に参加した感想
 たくさんの、そして私よりずっとご年配の方の参加が多くて驚きました。基地反対の意見も大事ですが、容認してきた背景や理由、そして今後も必要だと主張する意見の説明も同時に学ぶことが必要かと思いました。

 B 沖縄差別に対する一若者としての感想、意見
 現実的に米軍基地の多くは沖縄にありますし、生活上の不利益を質量ともにかぶりやすいのは沖縄の人々です。でも、思いやり予算とか、沖縄県以外の米軍基地はどうなるのか、米軍基地問題の視野を広げないと本当はいけないのではないか。このように考えると、「沖縄差別」は沖縄にだけ差別がなされているわけではないと思います。その不利益を日本人みんなが負っているはずなのに、「沖縄差別」ということばが果たしてふさわしいのか、まず疑問です。
 でも、今回の普天間基地問題で、あんなにもたくさんの県民や団体、そして市長や県知事までが行動を示したのにもかかわらず、国の方で決着をつけようとすること、そしてそれが罷り通ってしまうこと、これは問題だと感じました。いつどんな問題をきっかけに、自分が国から差別されることがあっても不思議ではないと感じています。

 C 基地問題に無関心な人たちをどのように説得するか
 基地問題の加害者・被害者のそれぞれの苦しみを、共感してもらえるように情報を伝えてみてはどうでしょうか。同じ体験をしてみないと、他人の痛みは分かりません。それを補うには想像力を働かせて、共感することが大事だと思います。
 問題に関わって苦しむ人たち一人ひとりと、無関心な人たちは、感情の持ち方や考え方、働いて生きるという基本的な部分で、同じ人間同士です。当事者たちをたとえば「かわいそうな人」とか「悪いやつら」だと見ることは、その人たちを無意識的に蔑視することにつながると思います。当事者たちも自分と変わらない人間だと気付くことが、体験をもつ・持たないの垣根を越えて、同じ目線で問題を考えていくことにつながります。

 D 差別に対する反応は、若者は激しいのではと思うが、それはどうしてか
 これはわからないですね。逆に、年を重ねると保守的になるのはどうしてでしょうか、といった質問にもなると思います。でも、鎌田さんたちのように、おかしいと思ったら行動できる大人もたくさんいます。私のように、おかしいんじゃないかと感じても、何も行動しない若者も大勢います。そして私は、行動できる大人に対して、すがすがしさを感じます。おかしいと思ったら動く、この姿勢が周りの人々を動かしていくのではないでしょうか。

基地問題は日本国民全体の問題

鎌田

 今回の普天間問題は、米軍基地問題を日本全国で考える大きな機会を与えたと云われています。一地方の基地被害の問題でなく、米軍基地の存在、その理由、日米安保条約、日米基地容認の人たちの意見を良く聞く、というのは、私の体験上の実感です。基地賛成の意見も、65年前とは大きく変わっています。賛成の中味も、65年の多くの体験を通じて、反対派の意見を確かめてその論理を取り入れたものも有ります。

 Nさんが言われたように、基地問題を全面的に捉えようとすれば、当然具体的な事実が重要です。不利益だけでなく、基地負担への支援、保証政策も、同時に、本土各地の米軍基地の実態調査も大切です。米軍犯罪や検挙など知らされない事実もあるのではないでしようか。

 しかし同時に、基地による地域の利益もあります。基地被害の補償、支援政策、地方交付税などの手厚い保護も有ります。基地による収入も莫大なものが有ります。基地の誘致を求める意見があるのは、この基地収入を期待する人たちです。

 普天間問題には、日本国民全体が基地問題を自分の問題として考えるために必要不可欠な課題が提起されていると思います。

Nさんからの手紙
 お返事遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。以下、気がついたことを補足します。

基地容認の意見も真剣に聞く

 鎌田さんのおっしゃるように、「長い間の反対一辺倒だけでない思考が必要ではないか」という意見に私もそう感じます。賛成か反対かの結論を聞くためには、両者の言い分を聞き、十分な議論を交わすことが必要です。質問の仕方によって賛成と反対がすりかえられてしまうことも珍しくありません。ものいわぬ民衆からものいう民衆になっても、自分たちの発言が知らないところ(無意識−文化や育ちや教育など)で制約を加えられてはいないか、注意する必要があります。

沖縄差別について

 基地被害の根本(沖縄の基地問題=特別の悲惨な歴史)と基地問題の本質(日米安保条約=国民全体の問題)を私は混同していたように思います。政府の主張「沖縄差別はありえない、もし差別があれば法のもとに平等の原則に反し、民主主義政治が成り立たない」は初めて聞きました。でも、差別と「負担」(鳩山前首相がよく言っていました)はどう違うのか答えになっていない気がします。いじめと同じで、差別かどうかは受けた側が判断するものではないでしょうか。

 私が「沖縄差別」に疑問をつけたのは、この言葉の方向性がはっきりしていないように思うからです。差別があるなら、解決まで構想しないといけない。この解決とは何か?鎌田さんのお手紙にあるBの主張と同じになるのでしょうか。そこまでは望んでいない?

 頂戴したお手紙にあった、基地収入の減少も今回初めて知りました。長期に軍事基地や米軍共生することが好ましくないと考える人たちとこの存在こそ、これからの時代を作る一つの流れになると思います。その中には様々な主義主張が存在するとおもいますが、それはそれでいいと思います。

沖縄文学全集で沖縄を学ぶ姿勢

 「沖縄文学全集」を読みました。短編ながら、戦争、基地、など沖縄差別を告発した文章、怨念の強さに驚かされました。それは、沖縄が地上戦の戦場となり、本土爆撃のための基地が作られ、強制的に土地を奪われた歴史、講和条約の発効後は、沖縄は独立出来ず、本土基地が沖縄に集中された歴史、米軍占領とその基地に依存し従属しながら生活した沖縄社会の数多くの悲劇、などが語られてました。

 基地問題の視点だけでなく、多面的に「沖縄」に迫ろうとする鎌田さんの姿勢はとても大事だと感じます。人に問題を呼びかけていく際のツールになりますし、自身の中でも価値観に変化が起き、新しい問題に気がつくことにつながるでしょう。私も見習わなくてはいけないです。目に見える被害は分かりやすいですが、傷付けられた心は見えません。戦争体験をはじめ、満州移民に参加した方のお話や体験記などがそのことを教えてくれます。

 ごく普通の人が体験してきた加害と被害の歴史のうえに、今の私たちが立っていることを忘れてはいけないですね。

鎌田
 米軍基地問題を認識論の立場から深めてみたらどうかというのがメールの趣旨でした。私が、より重視するのは、認識の発展、進歩です。基地問題も65年の歳月を経て大きく変化しています。基地の環境だけでも、当初の米ソ対決の冷戦時代から、ソ達崩壊から、地域的な集団的安全保障体制の構築、アメリカ一国の覇権時代から多国間の時代、など基地の存在意義も大きく変わりました。その変化は認識の大きな発展につながります。

 私は、認識の深まりが、従来の対決軸も変化させていると思います。認識の進歩は、今まで一致しなかった現状認識、文化、情報の不一致点を克服していくと思います。人間は希望が持てると言ったのはそのような理由です。より総合的に、より正確に、認識を深める努力が続けば、大きく認識を一致させる場面が生まれると思います。

 沖縄では、従来の基地反対、基地容認の双方が、日米共同声明の改定を求めて、9万人の県民大会で、大きな一致をつくりましたが、その根底に、沖縄県民の認識を深める努力があったと思いたいのです。

 基地問題は、日本国民全体の問題です。より多くの国民が自らの体験を通じて、認識を深め発展させることを期待しています。



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「普天間問題」はこれからだ

21世紀・日本の進むべき道を開く

 2009年政権交代後の「普天間問題」は、鳩山前首相の意図せざる働き、迷走につぐ迷走によって、さまざまな「密約」を抱えた日米安保の暗部と、そこに横たわる根深い問題の数々を、広く国民の目前にさらけ出すことになりました。「パンドラの箱」は開いたのです。その結果、私たちはたとえば、以下のようなことを問題とせざるを得ません。

(1)沖縄の米海兵隊は、本当に日米安保に基づく、日本を守る「抑止力」なのか。

(2)米軍のグアム統合計画が進んでいるのに、なぜ沖縄に新基地建設が必要なのか。

(3)米軍基地維持経費の7割も負担したうえに、今後も新基地建設の費用までなぜ負担しなければならないのか。独立後この方、対米従属はひどくなるばかりではないか。

(4)オバマ米大統領の新しい「国家安全保障戦略」は軍事偏重路線を修正、軍事費も2012年からの5か年計画で総額1兆ドルの削減を目指すとしているが、なぜ日米安保は、それに反して強化・拡充されなければならないのか。

(5)ドイツ・韓国などでは米軍基地の大幅削減が予定されている。なぜ日本の政府も政治家も、そうした方向を模索するために声をあげないのか。

(6)米軍基地の負担はなぜ日本全体でなく、沖縄にだけ押しつけられるのか。基地の危険、騒音・犯罪の被害などは、沖縄の市民の平和的生存権を差別的に侵している。

(7)米軍と自衛隊の一体的な運用の進展は、事実上の集団的自衛権成立を促し、憲法9条2項(戦力の不保持・交戦権の不行使)を空文化するおそれがある。

(8)日米安保の必要性を、中国の軍事的脅威の増大・北朝鮮の暴発の危険によって説く人が多いが、本当にそうか。平和的な話し合いのほうが有効なのではないか。

(9)軍事力で安全保障は確保できるか。平和憲法こそ、安全を確かにするのではないか。

(10)東アジアで非軍事的な地域連合体制の実現を追求することは、夢想に過ぎないか。

 鳩山氏の首相辞任に伴い、菅内閣が成立しましたが、新首相は、前首相が以前に約束した普天間基地の「県外・国外」移設の約束をまったく顧みず、彼の失脚のもととなった5月28日の日米共同声明の内容(自民党の対米合意=名護・辺野古への新基地建設・移設案とほとんど同じ)を、そのまま日米合意として尊重、その実現を目指す、と言明しました。

 その合意は、沖縄の基地負担の軽減に努める、とする文言を含むため、菅首相はこの点にも配意する、と述べましたが、自民党政権下、1996年にできた合意が名護市民たち住民の粘り強い抵抗に遭い、移設計画は14年経っても実現していないのに、民主党政権で首相の交代があったからといって、そう簡単には実現可能となるわけでもありません。新内閣は、前内閣とほとんど困難さにおいて変わるところのない「普天間問題」を抱えているのが実情です。

 菅首相がこの問題を本当に解決し、沖縄県民の基地負担の軽減を確実に進めるためには、上記のような問題すべての同時的な解決を図るほかありません。言いかえれば、そのような取り組みを進めてこそ確実な解決できる、ということです。

2010年7月 マスコミ九条の会からの呼びかけ



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「食事は一人より二人のほうがいい」

ほのほのと140歳 人生の「温もり」を歌う

中原道夫(会員)さんが新詩集

 本会の会員でもある埼玉文芸家集団副代表の詩人、中原道夫さん(79歳=上新井在住)が、このほど、長年連れ添った妻の交通事故と医療過誤による突然の死と新しい「連れ合い」と呼ぶ女性との新たな生活を60歳代で経験した喪失感と充実感をやさしい言葉で歌った、12冊目の詩集「ほのほのと百四十歳」を上梓した。

 東京新聞、埼玉新聞も紙面で大きく扱うなど、読んだ人から「生きる励みになる」と、350通を超す感想が筆者に寄せられ、高齢者の孤独が社会問題となっている中で、静かな反饗を呼んでいる。

 詩集は3部構成で37編が収められている。
 1部は、平成6年に交通事故で妻を失った後の寂しさが語られ、妻を失った翌年に刊行された『雪の朝(妻が死んだ日)』にはない新作で占めている。

 中原さんは「『雪の朝』は妻が死んで10ヵ月の間に書いた。妻を失った切なさは自分で書くとその思いが消えていくのです、もやもやとしたものが作品に定着すると思いが薄れていくのですが、私の思いがある限り、妻も生きているのです」と語り、「妻をなくした時は心に穴が開いたようで落ち込んだ。一人やるせなく寂しかった」と振り返る。

 2、3部では、16歳年下の女性と妻の七回忌後に同居した新たな生活を歌った。「切なさ」を吸い上げてくれる女性の出現を率直に表現している。「女の荷物が運び込まれて、それまで幅を利かせていた『わびしさ』が、どこかに消えていった」(中略)食事は一人でするより二人のほうがいいというあたりまえのことが現実となった」(掃除機より)

 ほのほのとは中原さんの造語。「連れ合い」と合わせて百四十二歳とはいえ、「ほのぼの」になるほど枯れていない二人だ。連れ合いの女性も翻訳の仕事があり、一人で海外に出かける行動的な人。中原さんは、「死んだ妻と連れ合いと私がこの家で同居している。人が生きるためには温もりが大切」と豪快に笑い飛ばす。

 中原さんの活動に衰えはない。先月、東京で開催された「国際ペン東京大会2010」の自然と環境をテーマにした、詩の部門の集会で、著書「人指し指」に収録されている作品を一日、3回朗読した。「汚染されているのは、人間の心だ。だから戦争が絶えない」と訴え会場の喝采を浴びたという。

 今月末の韓国での講演旅行や埼玉文学賞、詩の部門の選者も務め、ますます意気軒昂だ。

 詩集は2000円。問い合わせは北溟社=電話03−5155−8285




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鈴木彰の「トロイカが猛暑に溶けて代表選」




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視 角

丸山重威(関東学院大学教授・元共同通信)

 学生が言う。「北朝鮮や中国って危険じゃないですか、基地をなくせ、って言っても無理でしょう?」「核だってそうですよ。無くすのがいいに決まっている。だけど抑止力がなけりゃ危険ですよ」「小沢さんって検察で無罪だっていっても、政治とカネの問題は無視できないでしょう?」

▼「ちょっと待った。君がそう考える根拠は何だろう。北朝鮮と中国がなぜ危険なのか、抑止力とは何か、政治とカネの問題とは何か。事実に即してもう少し論理的に説明してごらん」などと話す。「それはそうだけど…」と沈黙。ひどいときには「先生とは意見が違う」と言い返して黙ってしまう。

▼小泉首相の「神話論争はやめよう」とか「自衛隊が行くところが非戦闘地域」とか、「人生いろいろ会社もいろいろ」などという、感覚的な言葉の「ワンフレーズ・ポリティクス」が、ものの本質を考えなくしてから久しい。時代が容認したのか、言葉が「論理抜きの時代」を作ったのか。それは分からないが、気になるのは、論理抜き、議論を拒否して感覚的な「雰囲気」とか「空気」で物事が動かされる風潮だ。

▼この夏、NHKのドラマ「15歳の志願兵」やNHKスペシャル「玉砕・隠された真実」が話題になった。どちらも、偽りの言葉が時代の「空気」を作って、理論も思想も議論もなくし、命まで奪っていった。だが「論理」や「議論」がないジャーナリズムはあり得ない。

▼いまこの「時代の空気」にジャーナリズムの再生を考えたい。「民主党代表選報道」は大丈夫だったのだろうか?




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「九条は世界の宝」1

 文芸誌「群像」(講談社)5月号、「私のベスト3」欄に「留日11年のベスト3」(林少陽)というエッセイが載っていた。林少陽さんは、大学院生として5年間、教員として6年間、合計11年間、日本に滞在して、この2月に様々な方々に感謝の気持ちを抱きながら香港の大学に戻ったという。

 林さんが選んだ「ベスト3」の3は「神保町」で、古本屋街のこの街こそ日本の誇りの一つだとのべ、2には「熊野古道」をあげ、自然の美しさはもちろん、国家神道とは違う古代宗教の匂いや、現代の工業文明・商業文明と距離を置いてきた現地の人々の心の豊かさ、海の彼方にある古代中国との交流の歴史などが魅力だとのべ、ベスト1には「平和憲法第九条」をあげている。その項の全文を紹介する。

 「日本国憲法の第九条は、「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」の三つの要素から構成されていますが、私から見れば、これは日本の人民を含む東アジアの人民の血の代償として得られた、平和主義の強い決意とシンボルです。留日11年間、この理念を必死に守ってきた人々の姿を高い敬意を持ちながら見てきました。この理念は戦後日本の平和主義運動を支えてきた貴重なものですので、一外国人の日本研究者の立場から見れば、「九条」こそ戦後日本、さらにいうならば近代日本を理解する上で一番重要なものだと思います」
(佐)




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いま、私は言いたい 1

歴史の流れをしっかり見つめたい

塚崎公美(上山口在住)

 今年の終戦記念日8・15では、閣僚の靖国参拝はゼロだったようだ。これは中曽根康弘元首相が、公式参拝を始めた1985年いらい初めてのことだと、マスコミは伝えている。このことは、戦後65年もの長きにわたって続いた、自民支配体制の崩壊という、大きな歴史的流れの変化をつよく印象づけるできごとだったように思える。

 ひろく知られるように靖国神社は、かつての侵略戦争を主導したA級戦犯を合祀する、いわば“戦争神社”である。戦争中は軍国日本帝国の象徴的存在であった。

 戦争中盛んに歌われた「同期の桜」では、「みごと散りましょ国のため」「花の都の靖国神社庭の梢に咲いて会おう」などと、大宣伝された。往時を体験した者には、忘れられない記憶だ。

 「お国のために」といって、戦死を駆り立てた靖国。中国や韓国などの近隣諸国との関係をおかしくしてまで参拝にこだわってきた閣僚行事が是正されたことは、よろこばしいし、さらにしっかりと、時代の流れに向き合っていきたい。

 靖国問題と同列にあって、これまでとかくあいまいにされてきたのが、「愛国心」の問題である。靖国参拝に熱心だった小泉さんや安倍さんのような立場の「愛国心」は、もはや歴史の流れに沿わない。ところが自公政権時につくられた「学習指導要領」が、いまの学校現場では色濃く蔭を落としている。

 いまの指導要領では「日本を愛する心情」の育成が、小中学校の社会科の目標として掲げられている。「日本愛する心情」とは具体的にはなにか?

 かつてフランスでは、全国労働組合の幹部は「彼は反ナチ闘争において愛国者であった者に限る」とする法律があった。おなじ“愛国”でも、靖国的ソレとコレでは月とスッポンだ。

 時代の流れを深く見つめる、そんな眼を常に持ちたい。




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いま、私は言いたい 2

異国で聞く九条の意義

浅川光一(北秋津在住)

 今年5月、10日間のウルムチ、トルファンの旅のことです。夜の交流会(日本7人、中国9人)のことです。中国の人は、みんな日本語学校で学んだ生徒たちで、普通に日本語を話す人々です。

 イスラム教徒で、ぶどう園を経営しているガイドのタムさんが、「人と人との争いや、国と国との争いは、力でなくあくまでも話し合いで解決することが一番いい」と話しました。実は日本では、憲法九条にそういうことが書いてあると私が話すと、「それはとてもいいことです。私も同感です」と言い意気投合しました。憲法の精神は、世界共通の願いだと改めて強く感じました。




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乱暴な分類に抗議する

藤原正樹さんからの反論

 会報57号の梅田正己氏へのインタビュー記事には驚きました。読んでいて、一度は退会を本気で考えたほどです。結局、内部で抗議することで意思を表明することにしましたが。

 歴史修正主義に抗して、近代日本の戦争の歩みを検証するという本を出した梅田氏へのインタビューだといいますが、インタビュアーの葛西健治さんという方は、(田母神現象を紹介したあと)「また、加藤陽子東大教授の著書、『それでも、日本人は、「戦争」を選んだ』はべストセラーに。「それでも」という接続詞から、それでも、ほかに道がなかったから戦争を選んだと、読みとれる。これも歴史認識の修正のひとつである。」と書かれています。よりによって田母神と加藤陽子を並べるとは。マスコミや文化関係の人間が組織している団体にしては粗雑すぎませんか。果たして加藤氏の本を読まれたことがあるのでしょうか。そもそも、加藤氏にこの会報をお送りする覚悟はお持ちですか?

 本の著者(出版社社長でもある)へのエールのつもりで、乱暴な分類をする。こういうのを贔屓の引き倒しというのではありませんか。




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「九条を生かす」

●自民党路線の継承を明言した防衛白書

 2010年版防衛白書は当初、8月30日の発表が、韓国併合100年控え、韓国への配慮から延期されたのち発表されました。最初からのつまずきは今回の防衛白書が、従来の路線を歩みながら少しは国民の期待に応えるかのようなあいまいさでカムフラージュするという、民主党の今日の役割を表すような出来事でした。

 白書の序文の北澤防衛大臣の挨拶は、そのカムフラージュをしめしたひどいものです。

 「政権交代という大きな歴史的転換があり、防衛に関わるいくつかの見直しをした。今後とも、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備する防衛政策の基本については、維持していきます」「本書は、防衛政策の透明性を担保し、わが国に対する諸外国の理解と信頼を高める、政権交代後に初めて刊行されこの本の意義は例年にもまして大きい」と今までの防衛政策を褒めたたえています。

 その後の文章では「北朝鮮の核やミサイルなどの問題、中国の軍事力の近代化、中国やロシアの軍の活動の活発化など、わが国周辺の安全保障環境は厳しさを増しており」「自衛隊は、約8年間に及ぶインド洋での補給支援活動、新たなPK0を開始、アフリカのソマリア沖・アデン湾の活動。わが国を取り巻く環境が一層厳しくなる中、防衛省・自衛隊の活動範囲はますます広がり、日々進化を続けています」、「日米安全保障条約の締結から50年という節目の年、日米安保体制は、わが国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠な基礎。協力関係は維持・強化。その際、普天間飛行場の移設をはじめとする米軍再編は、抑止力の維持と地元の負担軽減を図る」というものです。

 そして、防衛大綱の見直しは新安保懇の報告書、防衛会議を開催して、これを基に議論を行っていくというのですから、さらに自民党路線の維持であります。

●世界の趨勢と乖離する情勢認識

 大臣挨拶には核廃絶を目指す世界の動き、地球規模で進む非核武装地帯の発展、先進国での軍事費削減の動きなどは一顧だにされていません。アメリカが自国の国防費を減らしながら、日本への負担増要求にも触れずにいます。そして、今までの防衛政策は憲法を遵守し、非核三原則を堅持していた、それを維持していきますというのだから、偏った情勢認識、密約などの過ちへの反省なしなど発展する情勢と国民との乖離は避けられません。「防衛白書 軍備の競争を招かぬか」との題で、「軍備を増強する中国が東アジアの不安定要因になっていると強調した。周辺国の動向を注視することは必要だ。

 しかし軍事的な脅威をあおるだけでは緊張を高めかねない。国際情勢の変化や不安定要因に対処する方策は軍事力だけではない。外交や経済、文化など幅広い分野の交流を組み合わせることで緊張緩和につなげたい」(北海道新聞)や「普天間『県外』を否定防衛白書『海兵隊機能損なう』の題で「政府内の検討過程では、東アジアの安全保障環境の不安定・不確実性から、普天間所属のヘリ部隊を在沖の他の海兵隊部隊と切り離すことはできないと結論付けたと説明。在沖海兵隊の存在意義は、ハワイやグアムと比べ沖縄が東アジアに近い地理的利点を踏まえ、『陸、海、空のすべての戦闘要素を同時に活用する高い機動性と即応能力がある』とする記述を初めて盛り込んだ」(沖縄タイムス)の報道があります。
(編集長 鴨川孝司)




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短 信

◆9条の会やまぐち10月例会

DVD視聴・日中友好協会企画・製作「泥のまみれた靴で」。所沢市基地対策室のスタッフを招き、所沢米軍基地と航空管制のお話し。
日 時:10月16日(土)13:00〜15:00
場 所:山口公民館学習室1号

◆第39回日本機関紙協会埼玉県本部総会

日 時:10月23日(土)13:30〜16:30
場 所:浦和コミュニティセンター13集会室(浦和駅東口パルコ10階)
記念講演:本土のメディア、沖縄のメディア(課題)琉球新報記者滝本匠さん(記念講演は誰でも聞けます)

◆第6回「輝け9条!世界へ未来ヘフェスティバル2010」

日 時:11月20日(土)11:00〜17:30
場 所:大田区産業プラザPIO(東急蒲田下車歩5分)
入場券:1日フリーパス(前売り500円、当日700円)チケットの購入は、9joren@ams.odn.ne.jp

◆所沢雑学大学10・11月の講座案内

10月17日「『逆説の原爆論』を上梓」講師 加藤正壽氏
11月14日「大陸の前線に派遣された最後の初年兵」講師 藤原重人氏
会場は新所沢コミュニティセンター15:OOから




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