機関紙57号 (2010年8月7日発行)new!



もくじ

「普天間」忘れられた選挙の争点
    藤田 博司(元共同通信・ワシントン支局長 北岩岡在住)
最悪のシナリオ 菅直人と自民の大連立
    北村 肇(週刊金曜日編集長)
蒼き海のジュゴンたち
    須田 勇(久米在住)
2010年総会に79人が集う
   琉球新報政治部長松元剛さんが講演
   松元さんの講演要旨
鈴木彰の「増税へ罷りでましたタコ入道」
参院選の感想を会員に聞きました
会員の訃報
    遺作「天の音符」 増岡敏和
いま、私は言いたい 1
   戦争と飢餓 大都会の無惨
    岡部 昭(山口在住)
いま、私は言いたい 2
   京都の歴史を足元から探る
    中村 勝(小手指在住)
九条を生かす
   ●核廃絶に確かな一歩
   ●そこまでやるか菅首相の私的諮問機関が「核持ち込ませず」原則見直し提言
    鴨川孝司(編集長)
市内の催し
   普天間問題と「日米安保」で学習会
紹介
  ●市民とジャーナリストを結ぶ集い
    2010年度JCJ賞 黒田清JCJ新人賞贈賞式と受賞記念鼎談
  ●第75回所沢演劇を見る会の例会
  ●沖縄フォーラムlN東京「普天間は問いかける」
  ●女性「九条の会」5周年のつどい
    平和…音楽にできることはなにか おはなしとピアノ 池辺晋一郎さん




「普天間」忘れられた選挙の争点

藤田 博司(元共同通信・ワシントン支局長 北岩岡在住)

 先の参院選で民主党が敗北した原因は、菅首相が消費税増税を唐突に持ち出したことだとされている。菅首相自身も開票直後の記者会見で、敗因は消費税問題に選挙民の理解が得られなかったためだと認めていた。

 だが本当にそうだったのか。本当の原因は、消費税問題での首相の発言が迷走したこともさることながら、それ以外の政策を含む民主党政権としてのビジョンを明確に打ち出せなかったことにあったのではないか。そんな気がしてならない。

 昨秋、政権交代を実現して登場した鳩山政権は、普天間問題と政治とカネの問題で自縄自縛に陥り退陣した。菅首相は当然、この二つの問題について後継政権としての姿勢を明らかにし、7月の参院選では主要な選挙の争点として国民に訴えるべきだった。

 しかし、首相が突然、口にした消費税増税があっという間に大きな論議を呼び、選挙戦でもほとんど唯一最大の争点になった。首相の発言がどのような意図によるものか、定かではない。しかし結果的に、普天間も政治とカネも選挙戦での議論の舞台からすっかり消えてしまった。

 菅首相は政権発足直後、普天間問題では鳩山前政権が米国との間に交わした「辺野古移設」の合意を「継承する」意向を明らかにした。しかしこの「継承」の中身はあいまいなままだし、同時に推進するはずの沖縄の負担軽減も、具体的にどうするのかも明らかにしていない。鳩山政権が後に残した普天間と政治とカネの問題は、菅政権にとっては最大の宿題のはずだが、菅首相がどう取り組むのか、いっこうにその意図が見えてこない。

 問題をあいまいにしている原因は首相自身にある。が、事態をただ傍観しているように見えるメディアの責任も小さくない。鳩山退陣から参院選に至るまでの一カ月余り、メディアは目まぐるしく変わる政局を、追いかけるだけで精いっぱいだった。それでは、ジャーナリズムに期待される役割を十分に果たしたとは到底、言えそうにない。ニュース報道の仕事は、日々の表面的な出来事を伝えるだけでは終わらない。目に見える事実の背後に隠されたことがらの本質をとらえて伝えることも欠かせない。今回の選挙報道では、消費税問題を大声で議論する政治家にメディアがすっかり惑わされ、普天間や政治とカネに焦点を当てた報道をできなかった。

 目先の事象に振り回され、選挙の勝ち負けばかりに目を向けたような報道では、メディアが日本の政治の劣化を嘆く資格はない。多少とも政治の質の向上を望むなら、ジャーナリズム自身も、より広い視野に立ってことの本質に迫るような、質の高い政治報道を目指さねばならないだろう。



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最悪のシナリオ 菅直人と自民の大連立

北村 肇(週刊金曜日編集長)

 不穏な情報が永田町を駆けめぐっている。「民主党と自民党が大連立に向け動いている」がそれだ。しかも動きの主体がだれかについて二説ある。「菅直人は国会運営での行き語まりを回避するため、自民党に連立を呼び掛けている」「小沢一郎は民主党を割ったうえで自民党との連立政権を目指している」。仮に前者の道に進むようなことがあれば最悪だ。

 参院選の「民主惨敗」を受け、二大政党制が定着したと言われる。「ねじれ」は政権交代の土壌になるからだ。しかし、そこには危険な落とし穴がある。勝者がいないということは、二着の政党が二つ存在することであり、彼らが政策で一致したときには、他の少数政党は無視し、事実上、大連立と化すのだ。実際、「消費税10%」は自民が言い出し、菅直人首相が相乗りした。公明、共産、社民各党は反対を打ち出しているが、民主、自民がその気になれば、国会では簡単に通ってしまう。

 沖縄・普天間基地問題にしても、両党の差異は小さい。日米軍事同盟保持に関しては完全に一致してしまう。憲法だって危うい。しかも、新聞・テレビは間違いなく「大連立」に批判的な論調はとらないだろう。

 思い起こせば、自民党の福田康夫元首相は、ねじれ状態に耐えきれず、当時の民主党代表・小沢一郎氏に大連立を呼び掛けた。小沢氏も了解したが、党内の反対により頓挫する。皮肉なことに、今度は菅氏が連立に色気をみせ、小沢氏が反対するという構図だ。

 だが、冒頭に触れたように、その小沢氏は違った形での連立を模索していると噂される。「反消費税」での新党立ち上げだ。民主、自民の一部に公明、社民を加えた大連立構想である。ただし、検察審査会で再び「起訴相当」の結論が出れば政治生命は終わる。民主党代表選に力を見せつけることも不可能となるだろう。

 9月の名護市議選、11月の沖縄県知事選の結果も国政に大きな影響をもつ。日本列島は歴史的な猛暑に見舞われているが、永田町の暑い夏はむしろ、秋から年末にかけて訪れる。



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蒼き海のジュゴンたち

須田 勇(久米在住)

(一)
南の里の 列島を
鷲掴み している 我がもの顔の
米軍ヘリよ 兵士たちよ。

低空で旋回し 天空を 飛び跳ね
舞っている者たちよ。

君たちの故郷 バージニアでは
家族たちが 歓声を上げているだろうか

ここは 沖縄
九萬人の市民が 生きる里なり。

人々の 生活する姿が 見えますか。
普天間基地を 人間の鎖で
とりかこんでいる 姿が見えますか。

(二)
「わたしたちは もうこれ以上 基地の負担に耐えられません。一日も早く基地を撤去して下さい。政権交代をしたのですから。」

主婦の声 抗議集会
ずしりと ひびいてきました。

あの 夏の日 嵐が過きて
いくつもの マニフェスト 政権公約の箱が 波間に浮かんで 漂っています。

「基地は県外 国外へ」
「後期高齢者医療制度は廃止」
「……」

(三)
「日本の平和と安全のためには、現在合意されている辺野古への移転が必要です。」(外務大臣の記者会見での発言)

広がる珊瑚の 白き丘
蒼き海の うねり 深く。

巨大なる山脈のごと 抗議のつぶて
岩礁を うちつづけ

人々の思いとどけと 波高く
なりたれば
記者会見の言葉 むなし。

(四)
ぐいっと 顔出す ジュゴンあり
波と遊びて 無心なる童子ら。

辺野古、大浦湾の 美ら海に
軍事基地は いらぬ。

海風に 身をひきしめる ジュゴンたち
つぶらな瞳 立ち並び 闇 貫いている。




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2010年総会に79人が集う

琉球新報政治部長松元剛さんが講演

 参院選で敗北した民主党が、少数政党を国会から排除し、憲法改正も視野に比例削減を声高に叫ぶ不穏な動きが広がる中、「会」は2010年総会を新装なった中央公民館ホールで開いた。市内外から79人が参加した。

 冒頭、藤原秀法代表委員は、「会の名称に『文化』を謳っているように、この地、所沢に『文化』の香りがするような運動を展開したい」と、挨拶した。

 オープニングに門目道子さん(ヴァイオリン)、矢坂知子さん(ピアノ)の演奏があり、カッチー二のアヴェマリア、ショパンのノクターン変ホ長調などの名曲の調べに、しばし時を忘れた。

 井上ひさしさんを追悼するビデオを上映したあと、「普天間飛行場問題 民主主義の熟度を問う沖縄」と題して、この日のために上京した、松元剛さん(琉球新報政治部長)が、80分にわたる講演を行った。

 松元さんは、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落し、米軍の強硬な現場封鎖とローター落下現場で米兵と対峙した、衝撃の映像を上映しながら、「あれから何も変わっていない。民主党内閣は普天間基地移転を辺野古に押し付ける日米合意を表明した。沖縄の怒りはいま、頂点に達している。この憤怒の声を本土は理解しないのか」と強調した。

 さらに「沖縄への基地の過重負担は構造的差別で、改めるのは国民的課題。日本の民主主義の成熟度の試金石。沖縄問題を通して日本のあり方を考えて」と述べて講演を締めくくった。

 会場からの発言のあと、佐藤事務局長が500名の会員を持つ組織を早期に達成することを目指すなど「会」のこれからの活動を提案し、財政報告とともに承認された。

 閉会の挨拶で、代表委員の一人、鴨川孝司さんは「所沢にとっても基地撤去は悲願。松元さんの話で基地と一緒に平和な暮らしはできない」ことを再確認したと語った。


松元さんの講演要旨

 琉球新報の松元です。沖縄の問題を全国共有の課題として受け止められるよう沖縄の目線で話したいと思っています。

 沖縄が平和憲法の下で闘って38年経ちました。さきほど、井上ひさしさんの自衛隊は憲法違反だと言うビデオを見ました。米軍基地の問題も重要ですが、今後の防衛大綱の中で、与郡国、石垣、宮古、沖縄の西方の島に陸自を配備する方向性が出てきています。これらの動きはアメリカに取り込まれるというより日本の側に意思があり、日米の軍事融合が進んでいることを示しています。井上さんの指摘を自衛隊の検証という意味で取り組みたいと考えます。

 今日の琉球新報には「14年のグアム移転を断念する」と書かれています。14年が期限でしたけれども、グアムの方の受け入れ態勢が整わない、日本政府が辺野古への移設を履行出来るかどうか判らないので、それを断念したという記事です。

 その記事のとなりに、今年の3月、米海軍の女性兵士が基地で酒を飲み、米兵によるひき逃げ事件が発生して4ヶ月たってようやく書類送検となったことが書かれています。日本人の場合、その場で現行犯逮捕、21日以内に処罰が下されます。米兵だったために書類送検までに4ヶ月かかり、これから起訴するかどうかの判断をするというのです。こうして著しく平等を欠く刑事処分が年に何度も起きて県民感情を害し続けて、一つの節目を迎えています。

 週末、給料をもらった若い海兵隊員がお酒を飲んで、人の家に入り込んで寝ている。朝起きてみると素っ裸の米兵が寝ていて、高校生の女の子が腰を抜かすぐらいがくがくふるえたといいます。こういう一歩間達うと大変な事態になるという不法侵入事件。こういったものが新聞を飾るというのも沖縄の実情です。

 1994年の2月、嘉手納基地の爆音訴訟の判決がありました。基地から1mしか離れていない家庭で食事をしているとき、戦闘機が真上を飛ぶと100デシベルという音がします。これが一日70回、80回、多い日は120回、ものすごい日は200回あります。その度に、10秒、15秒と家族の対話が完全にとぎれます。電話は聞こえません。聞こえるまで待たなければなりません。このような生活の寸断が1日に数十回、百数十回あるということです。

 嘉手納小学校の話しです。45分間の授業時間があります。その時間に5回戦闘機が飛ぶとそのたびに10秒、15秒と授業がとぎれます。落ち着いて先生の話を聞く状態になるまでに1分ぐらいはかかります。これで授業が損なわれ、小学校中学校を通算すると1年間の授業が吹っ飛んでしまう計算になるという結果が、教職員組合がとった教職員へのアンケートで出てきています。

 普天間の問題。鳩山首相が5月、2度目の来県をし、沖縄県民の皆さんに負担をお願いせざるをえないと県内移設を表明しました。沖縄戦後史の中では、保守・革新が激しい選挙を行うというのが常だったのですが、去年の衆議院選挙は自民党の候補は1議席もとれませんでした。惨敗を喫しました。

 これは鳩山首相が言っていた「最低でも県外移設」、県外移設を本気で考える政権が出来るのだという期待感が本当に強かったからだと思います。

 99年に沖縄移設が決まったあとから7割以上の人が反対を表明しています。世論調査の結果と選挙の結果では内容がずれるではないかと民意と選挙結果のねじれというものが、ずっと指摘をされてきました。

 しかし、去年の衆議院選挙の結果のあと、これまで県内移設を推進してきた保守中道勢力の土台をなしてきた自民党の県連、公明党の県本部が県外移設に舵を切ります。この10数年間県内移設を推進してきた自民党県連にしても県内移設は封印せざるをえなくなりました。それくらい、沖縄世論の高まりがありました。そして2月の名護市長選挙で、陸にも海にも名護には基地をつくらせないと言っていた稲嶺さんが当選を果たしました。

 そうしますと沖縄県知事の仲井間さんも県内移設ということは言えなくなりました。不可能に近いという厳しい表現をするようになっています。2月、沖縄県議会は全会一致して、県内移設を拒否して飛行場は県外国外にして欲しいという議決をします。沖縄県議会は10年間しのぎを削ってきましたが、これで一つになったわけです。

 今年5月の世論調査では日米安保の評価、維持すべきという意見はわずか7%しかありません。安保容認か反対するのかは大きな争点でしたが、最近は維持すべきという意見はどんどん減ってきています。世論の大きな変化、これを日米政府は大きく受け止めるべきと思います。

 ここで、ビデオをみていただきたい。2008年沖縄国際大学に海兵隊のヘリコプターが墜落したときの映像です。基地問題が凝縮された画面です。何度見ても沖縄の方言で「わじわじい」というのですけれども怒りのわいてくる映像です。外務省は米軍の行為を機体をを守るためとった行動と正当化して追認しました。

 沖縄での基地の被害、米軍の行きすぎた行為で一般の県民が被害を受けたり、強制的に排除されたり、こういうことが続いていても結局、住民達には背を向けて米軍の使い勝手のいいことを優遇するというのが、戦後日本に復帰したあともずっとくり返されてきた日本政府の基地連用の姿勢です。

 政権交代を期に、安全保障の重荷をあらためるのは日本全体が取り組む問題であるということを考えてもらいたいのです。

 参議院選挙が終わり、普天間は終わったという議論がありますが、事態は改善されず終わっていません。沖縄の民意をどう反映していくかと言うことは、日本のあり方、この国の民主主義の成熟度を問う試金石と思います。

 今、アメリカ国内でフランクという議員が「海兵隊不要論」をいい、これ一色になるほど物議を起こしています。これを正面から伝えたのは琉球新報しかありません。こうしたことを伝えなければ、あることがないことになってしまいます。

 沖縄の背負っている問題を広くお伝え下さることを願って話を終わります。




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鈴木彰の「増税へ罷りでましたタコ入道」




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参院選の感想を会員に聞きました

 参院選での民主党の敗北で「ねじれ」は「真性ねじれ」となり、その結果、大連立を模索する動きがあるなど、不穏な空気が漂っています。会員の皆さんに次のことを聞きました。

1 選挙結果からどんなことを感じましたか。
2 「ねじれ」を解消するために、民主、自民の大連立も噂されています。政局はどう進むと思いますか。
3 憲法九条を守るのにどんな取り組みが必要ですか。

1 「みんなの党」が影響力を持つとすれば恐い。弱者を切り捨てて省みない社会へと進みそう。
2 どんな連立が組まれようと中身はあまり変わらないと思う。民意は「ねじり」でバランスを取っている。
3 政党支持の垣根を無くして活動できるよう一層の配慮がほしい。
藤原絢子(山口)

1 民主党に対する淡い期待感と現実の民主党政権のギャップの大きさを反映した結果であると思います。
2 自民党は分裂状態。民主党も全党的に統一状態でないので大連立は今はないのではと考えます。
3 無回答
匿名希望(荒幡在住)

1 共産党支持者は他の政党支持者以上に頑張って運動しているのに残念に思います。歴史を作るのは勤労人民であり、勤労人民こそ社会発展の担い手であります。運動の闘いには前進・後退があります。
2 国民の考えが自民は駄目、民主も駄目と揺れ動いて多様化していると思います。大手のマスメディアが戦後民衆のために奉仕することを誓って再出発したのに、今は財界に奉仕し、二大政党作りに加担しています。この背景には、大企業労働組合の右翼的労働組合連合に有ると思います。
3 無回答
藤川正治(緑町在住)

1 消費税増税で訴えた自民党が勝利前進した。しかし、有権者が公約を知っていたかどうかは不明だが、自民党が公約は支持されたと勢いづいていることが心配だ。また、労働組合の役割が大きく右傾化していることに心配している。抵抗しない労働組合の動きに関心を持ちたい。
2 アメとムチの政策は続く、みんなの党のような「構造改革」は、もっと進むと思うし、国民を痛めても政治資金は保障される助成金の廃止を前面に出した活動が必要。
2 1990年に社会保障予算と軍事予算が逆転した。その流れは変わることなく強まっている。武器の輸出も含め、製造を許す動きなど大連立されたら、ひとたまりもない。
3 無回答
伊藤誠二(中新井在住)

1 国民が政治に無関心。国民自身の生活が政治と密着・直結していることを理解していない。
2 益々資本家は優遇され、労働者は生活が苦しくなる。
3 私はパソコン音痴ですが、インターネットの活用が良いと思います。旗日に「九条を守る」旗を各戸に立てたら良いかも。
匿名希望(こぶし町在住)

1 消費税率アップをめぐり、民意は多少上がることは仕方ない、と容認したのか?庶民の懐(ふところ)はそれどころではないと思うが、結果は大マスコミによって巧妙に誘導されたように思う。このままでは日本経済は破滅する。普天間基地問題は決して解決していない。反対の力を全国民的に広げることが急務。
2 雇用問題・低賃金が生んだ消費需要の低迷、冷え込みは大連立によっても解決されない。社会体制のベターな改革に取り組まない限り「ねじれ」は解消されず、ますます混迷するだろう。
坪井俊二(緑町在住)




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会員の訃報

 増岡敏和さん(享年=82 青葉台在住・詩人)が、7月28日午後3時、死去されました。

 増岡さんは、本機関紙に「あれこれ」を24回連続掲載し、読者の好評を博しました。詩人会議に掲載された同氏の遺作を転載しました。こころからご冥福をお祈りします。

天の音符  増岡敏和

夕焼けのみなぎり
やがて天の斜面に緑が滅ぶと
あの音符がさやぎ始める
てんつくてん てんつくてん てん
あれは あの日
広島の高い天の淵から
ふいに襲ってきた原子爆弾で
殺された妹たちの
なおも歌いやめなかった息も絶えだえの
あの手鞠うた
かっと見開いた目の奥の
心に鳴らした響きの天まで届けた思い
いまもよみがえらせて 私は
おまえの音符を聞いている




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いま、私は言いたい 1

戦争と飢餓 大都会の無惨

岡部 昭(山口在住)

 日本が中国に軍隊を送りこんでから10年めの頃か、アメリカ、イギリス等を相手に戦線を拡げてから2年半になる春、全面降伏したあの夏の1年余前の東京文京区の一家団欒の昼ご飯の、どうしても忘れることの出来ない風景を思い出します。

 野菜だけの煮付けを盛った小さな皿一つの丸い座卓の前に祖母と父と母、16歳の長男の私と弟妹3人が座る。母が夫々の茶碗にご飯を盛るのを皆がじっと見つめる。軽く六分目位なのに『お兄ちゃんは大きいから』と私の茶碗には八分目を盛ったが母の茶碗には半分も無く底に少しだけ。『頂きます』の声を合わせて食べ始めるがすぐに終わったがその時、祖母が『私にもう少々頂けませんか』と茶碗を差し出すと、母は突然激しい声で『可愛い孫達のことを考えないのですか』と叫んだ。それから我が家の家族と僕の心は毎日息の詰まる思いに苦しむようになる。

 政府から1人当たり1日お米2・5合が配給される予定だが、配給が遅れると「遅配」と言い、遅れたのをそのまま切り捨てられて「欠配」と言い、芋を米に換算して「代変え配給」と言うが、この秋の米の収穫は肥料が無く半作で、夏半ばから、我が家では西武沿線保谷駅以西の農家で母の着物をお土産に薩摩芋を買ってきて命を繋いだがそれも翌年2月頃までのことで、農村でも夏までは野菜以外収穫物は無い。肉なぞ見たことも無く、偶に魚があれば宝物のようだ。その上年末から東京大空襲が始まり、3月まで4日に一度の割り合いで空襲を受ければその度に、絶対買えない布団と鍋釜を防空壕に入れて逃げる準備をし、無事に終わっても寝るのは夜中2時過ぎ、空きっ腹と寝不足で歩くと腿の筋肉が痛く、蛋白飢餓の症状がはじまる。敗戦で戦争が終わっても飢餓状態は更に1年続くのだ。




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いま、私は言いたい 2

「京都の歴史を足元から探る」

中村 勝(小手指在住)

 数年前から、いろいろと立て込んだ予定が一段落すると4〜5日間京都に旅行することが習慣になってきた。

 私の場合は、自分の都合がついたときに旅行するわけだから、旅行シーズンといわれる満開の桜や紅葉のさかりにあわせることはできないし、人出もすごいし、費用も高いから、結局は真冬や暑い8月の京都ということになってきた。

 そんなことを繰り返していたとき、京都の書店で標題の本(学生社)に巡り合った。著者は、同志社大学名誉教授(考古学)の森浩一氏、京都府内を地域ごとに分けて現在5巻まで刊行されている。最終巻の6巻目は今年中に刊行される予定とのこと。

 森氏は京都市南区の東福寺近くに住んでいるので、まずその近辺の伏見稲荷などから書き始める。内容は標題のとおりであるが、専門が考古学であるから、ただ古い伝承にまつわる話だけではなく、その地下に埋もれていた歴史も解き明かしてくれる。源義経がなぜ奥州藤原氏の下に向かったのか、秀吉の京都大改造とはどんなものだったのか、そしてあの聚楽第は正確なところどこだったのか等、その他たくさんの疑問に答えてくれるしどこに注目したらよいのかも教えてくれる。エッセー風なので大変説みやすいのも特徴である。花も紅葉もなくとも京都を隅々まで楽しむことができる本に巡り合えた。




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九条を生かす

●核廃絶に確かな一歩

 今年の原水禁世界大会に米国政府を代表して駐日大使が出席する、フランス、イギリス大使も出席と報じられました。初めてのことです。世界的な核廃絶の世論の高まりの中で「再び誤りを犯しません」と誓うのです。

●そこまでやるか菅首相の私的諮問機関が「核持ち込ませず」原則見直し提言

 そのようなときにこともあろうに、菅直人首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=佐藤茂雄・京阪電鉄最高経営責任者)が非核三原則の核持ち込ませずの見直しにも踏み込んだ内容の報告書を首相に提出すると、7月27日の朝日新聞が報道しました。

 この報告書は、今年末に民主党政権として初めて策定する新しい「防衛計画の大綱」のたたき台となると言われています。

 報告書は核持ち込みの容認とあわせて、日米同盟の深化のため、日本の役割強化を強調、必要最小限の防衛力を持つとする「基盤的防衛力」構想を否定し、離島付近への重点配備を強調しています。その報告書案の骨子発議の内容です。

・「基盤的防衛力」の概念が有効でないと確認
・非核三原則に関して、一方的に米国の手を縛ることは必ずしも賢明ではない
・離島地域は、自衛隊の部隊配備を検討する必要がある
・武器輸出三原則の武器禁輸政策は見直しが必要
・PK0参加5原則は、修正を積極的に検討すべきだ
・(集団的自衛権について)柔軟に解釈や制度を変える必要がある

 報告書案は「憲法論・法律論からスタートするのではなく、そもそも日本として何をなすべきかを考える政府の政治的意思が決定的に重要」とその内容に見るように、極めて問題な立場からのものです。

 菅首相の私的諮問機関とはいえ、「憲法・法律論からスタートするのではなく」と国のあり方の根本的方針をいとも簡単に投げ捨てています。これら諮問委員のメンバーの頭には、核密約をはじめとする密約とそれを持って国民を欺きとおしてきたことへの点検、反省はなく、今日までの自民党政治のさらなる米国依存、軍事大国化の方向を押し出してきています。

 さらに、「日本として何をなすべきか」と問い、核廃絶を求める世界的情勢の発展、非武装地帯の世界的広がりには目を背け、中国の軍事力の台頭、北朝鮮の脅威をことさら取りあげています。北朝鮮による挑発行為に対する六カ国協議の重要性には触れず、近視眼的情勢論で集団的自衛権の行使の結論を求めるなど改憲を迫っています。

 さらに、この報告書は、「北澤防衛相はすでに南西諸島への自衛隊の配備を検討するための調査費を来年度予算に概算要求を盛り込む考えを示しており、報告書案は、そうした政府方針を追認した格好だ」とあります。

 民主党連立政権がこの報告書にあるような国の安全保障政策の抜本的な転換に足を踏み入れていることの実態をもっとはっきりさせていくことが緊急に求められていることを強調したいと思います。
(編集長 鴨川孝司)




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市内の催し

普天間問題と「日米安保」で学習会

 「9条の会やまぐち」の6月例会は、普天間基地の移転先をめぐって混迷する日米関係を背景に、その根底にある「日米安保」を取り上げました。

 現状とその歴史的背景を描いた映像を見た後で、一橋大学名誉教授浜林正夫さんにその基本的な視点についてお話いただきました。浜林さんは、日米安保条約が生まれたいきさつ、その歴史、今日的課題を、準備された年表で分かりやすく解説し、今世界が「軍事同盟から、地域連合へ」と大きく舵を切った中で、日米安保も見直しの時期に来ていることを強調され、共感を呼びました。

 会場からは、「所沢米軍通信基地の役割は」、「日本の航空管制は何故米軍が握っているのか」、「若い人たちにもっとこのような話を聞かせたい」などの意見が寄せられました。




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紹介

●市民とジャーナリストを結ぶ集い

2010年度JCJ賞 黒田清JCJ新人賞贈賞式と受賞記念鼎談

 「会」の総会で講演された松元剛さんの琉球新報連載の「呪縛の行方」を中心とした「普天間問題」のキャンペーン報道も今年のJCJ賞を受賞しました。「沖縄差別」とメディアと題し、松元剛さん(琉球新報政治部長)と長元朝浩さん(沖縄タイムス論説委員長)の鼎談も行われます。コーディネーターは桂敬一(元東大教授)さんです。

日 時:8月14日 13:30開場 14:00開会
場 所:日本プレスセンター・ホール(都営三田線「内幸町」A7出口1分、千代田線、日比各線、丸の内線「霞ヶ関」C4出口4分)
参加費:1000円、学生500円
問合せ:日本ジャーナリスト会議 03−3291−6475


●第75回所沢演劇をみる会例会

一人芝居・読み語り 父と暮らせば(作:井上ひさし)

日 時:8月27日(金) 18:OO開演
場 所:ミューズ・キューブホール
問合せ:所沢演劇をみる会 04−2924−1099


●沖縄フォーラムlN東京「普天間は問いかける」

発言者 新崎盛暉さん(沖縄大学名誉教授)、前泊博盛さん(琉球新報社)、屋良朝博さん(沖縄タイムス社)、浦島悦子さん(フリーライター)、長谷川均さん(国士館大学教授)、沖縄からの問いかけ、報告を受けて桂敬一さん。
日 時:9月23日(秋分の日) 9:45開会、16:30終了
場 所:明治大学・リバティホール(明大駿河台校舎リバティタワー1F)
参加費:1000円、学生500円。


●女性「九条の会」5周年のつどい

平和…音楽にできることはなにか おはなしとピアノ 池辺晋一郎さん
オープニング 江戸伝統芸「かっぽれ」
       合唱:女性コーラス「エーデルワイス」
日 時:10月7日(木) 13:OO開場 13:30開演
場 所:銀座ブロッサム(旧中央会館)東京メトロ有楽町線新富町1番口から歩1分
前売券:1000円、当日券1300円
主 催:女性「九条の会」電話03−5367−4671
チケットをご希望の方は、氏名、電話番号、枚数、〒番号、住所をご記入のうえ、FAX(03−5367−4672)にお送り下さい。




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